ねじポート|ISO/JIS規格の配管接続口

ねじポート

ねじポートとは、機器や配管部品の筐体に設けられたねじ込み式の接続口であり、流体(液体・気体)の導入・排出、計測機器の取り付け、ブロックマニホールド間の接続などに用いる開口である。主として管用ねじ(R/Rc、G)やNPT、UNF系のOリングボスなど規格化されたねじ形状と座面構造で構成され、シール方式(ねじシール/面シール/Oリングシール)により漏れを抑制する。適切な規格選定、呼びサイズの判断、座面・溝の精度設計、加工・検査の管理が、耐圧性とメンテナンス性、誤組防止に直結する要素である。

用途と機能

ねじポートは油圧・空圧機器、冷却回路、化学プロセス配管、計装(センサ、圧力計)などで広く用いる。機器外装に直に形成する場合と、ブロックやマニホールドに集約する場合がある。配管方向の自由度、シールの信頼性、保全性(着脱容易性)を満たすため、ポート規格と相手継手の整合が重要である。機械要素としてのボルトの締結と異なり、流体密封と流量確保が主目的である点を押さえるべきである。

規格と種類

ねじポートで用いる主な規格は次のとおりである。各規格はねじ山角、ピッチ、テーパの有無、シール方式、寸法レンジが異なるため、互換性は基本的にない。

  • 管用テーパねじ(R/Rc):JIS B 0203/ISO 7-1。ねじ自体で密封し、PTFEテープやシール剤を併用する。配管現場での実績が長い。
  • 管用平行ねじ(G):JIS B 0202/ISO 228-1。ねじは保持用で、ガスケットや座面で密封する。再組立て性に優れる。
  • NPT/NPTF:ASME B1.20.1(NPT)、SAE系(NPTF)。山角60°のテーパねじ。NPTFはドライシール性を高める設計で、シール剤なしでも漏れ低減を狙う。
  • UNF O-ring boss:SAE J1926、ISO 11926。ストレートねじで保持し、ボス座とOリングで密封する。油圧機器の国際的標準の一つ。
  • ISO 6149 メートルOリングポート:メートルねじ+Oリング座。高圧油圧機器での使用が多い。

呼び記号とサイズの読み方

例として「R1/4」「G3/8」「1/4-18 NPT」などがある。管用ねじの分数表記は管系列の名目径を指し、実寸は分数から直感しにくい。Rは外ねじテーパ、Rcは内ねじテーパ、Rpは内ねじ平行を表す。BSP系(G/R)は山角55°、NPT系は60°であり、角度・ピッチ・頂角が異なるため混用してはならない。

  1. 呼びサイズは流量と圧損の初期設計条件に直結する。
  2. 平行ねじ(G)は座シール部の径・幅を図示し、公差域を明確にする。
  3. テーパねじ(R/NPT)は有効かみあい長さを確保し、過大締付けを避ける。

シール方式

密封の考え方は大きく三つに整理できる。いずれも表面粗さ、真円度、同軸度、締付けトルク管理が成否を左右する。

  • テーパねじシール:RやNPTで、ねじ山同士の接触で密封し、PTFEテープや液状シールを併用する。再使用時は残渣除去が必須。
  • 平行ねじ+座シール:Gねじにメタルガスケットや樹脂ワッシャを組み合わせる。座面の平面度と面粗さ(目安Ra1.6µm)が重要。
  • Oリングボス:UNFやISO 6149のように、ねじは保持、Oリングが密封を担う。組立て時の潤滑と溝寸法の公差管理が要点。

設計上の留意点

ねじポートの設計では、ポート周辺の肉厚、応力集中、座面の強度・硬度、レンチクリアランス、マーキング(規格・呼びの刻印)などを総合的に評価する。座面やOリング溝は相手継手の規格図面に合わせ、公差と面粗さを規定する。流路側の面取り・バリ取りは、流体抵抗と異物混入の両面から必要である。

  • 面取りと逃げ溝:着座時のOリング損傷を防ぐリードイン形状を設ける。
  • ねじ有効深さ:最小かみあい長さを確保し、引抜き・破断を防止。
  • 材質・表面処理:アルミ基材ではインサート採用を検討し、鋼では防錆処理を考慮。
  • 工具空間:ソケットやスパナの作業スペースを図面に反映。
  • 識別:G/R/NPT/ISO 6149などの別を誤組防止のため明示。

加工と検査

加工はタップ、ねじ切りフライス、ドリル+リーマによる座面仕上げなどを組み合わせる。テーパねじは専用タップの管理(摩耗・先端逃げ)が重要で、平行ねじの座面は周辺の段差・傷を避ける治具設計が肝要である。検査は限界ゲージ(プラグ/リング)による通止り判定、座面幅・直角度の三次元測定、耐圧・漏れ試験(静水圧・気密)を実施し、シール剤や切粉の残留を防ぐ洗浄・乾燥・目視を工程化する。

よくある不具合と原因

漏れ・割れ・固着は、規格不一致、過大締付け、表面欠陥、シール材の選定ミスに起因することが多い。現場では同径に見えるため取り違えが起こりやすく、山角の差やピッチの違いを見落とすと初期不良や早期漏れにつながる。

  • 規格違いの混用(NPTとR、G相手にテーパをねじ込む等)。
  • 過大締付けによる座面塑性変形、鋳物ボスの割れ。
  • Oリング材質不適合(温度・媒体・圧力域の不一致)。
  • シール剤の過多/不足、塗布方向ミス、ねじ部の傷・バリ。
  • 洗浄不良による微小漏れ(切粉、シール剤片の噛み込み)。

選定フロー(実務の目安)

現場での選定は、媒体・圧力・温度条件、地域慣行、顧客仕様を踏まえ、互換性を担保する手順で進めると確実である。

  1. 用途・媒体(油、水、空気、化学薬品)と最大圧力・温度を定義する。
  2. 地域・顧客規格(JIS/ISO/ASME/SAE)を確認し、ポート規格を決める。
  3. シール方式(ねじ、座、Oリング)を選び、座面や溝寸法の公差を設定。
  4. 呼びサイズを仮決めし、要求流量と許容圧損で妥当性を検証。
  5. 締付けトルク、潤滑・シール材、再使用可否を作業標準に明記。
  6. ゲージ・耐圧試験・洗浄の検査計画を工程に組み込む。

関連規格

代表的な規格として、JIS B 0202(管用平行ねじ)、JIS B 0203(管用テーパねじ)、ISO 228-1、ISO 7-1、ISO 6149、ASME B1.20.1、SAE J1926、ISO 11926などがある。図面では規格名と呼び、ねじの種類(R/Rc/G/NPT等)、シール方式(座形状やOリング溝寸法)を併記し、誤解を避ける。

用語整理

現場では旧称「PT」がRねじを指す慣用として残ることがあるが、JISではR表記を用いる。G(平行)とR(テーパ)、NPTとNPTF、UNF OリングボスとISO 6149は、それぞれ互換性がない別規格である。ねじポートという用語は「機器側の受け口」を指し、継手やプラグは「相手部品」である。呼称・規格・シール方式を図面と作業標準で統一し、混用を防ぐことが重要である。