LAN
LANとは、同一の建物や敷地など比較的限定された範囲でコンピュータや周辺機器を相互接続するためのネットワーク技術である。企業や家庭内、学校などで情報共有や機器管理の効率化を目的として広く普及しており、現在のデジタル社会を支える基本的なインフラの一つとなっている。
定義と特徴
LANはLocal Area Networkの略称である。単一もしくは近接したエリアにおける複数の端末を相互に接続し、高速かつ安定した通信環境を確立することを目的としている。同じ建物やフロア内で利用されるため、機器間の物理的距離が短く、データの伝送速度が比較的高速であるという特徴がある。インターネットへの接続に先立ち、まずこの局所ネットワークを形成し、端末同士のファイル共有やプリンタの共用などをスムーズに行う基盤となっている。
歴史的背景
LANが本格的に導入され始めたのは1970年代後半から1980年代にかけてであり、当時は各企業や大学が大型コンピュータを共同利用する一方で、端末同士をつなぐ通信手段として専用のケーブルが用いられていた。その後、イーサネットやトークンリングなどの規格が標準化され、高速伝送と相互接続の自由度が飛躍的に向上した。パーソナルコンピュータの普及とともに、より多くの小規模ネットワークが必要になり、現在の形であるエントリーレベルのイーサネットが急速に一般化した歴史がある。
代表的な規格
有線LANの代表規格としてイーサネット(Ethernet)が挙げられ、IEEE 802.3という国際標準規格に基づいて運用されている。伝送速度は10Mbpsから始まり、100Mbps、1Gbps、10Gbpsへと世代を追うごとに高速化してきた。一方、無線LANはIEEE 802.11シリーズの規格が普及しており、Wi-Fiという名称で広く認知されている。電波を用いることでケーブル敷設の手間を省き、多様なデバイスを柔軟に接続できる利点がある。
構成要素
LANを構築する際には複数の機器が関与する。主なものとして、コンピュータやスマートフォンなどの端末(クライアント)、端末同士を中継してデータの送受信を管理するスイッチやルーター、インターネット接続を可能にするゲートウェイ装置が挙げられる。有線の場合はLANケーブル、無線の場合はアクセスポイント(AP)が必要であり、これらの機器を的確に配置し設定することで安定したネットワーク環境を実現することができる。
ネットワークトポロジー
LANを設計するうえでは、端末や機器をどのように配置・接続するかを示すトポロジーが重要である。代表的な例として、バス型・スター型・リング型などが挙げられる。現在はスター型が主流となっており、スイッチを中心に各端末が個別に接続されるため、障害発生時の切り分けが容易という利点をもつ。一方で、古い設備や特殊な要件がある職場・工場などでは、歴史的経緯から他のトポロジーが併用される場合がある。
セキュリティ対策
LANを外部ネットワークに接続すると、データの漏洩や不正アクセス、マルウェア感染などのセキュリティリスクが高まる。これを防ぐために、ファイアウォールや侵入検知システム(IDS)の導入、無線LANの暗号化(WPA2やWPA3の利用)などが一般的な手法として挙げられる。さらに、利用者認証やアクセス制御リスト(ACL)の設定を行い、許可されたデバイスのみネットワークを利用できる仕組みを構築しておくことが効果的である。
運用管理
企業や大規模施設ではLAN全体の運用管理が重要な課題となっている。機器の故障やトラフィックの集中で通信速度が低下した場合、業務に大きな支障が出る可能性があるため、ネットワーク監視システムや障害対応マニュアルを整備しておく必要がある。さらに、OSやアプリケーションのアップデート時には、トラフィック増加への対応や互換性の確認が必須であり、定期的なメンテナンスを実施することで円滑な運用を実現できる。
将来展望
IoTの進展やクラウド利用の拡大に伴い、LANに接続される機器の種類や数は今後ますます増えると想定される。同時に無線通信の高速化や低遅延化が進むことで、工場やオフィス、家庭内のすべてがネットワークで結ばれる時代が到来しつつある。ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)や仮想化技術なども普及が進み、柔軟かつ安全なネットワーク構成が可能となる一方で、運用管理の複雑化やセキュリティリスクの増大が懸念材料となっている。