『受胎告知』レオナルド・ダ・ヴィンチ

『受胎告知』レオナルド・ダ・ヴィンチ

『受胎告知』はレオナルド・ダ・ヴィンチの20歳のころに描かれた。縦98㎝×横217㎝。ポプラの板に描かれている油絵。受胎告知は、大天使ガブリエルが聖母マリアにイエスを身ごもったことを伝える場面を描いた。

『受胎告知』レオナルド・ダ・ヴィンチ

『受胎告知』レオナルド・ダ・ヴィンチ

福音書第30~34節

大天使ガブリエル「マリア、恐れることはない。あなたは身ごもって男の子を生むが、その子をイエスと名付けなさい。そのこは偉大な者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。」
マリア「どうしてそのようなことがありましょうか。私は男のひとを知りませんのに。」(福音書第30~34節。)

聖母マリア

マリア

マリア

聖母マリアはゆったりとした衣装を身に着け座っている。顔は4分の3正面観。旧約聖書に右手を置き、左手で大天使ガブリエルの告知を受け取った。テラコッタ製のタイルは砂粒や穴まで描かれており、科学者としての精密なデッサンの下で描かれていることがわかる。

大天使ガブリエル

大天使ガブリエル

大天使ガブリエル

大天使ガブリエルは、片膝をつき、左手でユリの花を持ち、二本の指を立てた右手は聖母マリアに向けられている。今も残されている天使の袖のスケッチは、レオナルド・ダ・ヴィンチが卓越したデッサン力をもっていたことがわかる。また、大天使ガブリエルの大きな羽は、同時代の画家がデフォルメしたことに対し、本物の鳥の羽のように描かれている。

キリストの象徴としての山

山

奥に見える青がかった山は、すべての場面が自然の中に溶け込んでおり、これはレオナルド・ダ・ヴィンチが自然のサイクルを肯定すべきと考えたからだといわれている。そして、遠近法の線を引くとこの絵画の中心に設置されていることがわかる。神学において山はイエスを表しており、やがて生まれるイエスを山として比喩的に描いた。

「汝は我が愛する息子 我が喜びの息子よ 山はまさしくイエス・キリストそのものである」アウグスティヌス

空気遠近法

山は青みがかって描かれている。彼が『絵画論』で、「もっと遠くにあるものはより青みがかって目にうつる」と語ったように、空気の量や湿度から編み出した、空気遠近法である。20歳のころにすでに完成されていた。

遠近法

中心に山がそびえ立つ

中心に山がそびえ立つ

遠近法がゆがんでいるようにみえる。不自然に短く角度も直角でない壁の側面。書見台とマリアが離れすぎているため、右腕が長すぎている。これはマリアの右下から見ることを前提として作られているためと言われており、聖バルトロメオ修道院の壁に飾られている際、『受胎告知』の右下にひざまつき、そこから祈りの対象として眺め見ることを前提としている。これはレオナルド・ダ・ヴィンチが人間の視覚や視点を深く洞察したことがわかる。