シーア派|スンニ派に次ぐ勢力を誇るイスラム教の宗派

シーア派

シーア派とは、アリーとその子孫のみをムハンマドの正統な後継者と認めるイスラム教の分派で、正統カリフの時代の第4代カリフであるシーア=アリー(アリーを支持する派)という意味で名付けられた。その後、イスマーイール派に代表される過激派や、十二イマーム派のような穏健派などに分かれた。スンニ派に次ぐイスラム勢力で、現在、イスラム教徒のほぼ1割を占める。

カリフとしてアリーを支持する

シーア派はシーア・アリー(アリー派)と呼ばれ、ムハンマドの死後、正統派カリフの時代に、第4代のカリフアリーをムハンマドの後継者と認め、アリーを支持する勢力である。スンニ派と異なり、預言者は自分の後継者にアリーを指名していたと主張する。(したがってアリー以前の三人のカリフは認められない。)

ムハンマド家

シーア派では、アリーとその後裔「ムハンマド家の人々」が預言者として正統であり、ウンマの指導者(イマーム)として忠誠を誓っている。しかし、系譜論が問題となり、分派していくことになる。イスマーイール派、十二イマーム派などがその代表である。

十二イマーム派

十二イマーム派は、シーア派内の主要宗派で穏健派である。教義や法解釈においてスンニ派と大きな違いはない。サファヴィー朝では国教とされ、20世紀のイラン=イスラーム革命の原理となった。現在、イラン、イラク、レバノンに信者がいる。

イスマーイール派

イスマーイール派は、シーア派の分派で、過激シーア派でスンニ派と激しく対立した。ファーティマ朝では国教とされた。11世紀頃、暗殺教団がこの中から分派した。

イマーム論

スンニ派とシーア派との教義の違いが最も現れるのがイマーム論である。シーア派によれば、啓示の言葉にはすべて表面的な意味(ザーヒル)のほかに、その背後にもっとも深い真実の内的意味(バーティン)が隠されている。預言者は律法的な側面に主として関わるが、イマーム派預言者が伝えた啓示の内的意味を明らかにする役割を担う。これはイマームが政治的指導と法学的解釈を担うことを意味し、ムハンマドの死に対して、預言者の周期は終わり、イマームの周期が始まるとした。

イスラム法

シーア派はスンニ派とは別の独自の法体系をもち、イスラム教徒はみずからの属する法学派の法によって裁判を受けることができた。

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