リークテスタ|気密漏れを高精度で検出する試験機

リークテスタ

リークテスタとは、密閉構造をもつ部品や製品に空気などの気体で圧力差を与え、漏れ(リーク)によって生じる圧力変化を電気的に検出して合否を判定する検査機器である。リークテストを数値化・自動化するための専用装置であり、水没目視検査に代わる手法として自動車部品、油空圧機器、電池ケース、医療機器などの量産ラインに広く導入されている。試験圧力は対象に応じて10kPa程度から1MPa前後まで設定され、高感度差圧センサにより0.1Pa以下の微小な圧力変動を捉える機種も存在する。判定結果を電気信号として出力できるため、生産設備との連動や検査記録のトレーサビリティ確保が容易になる。

水没検査からリークテスタへ

漏れ検査は長らく、加圧したワークを水槽に沈めて気泡の発生を目視する水没検査や、石けん水を塗布して発泡を確認する方法に頼ってきた。これらは漏れ箇所の特定には有効である。しかし検査時間が長く、判定が作業者の熟練度に依存し、漏れ量を数値として記録できないという弱点を抱えていた。ワークを乾燥させる後工程も必要となるため、タクトタイムの短い量産ラインには組み込みにくい。こうした課題を解決する装置として普及したのが、漏れを圧力変化として電気的に検出するリークテスタである。水圧式・油圧式・空気圧式が開発されてきたが、清浄で乾燥後処理が不要な空気圧式が現在の主流となっている。

測定原理

基本原理は単純で、ワーク内部を加圧または減圧して密閉し、一定時間放置したときの圧力低下(または上昇)から漏れの有無を判定する。気体は圧力の高い側から低い側へ移動するため、漏れ穴があれば内圧は時間とともに変化する。圧力変化ΔPと内容積V、試験時間tから漏れ量Q(Pa・m3/s)はQ=ΔP×V/tとして算出される。検出には圧力センサが用いられ、ワークの圧力変化を直接測定する直圧式と、漏れのない基準タンク(マスタ)との差圧を測定する差圧式に大別される。差圧式は温度変動などの外乱を相殺できるため微小漏れの検出に強く、量産検査の標準的な方式となっている。

主な検査方式の比較

空気圧によるリークテスタにも複数の方式があり、要求される検出感度、ワークの構造、生産タクトによって使い分けられる。加圧口のない完全密封品にはチャンバ方式が選ばれ、ワークを密閉容器に入れて容器側の圧力変化を監視する。より高感度な検査ではヘリウムを使った質量分析方式が採用され、真空度を高めたチャンバ内で10−12Pa・m3/sオーダーの微小漏れまで定量できる。JIS Z 2330には漏れ試験方法の種類と選択指針が、JIS Z 2331にはヘリウム漏れ試験方法が規定されている。

方式 検出対象 おおよその検出限界 特徴
直圧式 ワーク内圧の変化 10−4Pa・m3/s程度 構成が簡素で低コスト
差圧式 マスタとの圧力差 10−6Pa・m3/s程度 外乱に強く量産向き
ヘリウム式 トレーサガス濃度 10−12Pa・m3/s程度 高感度だがガスコストが高い

検査条件の設定

リークテスタの検査サイクルは、加圧・平衡(バランス)・検出・排気の4工程で構成される。加圧直後は断熱圧縮によりワーク内の空気温度が上昇し、その後の温度低下が見かけの圧力降下として現れるため、平衡時間を十分に取らなければ良品を不良と誤判定してしまう。空気は圧縮性流体であり、温度と圧力と体積が相互に影響し合う点を理解した条件設定が欠かせない。判定基準となる許容漏れ量は、製品の機能要求から逆算して決定する。たとえば防水機器であれば水の表面張力を考慮し、空気漏れ量に換算した等価リーク量を設定する。供給側には圧縮機からの清浄なエアが必要で、減圧検査では真空用レギュレータによる負圧の安定化が精度を左右する。

現場運用での注意点

実務上、リークテスタの測定精度を最も乱すのは温度である。成形直後や洗浄直後のワークは内部温度が周囲と数℃異なるだけで圧力変化を生み、微小漏れの判定を不可能にする。このため現場では、検査前にワークを放置して温度をなじませるか、温度補正機能付きの機種を選定するのが定石となっている。シール治具の設計も見落とせない要素で、ワークとの当たり面からの漏れ(治具リーク)は検査そのものを無効化するため、Oリングの圧縮率や治具剛性の管理が実質的な検出限界を決める。装置本体は数十万円台からだが、治具・自動化設備を含めるとライン1系統で数百万円規模の投資になることが多く、検出感度の要求を過剰に高くしないコスト設計が求められる。減圧側の検査では粗真空域の挙動、すなわち真空特性の基礎知識が条件設定の助けになる。

圧力単位の扱い

リークテスタの仕様書では、試験圧をkPaやMPa、漏れ量をPa・m3/sやmL/minで表記するのが一般的である。海外製装置ではmbar(ミリバール)表記が残る場合もあり、1mbar=100Paの換算を誤ると判定基準そのものを間違える。油圧機器の耐圧試験のように高圧域を扱う油圧制御系の検査とは単位の桁が大きく異なるため、装置導入時には単位系の統一を仕様書に明記しておくとトラブルを防げる。

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