Tier 1
「Tier 1(ティア1)」は、金融業界において、特に銀行の自己資本に関する規制や評価に使われる用語である。Tier 1資本は、銀行の健全性や安定性を測る上で最も重要な指標であり、主に普通株式や利益剰余金から構成される。これにより、銀行が将来的に直面するかもしれない損失や経済的なショックに耐えるための基盤を提供する。Tier 1は、バーゼル規制に基づいて定義され、自己資本比率の計算において重要な役割を果たす。
Tier 1資本の構成要素
Tier 1資本の主要な構成要素は、普通株式と利益剰余金である。これらは、銀行の持続可能な資本として評価され、特に財務的な困難が生じた際にも損失をカバーするための資金源となる。また、一部の永久劣後債もTier 1資本として認められることがあるが、基本的には高い流動性と価値の安定性を持つ資産が中心となる。
Tier 1資本比率の重要性
Tier 1資本比率は、銀行の財務健全性を示す重要な指標であり、銀行がどれだけ安全に事業を運営できるかを測る基準となる。この比率が高いほど、銀行が経済的ショックに耐えられる余裕があると見なされる。国際的なバーゼルIII規制では、Tier 1資本比率の最低基準が設定されており、銀行がリスクを過剰に取らないようにしている。
Tier 1資本とバーゼル規制
Tier 1資本は、国際的な銀行規制であるバーゼル規制において、自己資本の質を評価するための中心的な指標である。バーゼルIII規制では、銀行が持つリスクに対して十分な自己資本を保持することを求めており、特にTier 1資本がその基準において重要視されている。この規制は、2008年の世界金融危機の後、銀行のリスク管理を強化するために導入された。
Tier 2との違い
Tier 1とTier 2は、銀行の自己資本の階層を表すものである。Tier 1が銀行の核となる資本を指すのに対し、Tier 2は補完的な資本であり、劣後債や再評価準備金などが含まれる。Tier 2資本は、Tier 1に比べて銀行の財務状態が悪化した際のリスクカバー能力が劣るため、自己資本比率の計算においても重視される度合いは低い。