発光ダイオード|省エネ照明から先端医療まで広範に応用される光源

発光ダイオード

発光ダイオードは、通電時に自ら光を放出する半導体素子である。一般的にはLED(Light Emitting Diode)と呼ばれ、家庭用照明から産業用機器、ディスプレイやセンサーなど様々な分野で幅広く活躍している。熱や紫外線の発生が少なく、小型軽量でありながら高い発光効率を実現できる点が大きな特長である。近年は青色や白色の高輝度タイプが開発され、照明業界の省エネルギー化に大きく貢献している。

概要

発光ダイオードは、P型半導体とN型半導体を接合したPN接合部に電圧を印加し、電子と正孔が再結合する際に光エネルギーを放出する性質を利用する。使用される半導体材料の種類や不純物のドーピングレベルを変えることで、赤外から可視光、紫外線域までさまざまな波長の光を生成できる。従来の白熱電球と比較して発光効率が高く、熱放散が少ないことから、省電力化や長寿命化に大きく寄与している。

歴史

発光ダイオードの研究は1950年代から進められてきたが、実用化が進んだのは1960年代以降である。当初は赤や緑など波長の長い色が中心だったが、素材技術の発展により青色や紫色のLED開発が成功すると、一気に応用の幅が広がった。特に青色LEDの実現は、三原色をそろえることで白色光源を作り出す道を切り開き、ディスプレイや自動車のヘッドライト、照明装置など多様な領域で利用が拡大した。

動作原理

半導体内部では、N型領域の自由電子とP型領域の正孔がPN接合部で再結合するときにエネルギーを放出する。その際、エネルギーの一部が光子として放出されるのが発光ダイオードの基本動作となる。出力される光の波長は、半導体材料のバンドギャップエネルギーによって決まるため、特定の材料や合金組成を用いて狙った色を生成できる。この性質を応用して、赤外LEDから可視光LED、紫外LEDに至るまで幅広いラインナップが開発されている。

材料と波長

ガリウム砒素(GaAs)やガリウムアルセナイドリン(P(In)GaAs)などが赤外LEDに用いられ、ガリウムリン(AlGaInP)系が赤やオレンジ、さらに窒化ガリウム(InGaN)系が青や緑の発光ダイオードに対応している。最近では紫外領域を狙ったAlGaN系デバイスの実用化も進んでおり、殺菌用光源として注目を集めている。材料選定によって得られる発光波長帯は異なるが、同時に放熱設計や製造プロセスが複雑化するため、研究開発には高度なノウハウが必要である。

利点と課題

消費電力が少なく、長寿命である点が発光ダイオードの最大の魅力である。さらに小型かつ高輝度の実現も可能なため、近年は汎用照明やバックライト、インジケータなどあらゆる用途で利用が進んでいる。一方で発光面積が狭いために強い指向性を持つことや、蛍光体を用いた白色LEDの場合は演色性の調整が課題となるケースもある。また、熱設計が不十分だと輝度低下や色変化を起こすなど、長期信頼性の確保に向けた設計上の配慮が必要である。

応用例

最も身近な例としては、照明器具や車載ライトなどが挙げられる。さらに屋外ディスプレイや交通信号機、スマートフォンのバックライトなどにも発光ダイオードが大量に採用されている。赤外LEDを組み合わせたリモコンやセンサー、また紫外LEDを利用した医療や衛生管理用途も拡大しており、今後はさらに高輝度化や高効率化が進むことで、より多岐にわたる領域での利用が期待されている。

製造工程のポイント

発光ダイオードの製造では、高品質な結晶成長と正確なドーピングプロセスが鍵となる。MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)などの手法を用い、化合物半導体を均質に成膜する技術が必要である。また、特性向上のためにはエピタキシャル構造の最適化や低欠陥密度の実現が不可欠となり、これらの条件を満たした上で複数層の膜を積層して高効率発光を狙う。最終的には各チップを封止し、放熱パッケージなどに実装するが、実装技術がそのまま寿命や発光効率を左右するため、総合的な品質管理が求められる。