のこ歯ねじ buttress thread
のこ歯ねじとは角ねじと三角ねじを組み合わせたねじでねじ山の断面形状が一方向に傾いた鋸(のこぎり)の歯のような形状をしている特殊なねじである。ねじ山がのこ歯状になっており、一方向に大きな力が作用するジャッキなどに用いられる。大きな力が働く方向には摩擦力が小さくなるという角ねじの性質を利用している。
のこ歯ねじの基本構造と特徴
のこ歯ねじは、ねじ山の一方が急峻で、もう一方が緩やかになっている。通常のねじ(例えば三角ねじ)は、山の傾斜角が対称であるのに対し、のこ歯ねじは非対称な山形をしており、軸方向の力が一方向のみに働くものに適している。これにより一方向の動力伝達や締め付けに対して非常に高い効率と強度を発揮する。
用途
のこ歯ねじは、一方向に強い荷重がかかる用途において特に有効である。たとえば、プレス機や油圧装置など、押し付ける力が一方向に働く機構においては、その非対称な歯形が荷重を効率よく伝えることができる。また、繰り返し使用されるクランプ装置にも採用されており、振動や衝撃に強いという利点もある。
暑さに眠気を感じつつ、製品紹介です。
当社取扱い中のサビレックスPFA製品には
ユニークな製品が多くて
分解容器などもございます。
蓋のネジがのこぎりの歯の形状で
内圧の力に耐える構造に。。。
名付けて、のこ歯ねじ…まんまです。 pic.twitter.com/BDgD4FaKs4— 東栄株式会社 (@labinox_toei) August 5, 2020
代表的な使用例
- 油圧プレス機の押しねじ
- 自動車部品の組立冶具
- 金型固定クランプ
- 重機部品の位置決め
製造と加工
のこ歯ねじは、通常のねじと比較して加工難易度が高い。特に、非対称の歯形を正確に形成するためには、専用の切削工具や研削技術が必要となる。近年ではCNC工作機械の進化により、より高精度での製造が可能となっているが、コスト面では標準ねじに比べて割高となるのが一般的である。
Thread angle 45° (Buttress thread). In machinery, the buttress thread form is designed to handle extremely high axial thrust in one direction. pic.twitter.com/4vIyeERhyI
— World of Engineering (@engineers_feed) October 11, 2019
ねじの規格
のこ歯ねじには、JISなどの一般規格は存在しない場合が多く、用途に応じて個別に設計・製造されるケースが多い。ねじのピッチ、外径、角度などは、使用環境や目的によって異なるため、標準品としての流通は少ない。
I was doing some test thread cutting yesterday with a specially shaped cutting tool. It's a 12mm 'buttress' thread with unsymmetrical angles to suit the Aciera drawbar. Hoping to make/adapt tooling to suit the machine. pic.twitter.com/Bkh2lPnV7P
— S Kennedy (@A_Mechanician) February 26, 2021
メリット
のこ歯ねじの最大の利点は、一方向への力に対する高い伝達効率と、逆方向への力に対する抵抗力である。これにより、逆転防止や自己ロック機構として利用することができる。例えば、荷重がかかった状態でもねじが緩みにくく、安全性の高い構造を実現できる。
デメリット
一方向に特化した設計であるため、逆方向への動作には不向きである。また、製造には専用の工具や機械が必要となるため、加工コストが高くなる傾向がある。さらに、一般的なねじと比べて流通量が少なく、部品調達に時間がかかる場合もある。
設計上の注意点
のこ歯ねじを設計に採用する際は、その一方向性を十分に考慮する必要がある。誤って双方向の荷重がかかる環境に用いた場合、破損や脱落などの重大な不具合につながる恐れがある。加えて、使用頻度やメンテナンス性も事前に評価することが求められる。
のこ歯ねじっぽい機械加工が意外と出来ないらしい・・・出来る加工屋さん病んでるし・・・ pic.twitter.com/eE5TCnFu8V
— TOᖇOKEᖇᑌ ᑕᕼEEᔕE (@tkt001) May 1, 2017