更新世
更新世とは、中生代や新生代などに区分される地質時代のうち、新生代第四紀を構成する重要な区分である。英語ではPleistoceneと呼ばれ、約258万年前から約1万1700年前まで続いたとされる。この区分の始まりは国際層序委員会により定義されたジェラシアン期(Gelasian)からで、ヨーロッパをはじめとする多くの地域の地層や化石に基づいて年代が定められている。更新世は地球環境の大きな変動期であり、複数回の氷期と間氷期の繰り返しに伴って大陸氷床が拡大と縮小を繰り返した。こうした気候変動は生態系や地形、そして人類を含む生物の進化に大きな影響を与えた。
年代と範囲
国際的な合意に基づき、更新世は約258万年前から始まるとされる。それ以前の区分である鮮新世(Pliocene)との境界は、気候変動や地層学的特徴などを総合的に評価して決められた。当初は約180万年前からの区分と考えられていたが、後にジェラシアン期を含めるという見直しが行われ、開始時期が古く改訂された。この時代区分の終わりは約1万1700年前とされ、続く時代は完新世(Holocene)と呼ばれる。更新世の終盤には、いわゆる最終氷期が終了し、地球上の多くの地域で気温が上昇したとされる。
気候と氷期
更新世最大の特徴は、複数回の氷期(Glacial)と間氷期(Interglacial)の交代である。氷期には北半球を中心に巨大な氷床が形成され、海面の高さが大幅に低下した。海退や乾燥が進行したため、動植物の生息域は氷床や寒冷化に追われる形で移動を強いられた。一方、間氷期には氷床が後退し、海面が上昇し、温暖化が進行した。こうした急激な環境変化が断続的に繰り返されることで、生物の種分化や絶滅が活発に起こり、さらに人類の行動範囲や文化的変容にも大きく関与したと考えられている。
人類進化との関連
更新世はヒト科の進化においても極めて重要な時期である。ホモ属(Homo)に属する初期の人類が出現し、火の使用や道具の高度化が進み、狩猟採集や社会的構造が発展した。アフリカ起源の人類がユーラシア大陸へ拡散したのも更新世の氷期と関連が深いとされる。これは、氷期に伴う海面低下が陸続きの経路を生み出し、人類が新たな大陸へ進出できる地形条件を提供したためである。やがてネアンデルタール人やホモ・サピエンスなどが各地で特徴的な文化を形成し、更新世の終盤には現生人類が世界各地へ広く定着した。
更新世の生態系
地球規模の寒冷化と温暖化が交互に訪れた更新世は、生物相に大きな影響をもたらした。マンモスやサーベルタイガー、ジャイアントグラウンドスロスなど、大型の哺乳類が多様に生息し、極端な環境に適応していた。しかし、その後の気候変動や人類の狩猟活動などが影響し、多くの大型動物は更新世末期に絶滅へ向かったと考えられている。一方で、植物相も寒帯から温帯、熱帯へと分布が変化し、地域ごとの固有種が形成・衰退を繰り返しながら多様性を保っていた。
小さな注目点
更新世における地形形成は、現在の風景を理解する上で重要である。大陸氷床の押し出しにより氷河地形が生まれ、氷期の強風が運んだレス(黄土)は肥沃な農地を作り出したとされる。また日本では、海面が低下した際に陸続きとなったルートを通じて古代の動物相が流入した可能性も指摘されている。こうした痕跡は地質学や考古学的調査によって明らかにされ、地域ごとの自然史研究を発展させている。
- 約258万年前から1万1700年前までが更新世とされる
- 複数回の氷期と間氷期が交互に訪れた
- 人類の大陸拡散と進化が活発に進行した