酸化物|酸素と元素が結合する多様な化合物

酸化物

酸化物とは、元素が酸素(O)と結合した化合物の総称である。結合はイオン型・共有型があり、融点・硬さ・電気伝導・光学特性は大きく変化する。SiO2、Al2O3、Fe2O3/Fe3O4、TiO2などが代表で、セラミックス、触媒、電子材料に用いられる。金属表面に生じる不動態皮膜としても現れ、腐食挙動を左右する。

分類と結晶構造

酸化物は二元から複合まで多様で、構造はコランダム(Al2O3)、ルチル(TiO2)、スピネル(AB2O4)、ペロブスカイト(ABO3)などが知られる。酸素空孔などの点欠陥が拡散・導電・触媒活性を制御し、ドーピングで欠陥濃度を調整すると誘電率や機械特性の設計が可能となる。

代表例

  • 酸化物SiO2:高透明・高絶縁。ガラス、光ファイバ。
  • 酸化物Al2O3:高硬度・高融点。工具、耐火材、基板。
  • 酸化物TiO2:高屈折・光触媒。白色顔料。

物性と機能

酸化物の多くは絶縁体だが、欠陥やドープで半導体化する。BaTiO3やHfO2は高誘電率材料、Al2O3やZrO2は高硬度・耐摩耗である。高融点・低膨張の系が多く、熱衝撃に配慮する。酸素空孔は吸着・反応を左右し、触媒機能に直結する。

表面とパッシブ化

AlやTi、Crは緻密な酸化物皮膜(Al2O3、TiO2、Cr2O3)で不動態化する。一方、鉄スケールは多孔質で保護性が低いことがある。皮膜成長は電場支配(Cabrera–Mott)や拡散支配で表され、欠陥密度などが密着性を決める。陽極酸化や化成で孔径・厚さを制御する。

製造・形成プロセス

酸化物は高温酸化、焼結、CVD、ALD、スパッタなどで作製する。焼結では粒成長や気孔率を制御して特性を最適化する。微細加工ではリソグラフィで、ゲート絶縁膜やMEMSに酸化物薄膜を適用する。

薄膜と高k材料

Si微細化ではSiO2の限界を補うため、HfO2やAl2O3など高k酸化物が採用される。ALDは原子層精度の厚さ制御が可能で、リーク低減に寄与する。

応用分野

  • 構造セラミックス:Al2O3、ZrO2系酸化物は耐摩耗・耐熱部材。
  • 電子材料:BaTiO3強誘電、ZnO圧電、ITO透明導電。
  • エネルギー:SOFCのYSZ、正極酸化物(LCO、NMC、LMO)。
  • 環境・触媒:TiO2光触媒、CeO2酸素貯蔵、Al2O3担体。

熱力学と安定性

酸化物形成はΔG°と酸素分圧に依存し、Ellingham図で酸化・還元の容易さを判断する。雰囲気(H2/H2O、CO/CO2)を制御して生成・分解を操作し、炭素熱還元や塩化揮発で精製・回収も行う。

安全・環境

一部酸化物粉体は吸入による健康影響が懸念される。Cr(VI)由来の表面酸化物は規制対象で、Cr(III)化や代替材料への転換が進む。ナノ粒子は局所排気・個人防護具で暴露を抑え、RoHS/REACH適合とLCAで管理する。