超音波|人間の可聴範囲を超える音波が多彩な応用を可能にする

超音波

超音波とは、人間の耳が知覚できる範囲(おおむね20Hzから20kHz)を超える高周波領域の音波を指す。物質中を伝播する際の性質を利用し、さまざまな分野で応用が進められてきた。医療分野での診断装置や治療、工業検査や魚群探知機といった用途が代表例であり、水中や金属内部など目視では確認できない領域の情報を可視化・数値化できる点が大きな特徴である。高周波化するほど細かな対象を捉えやすくなるが、同時に減衰もしやすいというトレードオフも存在する。これらの特徴を理解し最適化を図ることで、新たな利用分野や技術の創出につなげる研究が活発に行われている。

基礎原理

超音波は物質の分子が振動することで伝播し、その周波数が可聴範囲を上回る点が通常の音波との違いである。一般的に周波数が高いほど波長は短くなるため、細かい箇所を観察する際に有利となる。一方で、音波エネルギーの減衰も大きくなるため、透過できる深さや距離が制限される。測定や検査では発信源と受信機を使い、波の反射や屈折、透過特性を総合的に評価して必要な情報を得る仕組みが多い。

医療応用

医療分野では、エコー検査(超音波診断装置)が最も広く利用されている。妊婦検診から循環器系の観察まで低侵襲かつリアルタイムに組織内部の情報を得られる点が特徴であり、放射線被ばくのリスクがないため安全性が高い。最近では高密度焦点式超音波(HIFU)を用いて腫瘍や結石を破壊・切除する治療法も注目されている。

産業検査

工業界では、溶接部や金属素材内部の欠陥を探知する非破壊検査に超音波が用いられる。表面に傷のないワークでも、内部に空洞やクラックなどが存在すれば音波の反射特性が変化するため、高周波センサーを使って微細な不具合を早期に発見できる。自動車や航空機、橋梁など重要構造物の安全性を確保する上でも非常に重要な技術となっている。

水中探査

魚群探知機や海底地形の測量装置は、水中での超音波伝播を利用して対象との距離や形状を計測する。送信機から発された音波が魚や海底に反射し、戻ってくる時間差から深度や位置を計算する方式が一般的である。水中は空気中よりも音波の減衰が少なく、数百メートルから数千メートルのスケールで探査できる場合もある。海洋資源開発や生態系調査に不可欠な手段として発展してきた。

振動子とトランスデューサ

超音波を発生・受信するためには、圧電素子などの振動子を組み込んだトランスデューサが必要となる。圧電効果を利用して電気信号を機械振動に変換し、その振動が音波として媒体に伝わる。受信時には逆に機械振動から電気信号を生成し、解析回路で処理する。振動子の選定や形状、駆動周波数の設定はデバイスの性能を左右する重要事項であり、医療用から産業用まで用途に合わせた最適設計が行われる。

メリットと課題

  • 非接触や非破壊で検査できるメリット
  • 放射線など有害な影響が少ない安全性
  • 減衰を抑えるための周波数設計や伝搬媒体の選定が課題

将来展望

  1. 高周波化・高解像化によるさらなる精密検査
  2. AIや高速演算装置を活用したリアルタイム解析
  3. 医療用HIFUや遠隔操作ロボットへの組み込み

産業・研究への影響

超音波技術は既存の測定手法を補完あるいは代替する重要なツールとなってきた。生体観察や非破壊検査、水中探査など幅広い分野で導入が進み、効率化と安全性の向上に寄与している。今後は材料科学やバイオテクノロジーと連動する形で、さらなる応用可能性が見込まれており、超音波センサーの小型化や高精度化、新たなデータ解析技術の開発も活発に行われている。