エアホース|空圧配管の柔軟高耐圧汎用ホース

エアホース

エアホースは圧縮空気を安全かつ低損失で輸送する柔軟配管であり、工場の空気圧機器、建設現場の空気工具、塗装や計測の配管まで幅広く用いられる。内層・補強層・外被からなる多層構造が一般的で、材料や寸法、許容圧力、最小曲げ半径、使用温度範囲などの仕様を運用条件に適合させることが要点である。選定時は流量と圧力損失、接続継手の規格、耐油・帯電防止・低発塵といった特性を総合的に確認する。

用途と役割

エアホースはコンプレッサからレシーバタンク、フィルタ・レギュレータ・ルブリケータ(FRL)ユニット、供給マニホールド、最終の空気工具やアクチュエータまでの区間で用いる。可撓性を活かし、機器の微小な相対変位を吸収し、振動を緩和し、据付誤差や組立の自由度を確保する。またスパイラル形状やコイル形状を選べば取り回しと復元性を高められる。塗装・エアブロー・真空発生器の供給など、一時的な延長・仮設配管にも適する。

構造と材料

典型的な構造は、空気と接する内層(チューブ)、引張りと内圧に耐える補強層(編組またはスパイラル)、外部環境から守る外被の三層である。材質例はPVC、PU、NBR、EPDM、CR、PTFEなどがあり、補強にはポリエステルやアラミド繊維、ワイヤブレードが用いられる。柔軟性や耐摩耗性、耐油性、低温柔軟性、耐薬品性、さらには低発塵や導電性(静電気対策)など、用途に応じた最適化が可能である。

  • 一般用途: PVCまたはPUのブレード入りホース
  • 耐油・耐燃料: NBR系、外被強化型
  • 耐薬品・低付着: PTFE内層、ステンレスブレード
  • 低発塵・クリーン: 可塑剤移行の少ない配合、無硅素グレード

材料選定の目安

PUは軽量で屈曲疲労に強く、可搬工具向けに扱いやすい。PVCは価格と入手性に優れる。NBRは油分を含む環境で安定し、PTFEは広い温度域と薬品耐性が必要な用途で有効である。導電配合や導電線入り構造は帯電防止を実現し、粉体塗装や可燃性雰囲気での静電気リスクを抑制できる。

規格・表示と安全率

製品表示には内径×外径、最高使用圧力(常用)、破壊圧力、使用温度範囲、最小曲げ半径、ロット・トレーサビリティなどが示されることが多い。安全率は一般に3:1~4:1程度が目安で、配管の設計・使用ではISO 4414(空気圧の安全要求)などの考え方に整合するよう、圧力スパイク、温度上昇、曲げやねじれ、摩耗の影響を見込んで余裕を取る。

仕様選定と計算の考え方

流量、長さ、内径、継手数・曲がりの多さは圧力損失に影響する。まず必要な末端圧力と許容圧力降下を定め、配管全長と継手・曲がり相当長を見積もる。次に内径を仮定して圧力損失を評価し、許容値内に収まるまで内径やレイアウトを調整する。最小曲げ半径以下の曲げは避け、レイアウトでキンク(折れ潰れ)を防ぐ。

  • 末端機器の必要圧を満たすよう供給圧と配管径を設定
  • 取り回しが多い区間は柔軟性と耐摩耗性を優先
  • 温度・油ミスト・薬品・UVなど環境条件に適合
  • 識別・誤接続防止のため色やマーキングを活用

圧力損失の概念

定常流では管摩擦と継手損失の和で圧力降下が生じ、非圧縮近似ではΔP≒λ(L/D)(ρv^2/2)+Σζ(ρv^2/2)の形で把握できる。圧縮性が効く場合は流速・密度の変化を考慮する。実務上はホース内の流速を過大にしない(例: 20 m/s以下を目安)ことで騒音・損失・振動を抑えやすい。

継手と接続

接続方式はワンタッチ継手(プッシュイン)、バーブ継手+ホースバンド、クイックカプラなどがある。ねじはR(PT)、G、NPTなど規格が混在するため相互互換性に注意する。バーブは適正な差し込み長と均一なクランプが重要で、ワンタッチ継手はホース外径・硬度との整合を確認し、抜け止めとシール面の清浄を維持する。高圧や鞭打ち防止が必要な箇所では安全ケーブルやストレインリリーフを併用する。

取付上の注意

急な折り曲げやねじれ、機器エッジとの干渉は外被摩耗と内層のクラックを招く。ケーブルベアやサドル、保護スリーブで曲げ半径を確保し、擦れを避ける。継手の混在はリーク原因となるため、テーパ・平行ねじやシール方式を統一する。

保守・点検

経時劣化の兆候には硬化、表面の白化(PVC)、膨潤(NBRの油影響)、細かなひび、局所的な扁平化などがある。定期点検では目視と石鹸水によるリークチェックを行い、異常があれば交換する。切断・端末処理は直角切りと面取りを徹底し、微粒子混入を防ぐ。保管は直射日光・高温・オゾン環境を避け、コイル癖や折れ跡が残らないよう大径で巻く。配管末端のドレン抜きやフィルタエレメントの管理も漏れ・腐食・圧損抑制に有効である。

よくある不具合と対策

  • キンク: 曲げ半径の不足。レイアウト見直しやスプリングガードで対策。
  • 摩耗: エッジ接触を避け、保護スリーブを追加。
  • 微小漏れ: 継手規格の不一致や傷。洗浄とシール再施工、規格統一。
  • 静電気: 導電配合や接地付き継手で帯電防止。
  • オイルミスト汚染: フィルタ・ドライヤを適正化し、材料適合を確認。

関連機器との関係

エアホースの性能は上流のエアドライヤ、フィルタ、レギュレータ設定、下流のノズルやアクチュエータの特性と連成する。末端での圧力・流量安定性を高めるため、一次側の貯気量の確保、短く太い幹線、枝線の最適径、継手点数削減、ホース長の最小化を組み合わせる。粉体や塗装では帯電対策、食品・医療では衛生適合材料や無毒性配合を選ぶ。

発注時のチェックリスト

  • 常用圧力・破壊圧力・安全率(MPa)
  • 内径×外径・肉厚・長さ(mm)
  • 最小曲げ半径・屈曲寿命
  • 使用温度範囲(℃)と環境(油、薬品、UV、屋外)
  • 清浄度・低発塵・シリコーンフリーの要否
  • 導電・帯電防止の要否、抵抗値のレンジ
  • 適合規格(ISO、RoHSなど)とトレーサビリティ
  • ねじ規格(R、G、NPT)と継手方式の整合
  • 色・マーキング・識別方法
  • 梱包形態(カット長/ドラム)と補修部品の有無