『永遠平和のために』カント

『永遠平和のために』カント

『永遠平和のために』(1795)は、カントが71歳のときに書かれた平和論である。国家について、あるいは国家と国民との関わりについて書かれている。フランス革命からの国民国家の誕生やその場しのぎのフランス共和国とプロシアとの和平条約(バーゼル平和条約)を背景に、将来の人類の永遠平和を願って、その思索の奇跡を『永遠平和のために』を記した。

平和

平和

永遠平和のための6つの項目

1.戦争原因の排除
2.国家を物として扱うことの禁止
3.常備軍の廃止
4.軍事国債の禁止
5.内政干渉の禁止
6.卑劣な敵対行為の禁止
※ここでいう常備軍の廃止は傭兵を意味し、国民で構成される軍はその限りではない。

人間は邪悪な存在である

もともと人間は邪悪であり、戦争は人間の本性であるといえる。自然状態では、人間は戦争を招いてしまい、戦争を導いてしまう。だからこそ、
そこにルールを結び、法的な仕組みをもって平和状態を作らなければならない。

平和連合の設立

カントは平和状態を作るため、平和連合の設立を重要視した。この思想が現在の国際連合の基盤となっている。国をひとりの人間として捉え、人間が法の支配により自由と平和を担保しているのと同じように、国家と国家の間に法的なルールを設ける必要があるとした。

消極的理念

カントは、世界連合の枠組みとして積極的な理念を世界国家、消極的な理念を平和連合とし、緩やかな制度である平和連合を支持した。積極的な理念である世界国家を採用した場合、理想的であるがゆえに強行な手段によって強大な世界国家を保とうとする傾向にある。そのとき、かえって紛争や戦争を促すことになりかねない、とした。

『永遠平和のために』カントからの引用

国家としてまとまっている民族は、個々の人問と同じように判断されてよい。つまり諸民族は、その自然状態においては(つまり外的法則に拘束 されていない場合は)、隣りあっているだけですでに互いに害しあっているのであり,そこで各民族は自分たちの安全のために、それぞれの権利が保障される場合として、市民的体制と類似した体制に一緒に入ることを他に対しても要求でき、また要求すべきなのである。これは国際連合と言えるが、しかしそれは当然諸民族合一国家ではないであろう。
しかしそれにもかかわらず、理性は道徳的に立法する最高権力の座から、係争解決の手続きとしての戦争を断乎として処罰し、これに対して、平和の状態を直接の義務とするが、それでもこの状態は、民族間の契約かなければ、樹立されることも、また保障されることもできないのである。
—以上に述べた諸理由から、平和連合とでも名づけることができる特殊な連合が存在しなければならないが、これは平和条約とは別で、両者の区別は、後者がたんに一つの戦争の終結をめざすのに対して,前者はすべての戦争が永遠に終結するのをめざすことにある、と言えよう。この連合が求めるのは、なんらかの国家権力を手に人れることではなくて、もっぱらある国家そのもののための自由と、それと連合したほかの諸国家の自由とを維持し、保障することであって、しかも諸国家はそれだからといって、(自然 状態にある人間のように)公法や公法の下での強制に服従する必要はないのである。(『永遠平和のために』カント)

自然の摂理

1.自然は、人間があらゆる地方で生活できるように配慮している。
2.自然は、戦争によって人間を住むことができないような僻地に追いやった。
3.自然は、戦争によって人間を法的な状況を作らざるをえない状態にした。

自然の摂理による平和の実現

自然は、人類を戦争から逃げるため様々な僻地においやった。しかし、自然はそこでも生活をできるように配慮している。そして自然はその各々地方に移り住み、そこで各々の法的な組織である国家を作り出した。人間はその本性において戦争への傾向があることを認め、その上で平和状態を作らなければならない。そして平和状態は倫理や道徳だけでは平和状態は実現できない。この自然の摂理を理解した上で、理性によって平和への仕組みを作る必要がある。

自然の摂理の国家への延長

国家もまたこの自然の摂理の下にあると考えるべきである。国家は国家同士で戦争しないことが、互いへの利益を確保し、利己心を満たす仕組みづくりをすることが恒久平和への道につながる。商業的な交流、共和制による国家制度、立法権と行政権の分離が挙げられる。

公法の状態

永遠平和を実現するためにはあらゆる国が法を守らなければならない。そしてその法律はすべての人が同意できる普遍的な道徳を基礎としなければならない。これを公法の状態という。

公平性には終わりはない

法は公平でなければならない。そしてその公平は常に未完であり、たえず求めないといけない。

公開性

法は、すべての国家に公開されなければならない。公開性は、その法がすべての国家に耐えうるものであることを担保する。

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