LGA
LGA(Land Grid Array)は、ICの下面に配列した金属ランドで電気接続を行う表面実装パッケージである。はんだボールを備えるBGAと異なり、パッケージ側には突起がなく平坦なランドが並ぶため、実装時はプリント基板(PCB)側のパッド上に印刷したはんだペーストで接合する。リードが外周に露出するQFP等と比べ実装面積効率が高く、ピン数増加に伴う周辺配線の逼迫を緩和できる。熱抵抗も低減しやすく、中央に大面積のサーマルパッドを設け、ビアにより銅箔面へ熱を逃がす設計が一般的である。
構造と特徴
LGAはセラミックや有機基材(BTレジンなど)上にメタルランドを格子状に配置する。ランドはNi/Au等で表面処理され、はんだ濡れ性と耐食性を確保する。外形はBGAに類似するがボールが無いため実装高さが低く、ワープ抑制やコプラナリティ管理が歩留まりを左右する。ランドピッチはデバイスにより0.4~1.27 mm程度が一般的で、微細ピッチではソルダブリッジ防止のためペースト量と開口形状の最適化が重要である。
実装プロセス(SMT)
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クリームはんだ印刷:ステンシル厚(例0.10~0.15 mm)と開口率を調整し、ブリッジとボイドの両立回避を図る。サーマルパッド部は分割開口(ウィンドウペイン)を用いボイド低減とはんだ揚がりの均一化を狙う。
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部品搭載:真空ノズルで下面を吸着し、位置合わせ精度(±25 μm級)を確保する。ランドが平坦なため当たり止めが効きにくく、搭載圧とズレ量の管理が必要である。
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リフロー:プロファイルは予熱、ソーク、ピーク(Sn-3Ag-0.5Cuで230~250 ℃程度)、冷却の各領域を設定する。過度なピークはワープやボイド増加を招くためΔT管理が重要である。
基板パッド設計
LGAのパッド設計はNSMD(Non-Solder Mask Defined)とSMD(Solder Mask Defined)を使い分ける。NSMDは銅パッド外形で濡れ広がりを確保し、微細ピッチでは実装許容度が高い。一方SMDはソルダレジストでパッドを定義し、ブリッジ抑制に有利である。サーマルパッド直下には複数のスルーホールビア(ビア・イン・パッド)を配置し、樹脂充填・銅キャップを行うとペースト流出やボイドを低減できる。シルクは部品外周に干渉しないよう離隔を確保する。
電気的・熱的性能
LGAはリードレスで寄生インダクタンスが小さく、高速信号や電源インピーダンス低減に有利である。配線は内層のプレーンやストリップライン/マイクロストリップで特性インピーダンスを制御し、外周のグランドランドをシールド的に配置するとEMI低減に寄与する。熱設計ではパッケージ底面のサーマルパッドから銅箔・スルービア・ヒートスプレッダへ熱を拡散させ、必要に応じてヒートシンクやスルーホール密度の最適化を行う。
検査・信頼性
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外観/寸法:はんだフィレットが側面から見えにくいため、3D AOIやX線(2D/CT)による接合評価が有効である。
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ボイド・ブリッジ:サーマルパッド部のボイド率は熱特性を左右する。分割開口、フラックス活性度、リフロープロファイルで制御する。
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熱サイクル/曲げ:リードレスゆえに応力緩衝が少なく、基板曲げや温度サイクルでクラックが生じやすい。基板厚、銅厚、アンダーフィルの活用で信頼性を向上できる。
他パッケージとの比較視点
BGAはボールにより自己アライメント性と応力緩衝があるが、再工作時のボール再形成が必要な場合がある。QFPははんだフィレット確認が容易だが、ピン密度が上がると実装面積とブリッジリスクが増す。これに対しLGAは低背・高密度で電気的特性に優れるが、検査・リワーク性では工夫が求められるため、製品要求(周波数、熱、コスト、保守性)に基づくトレードオフ設計が要点である。
設計ガイドラインの例
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ランドピッチ0.5 mm級:NSMD推奨、銅パッドはランドより僅少縮小、マスククリアランスは均一に確保。
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サーマルパッド:ウィンドウ開口(例:30~60%開口率)、ビア径0.2~0.3 mm、ピッチは熱流束と実装歩留まりで最適化。
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ステンシル:外周ランドは真円またはオブロング開口、微細ピッチではテーパード開口やナノコーティングで離型性を改善。
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フラックス:低ボイドを狙うなら活性度と溶剤系のバランスを選定し、残渣のイオン性を管理する。
用途とバリエーション
LGAは電源モジュール、RFフロントエンド、センサ、マイコン、ネットワークチップ等に広く用いられる。PC向けCPUではソケット型のLGA規格が採用され、パッケージ側ランドとマザーボード側ピンの接触で交換性と実装応力の分離を図る。産業機器では耐熱・耐振動の観点からアンダーフィル併用や低α材の選定が行われる。
標準化・データシート読み解き
メーカのデータシートにはランドピッチ、コプラナリティ、推奨PCBパッド寸法、ステンシル仕様、はんだ合金、リフロープロファイル(JEDEC参考)が記載される。設計者は実装設備・品質目標に合わせて推奨値を検証し、試作段階でX線・断面観察・インピーダンス測定を実施する。LGAは小型高密度ゆえ、製品寿命中の環境ストレス(湿熱、熱衝撃、機械曲げ)に対する余裕度設計が欠かせない。
補足:リワークの勘所
局所加熱による部品撤去時は周辺部品への熱影響を避ける遮熱と温度プロファイルの再現性が鍵である。サーマルパッド付きLGAははんだの再溶融量が多く、残渣除去・基板パッドの平滑化・再印刷の3点を確実に行う。過加熱は基材のレジン劣化やランド剥離を招くため、熱風量と吸着圧を管理する。