故障モード解析(FMEA)
故障モード解析(FMEA)とは、製品やプロセスにおいて発生し得るすべての故障の種類(モード)を洗い出し、それぞれの影響、原因、検出可能性などを評価・整理する体系的手法である。FMEAは「Failure Modes and Effects Analysis」の略称であり、日本語では「故障モード影響解析」とも訳される。これにより製品やプロセスの信頼性、安全性、品質を向上させることが可能となる。1960年代にアメリカの航空宇宙産業で開発され、その後自動車、製造業、医療機器、エレクトロニクスなど幅広い分野で活用されている。
FMEAの目的
FMEAの主な目的は、設計や製造における潜在的な故障を事前に特定し、発生確率や影響度を評価することで、リスクを低減することである。特に設計段階や製造プロセス初期で活用されることにより、重大な不具合の発生を未然に防ぎ、品質向上とコスト削減に貢献する。事後対応ではなく予防的品質管理を志向する姿勢がFMEAの核心にある。
ちきゅう、駿河湾で海上試験開始
今回の造船所工事でDPSのソフトウエアを換装したことで、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)を実施中。
写真は、試験中の緊張感あふれるブリッジ。 pic.twitter.com/qMQpvw4Go1— MQJ 日本マントル・クエスト株式会社 公式アカウント (@Mantle_Quest) June 27, 2025
FMEAの種類
- 設計FMEA(DFMEA: Design FMEA) – 製品の設計段階で潜在的な故障モードを特定し、改善策を講じる。
- 工程FMEA(PFMEA: Process FMEA) – 製造や組立のプロセスにおいて発生しうる故障や欠陥を分析し、リスクを最小化する。
- システムFMEA(SFMEA: System FMEA) – システム全体の故障リスクを評価し、他のサブシステムやコンポーネントとの相互作用による影響を分析する。
過去の失敗を教訓にするのはいいですが、それが原理原則に基づいて原因究明されたものなのかは非常に重要です
それがされてない中で教訓にしたところで、その対策が本末転倒なものになるからです
という状況の中で設計FMEAの作成が進められていて、今後の設計活動が難儀しそうです
— HG@製造現場ぼやき (@motoE_plt) July 26, 2022
FMEAの実施手順
FMEAは体系的なプロセスで実施され、以下の手順を踏む。
- 対象の選定 – 解析する製品やプロセスを特定する。
- 機能の明確化 – 製品やプロセスが果たすべき機能をリストアップする。
- 故障モードの特定 – どのような故障が発生しうるかを洗い出す。
- 影響の評価 – 故障が発生した場合の影響を分析し、重大度(S)を評価する。
- 発生頻度の分析 – 故障の発生確率(O)を見積もる。
- 検出可能性の評価 – 故障をどの程度検出できるか(D)を評価する。
- リスク優先度数(RPN)の算出 – RPN = S × O × D の計算を行い、リスクの高い項目を特定する。
- 対策の検討と実施 – 高リスクの項目に対する改善策を策定し、実施する。
品質問題を未然に防ぐには、FMEAの表を埋めるだけでは足りないと思う。
大事なのは、
「何が変わると機能が崩れるのか」
「どの誤差が市場で効くのか」
「どんな条件を振れば弱点が見えるのか」
書類より先に、機能と誤差の見方が必要。— 熊野コミチ@実験計画法の伝道師 (@gRDQJkozHInWFxI) June 23, 2026
リスク優先度数(RPN)
リスク優先度数(**RPN: Risk Priority Number**)は、故障のリスクを定量的に評価する指標である。RPNは以下の3つの要素を掛け合わせた値で表される。
- 重大度(S) – 故障が発生した際の影響の大きさ(1~10のスケール)
- 発生頻度(O) – 故障が発生する確率(1~10のスケール)
- 検出可能性(D) – 故障を事前に検出できる可能性(1~10のスケール、値が低いほど検出しやすい)
RPN値が高いほどリスクが高く、優先的に改善策を実施する必要がある。
FMEAを実施したのに、量産で想定外の不具合が出た。
現場ではよくある話です。FMEAは万能ではありません。
洗い出せる故障モードは、実施者の経験と想像力の範囲に限られます。「FMEAをやった」ことと、「リスクを十分に洗い出した」ことは、別の話です。
— 鈴木(崇)@神上コーポレーション株式会社CEO (@kogagami17) June 23, 2026
FMEAの利点
- 予防的な品質管理 – 事前にリスクを特定し、問題が発生する前に対策を講じることができる。
- コスト削減 – 事後対応のコストを削減し、製品やプロセスの効率を向上させる。
- 安全性の向上 – 潜在的なリスクを排除し、安全性を高める。
- 継続的な改善 – 定期的なFMEAの実施により、品質向上のサイクルを確立できる。
FMEAの課題
FMEAは強力なリスク管理ツールであるが、いくつかの課題も存在する。
- 主観的評価の影響 – RPNの評価は専門家の判断に依存し、ばらつきが生じる可能性がある。
- 時間とコストの負担 – 詳細な分析には時間とリソースが必要であり、小規模プロジェクトでは導入が困難な場合がある。
- 継続的な更新が必要 – 製品やプロセスの変更に応じてFMEAを更新する必要があり、適切な管理が求められる。
FMEAで嫌いなのは、概念自体ではなく、多くの人の意見を踏襲して作成する前提があるということで、参加者はみな意見を出しただけで満足しちゃってること。吸い上げた意見についての実行や対策は全て主担当者のみになりがちで、チームとして実行しない点。意見を出すだけほど楽な仕事はないです。
— HG@製造現場ぼやき (@motoE_plt) March 12, 2023
国際標準とFMEA
FMEAは国際規格であるISO 9001やIATF 16949などの品質マネジメントシステムでも重要な要素とされている。特に自動車業界では、AIAG(Automotive Industry Action Group)とVDA(ドイツ自動車工業会)が共同でガイドラインを定めており、これに準拠したFMEAの実施が求められている。こうした標準化は、国境を超えた品質保証体制の構築に寄与している。
導入の留意点
FMEAを導入する際は、単なる形式的作業とならないよう注意が必要である。評価者全員が対象製品やプロセスを深く理解し、現場と密接に連携することで、実効性の高い解析となる。また、文書管理だけでなく、改善の実施・効果確認・継続的な見直しというサイクルを確実に回すことが重要である。
DRやら工程変更、FMEA、DRBFM、CP、ISO監査…
めっちゃ大事なのは重々承知ですが、こんなの楽しいか?
工数対・時間対効果はいかに?#工場の仕事はおもんない
— HG@製造現場ぼやき (@motoE_plt) December 17, 2021
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