QFP|四辺リードの薄型汎用IC封止規格

QFP

QFP(Quad Flat Package)は、周辺四辺にガルウィング状のリードを有する表面実装用ICパッケージである。リード数は概ね32〜304程度まで広く、ピンピッチは0.4〜1.0mmが一般的で、高密度実装とリワーク性の両立を図る用途で多用される。樹脂モールド封止の薄型品も多く、携帯機器から産業機器まで幅広い分野で採用されている。

構造と基本寸法

QFPはエポキシ樹脂でモールドされたチップ本体、ダイパッド、ボンディングワイヤ、そして四辺に配された外部接続リードで構成される。リードはガルウィング形状に曲げ加工され、プリント基板のランド上に半田付けされる。JEDECの外形規格に準拠したバリエーションがあり、ボディサイズ、リード数、ピッチ、スタンドオフなどが定義されている。

派生形:LQFP・TQFP・PQFP

薄型のLQFP(Low-profile)、小型のTQFP(Thin/Type)、高ピン数のPQFP(Plastic)など名称が用いられるが、いずれも四辺リードのフラットパッケージ群に属する。設計時には実寸の外形記号(例:14×14mm、0.5mmピッチ、100ピン)で管理し、フットプリントと実装条件を合わせ込む。

利点

  • 可視リードにより外観検査(AOP/顕微鏡)やプローブ接触が容易で、はんだ付けの濡れ不良・ブリッジ検出がしやすい。
  • 0.5mm前後のピッチなら量産実装の歩留まりが確保しやすく、リワークも比較的容易である。
  • 同ピン数のBGA等に比べて基板のビア数やブレイクアウトが簡便な場合がある。

留意点・限界

  • 周辺リードは寄生インダクタンスが大きく、高速I/Oでは信号品質に影響しうる。
  • ピッチが細かいほどブリッジやオープン、コプラナリティ不良のリスクが上がる。
  • ボディ周辺からの放熱は限定的で、熱設計にはスルーホールビアや銅箔面積の確保が必要である。

実装とはんだ付け

はんだペーストは開口比・アスペクト比を満たすメタルマスク設計とし、ピッチ0.5mm以下ではフレーム有りのファインパターンが用いられる。リフローはプロファイル(予熱、ソーク、本加熱、冷却)を管理し、リード先端とランドの濡れ広がりを確保する。部品搭載は吸着位置ずれと部品なじみを抑えるため、クリーム量と位置精度を最適化する。

フットプリント・ランド設計

ランド長はリード先端が十分に乗る外側余長(例:0.3〜0.5mm)と、内側のマージンを両立させる。ソルダマスク開口はSMD/NSMDの選択があり、微細ピッチではNSMDがウェッティング性に有利な場合が多い。シルク印刷は部品外形から適切なクリアランスを取り、はんだレジストの段差やシルクの滲みが接合部に干渉しないよう配置する。

スティンシル・ペースト量の最適化

ブリッジを抑制するため、先細りのトラペゾイド開口やセグメント分割を用いることがある。特に0.4mmピッチでは総ペースト量を抑えつつ、リード先端部に確実なフィレットが形成されるよう開口率と板厚(例:t=0.10mm前後)を設計する。

コプラナリティと外観検査

QFPはリードの平面度(コプラナリティ)不良が実装不良の起点になりやすい。実装前に外観検査でリード浮き、曲がり、バリ、酸化を確認する。実装後はAOIでフィレット形状、はんだ量、ブリッジ、オープンを確認し、必要に応じてX線で内部ボイドの有無を補完的に確認する。

電気的・機械的特性

リードは銅合金にSn系めっき(例:Ni/Pd/Au下地やSnめっき)が施される。高速信号ではリードフレーム由来の寄生成分を等価回路化し、終端・レイアウトで補償する。機械的にはリードは応力集中が生じやすいため、落下衝撃や基板たわみに対してはスペーサや筐体での支持を検討する。

熱設計

QFPはボディ上面からの自然放熱が主体となるため、パッケージ直下にサーマルビアを多数設け、グランド面へ熱を拡散させる。電力密度が高い場合は銅箔の広面積化、ヒートスプレッダ併用、気流条件の最適化を行う。

シグナルインテグリティと配線

クロックや高速差動線はリードの長さ・ループ面積を最小化する配置とし、帰路の連続性を確保する。ピンアサインに従い、グランドピンを近傍に配置してリターンパスのインダクタンスを低減する。ノイズに敏感なアナログピンは電源・デジタルから距離を取り、分割プレーンを適切に処理する。

保管・取扱い

MSL(Moisture Sensitivity Level)に応じた乾燥管理を行い、開封後の実装期限を遵守する。リード酸化を避けるため、防湿梱包と適切な環境での保管が望ましい。ESD対策として帯電防止容器および導電マットを用いる。

適用分野

マイコン、DSP、電源制御IC、通信インタフェースICなど、多様なデバイスがQFPで提供される。視認性とメンテナンス性が求められる産業機器、教育・評価用途、長期供給品の設計で採用されることが多い。

実装トラブルの典型と対策

  1. ブリッジ:ペースト量低減、開口分割、リフロープロファイル最適化。
  2. オープン:コプラナリティ是正、ランド長の見直し、部品なじみ向上。
  3. 濡れ不良:部材清浄度の向上、フラックス活性度と予熱条件の調整。

図面・データ管理

外形図(DXF/STEP)、フットプリント(CADライブラリ)、3Dモデル、実装条件書、検査仕様書をリビジョン管理し、メーカのデータシートとJEDEC外形番号をキーに整合性を保つ。BOMでは品番、ピン数、ピッチ、ボディサイズ、MSL、めっき仕様を属性化する。