エジェクタピン|成形品を金型から押し出す突出しピン

エジェクタピン

エジェクタピンは、射出成形やダイカストで使う金型の部品である。冷えて固まった成形品をキャビティやコアから押し出し、型から取り外す役割を持つ。突き出しピン、イジェクタピンとも呼ばれる。直径0.5mm程度の極細品から32mm前後の太径品まで寸法が規格化されており、国際規格ではISO 6751、ドイツ規格ではDIN 1530が代表的な基準として知られている。

型開きから突き出しまでの動き

成形品は冷却中に収縮するため、コアに強く抱き付く。型を開いただけでは外れない理由はここにある。射出、保圧、冷却の工程が終わると可動型が後退し、続いて成形機のエジェクタロッドがエジェクタプレートを押し出す。プレートに頭部を固定されたエジェクタピンが一斉に前進し、製品を数mmから数十mm押し出す。製品はそのまま落下するか、取り出しロボットに渡される。押し出しが終わるとリターンピンやスプリングでプレートが元の位置に戻り、次の型締めに備える。1ショットのサイクルが20秒前後の汎用品の場合、24時間稼働で1日4,000回を超える往復動作を繰り返すことになる。

形状による分類

押し出す部位の形によって、使うピンの種類は変わる。代表的な4種類を以下に示す。

種類 形状 適した部位 注意点
ストレートピン 頭部以外が同じ直径の丸棒 平面や広い底面 最も安価で種類が豊富
段付きピン 根元が太く、先端だけが細い 直径2mm以下が必要な狭い部分 細い部分を短くして座屈を防ぐ
角ピン(フラットエジェクタピン) 先端の断面が長方形 リブや薄い壁の端面 回り止めが必要
エジェクタスリーブ 中が空洞の円筒 ボスの周り 内側にコアピンを通して使う

材質と表面処理

標準品の多くは、熱間工具鋼のSKD61を母材にして表面に窒化処理を施したものである。芯部のロックウェル硬さは40〜45HRC程度に抑えて粘り強さを残し、表層はHV900以上まで硬くする。こうすることで、こすれによる摩耗と折れの両方に耐えられる。もっと硬さが必要なときは、高速度工具鋼のSKH51を焼入れし、60HRC前後に仕上げた品が選ばれる。ガラス繊維を30%含む強化樹脂のように摩耗しやすい材料を扱う現場では、DLCコーティング品を使う例も多い。

ダイカスト用ピンに求められる条件

アルミニウム合金のダイカストでは、溶けた金属の温度がおよそ650〜700℃に達する。ピンは加熱と冷却を何万回も繰り返し受けるため、熱によるひび割れが起きやすい。窒化層を深くとったSKD61材を使い、樹脂用よりもピン穴との隙間を広めに設定するのが一般的である。

クリアランスとバリの関係

ピンとピン穴の隙間に溶けた樹脂が入り込むと、製品にバリができる。ポリプロピレンやポリアミドは流れやすく、0.01mm程度のわずかな隙間にも入り込んでしまう。そのため片側0.005〜0.01mm程度まで詰めて加工する例が多い。ABSやポリカーボネートのように流れにくい樹脂なら、0.02〜0.03mm程度まで許されることもある。ただし、隙間を詰めすぎるのも危険である。金型温度が上がるとピンが膨らみ、穴の壁とこすれて焼き付く「かじり」が起きる。ピンと穴がぴったり合う長さは直径の2〜3倍程度にとどめ、それより奥は穴を大きめに削って逃がしを設けるのが定石となっている。

製品に残るピン跡と配置の考え方

ピンが当たった場所には、丸い跡が必ず残る。外から見える面は避け、裏側に置くのが基本である。跡の段差は±0.05mm程度で管理される場合が多い。置く場所は、深いリブ、ボスの根元、抜き勾配が0.5°未満の面など、型から外れにくい部分の近くがよい。細いピンを少ない本数で使うと1本あたりの力が大きくなり、製品が白く変色する白化や、ピンが製品を突き破る不良が起きる。薄い製品ほど本数を増やし、押す力を分散させる設計が求められる。

調達と交換の実務

金型部品メーカーのカタログ品では、長さを1mm単位で指定できる追加工品が広く使われている。直径3mmのSKD61窒化品なら、1本数百円程度から手に入る。長さの公差は0〜+0.1mmのように設定されていることが多く、組み付けた後に金型側で先端を研削し、製品面と高さをそろえる。先端を製品の曲面に合わせる必要がある場合は、放電加工などの追加工が欠かせない。この場合、単価は1本数千円から数万円に跳ね上がる。量産工場では予備のピンを金型ごとに保管し、10万ショットごとなど区切りを決めて摩耗を点検する運用がよく見られる。曲面に合わせた特注ピンは納期が2週間ほどかかることもあり、予備を持たないと生産が止まる原因になりやすい。

折損を招く主な要因

ピンが折れると金型を分解しなければならず、半日以上の停止につながることもある。現場でよく挙がる原因は次のとおりである。

  • 細いピンの支えのない部分が長すぎて、押したときに曲がる(座屈)
  • エジェクタプレートが傾き、ピンが穴の壁に片当たりする
  • グリース切れや樹脂から出るガスの焼き付きで、動きが重くなる
  • 抜き勾配が小さすぎて、製品を押し出すのに大きな力が必要になる
  • 冷却が足りず、製品が柔らかいまま押し出してしまう

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