IO-Link|センサ/アクチュエータを簡単接続

IO-Link

IO-Linkは、センサやアクチュエータを3線の非シールドケーブルで直接マスタに接続するポイント・ツー・ポイントの通信インターフェースである。IEC 61131-9に準拠し、フィールドバスではなく最下層のデバイス接続規格として設計され、既存の24V離散I/O配線をそのまま活用できる点が特徴である。プロセスデータの周期通信に加え、パラメータや診断といった非周期データも同じ物理線で扱えるため、稼働中の状態把握や予兆保全、迅速な交換作業を支援する。

基本構成とトポロジ

IO-Linkシステムは、PLCに接続されるマスタと個々のデバイス(センサ/アクチュエータ)で構成する。トポロジはデバイスごとのスター型で、各ポートに1台ずつ接続する。マスタは上位とProfinetやEtherNet/IPなどで接続し、下位はM12 A-coded等のコネクタで24V-DC/信号/GNDの3芯配線を用いる。ケーブル長は一般に最大20m程度で、現場配線の自由度と交換性が高い。

物理層とポートクラス

デバイスは24V供給とシリアル信号を共用する。ポートはClass AとClass Bに区分され、Class Bは追加の電源ピンを備え電流の大きいアクチュエータを安定駆動できる。多くのデバイスはSIOモード(スイッチ入出力互換)を備え、IO-Link未対応設備でもデジタルI/Oとして暫定利用できる。

通信プロファイル(COM1/2/3)

  • COM1: 4.8kbps(長距離・堅牢性重視)
  • COM2: 38.4kbps(バランス型)
  • COM3: 230.4kbps(高スループット)

サイクルタイムは負荷と設定に依存するが、数百µs〜数msオーダで安定動作する。プロセスデータ(入力値/出力値)と状態ビット、非周期のISDU(インデックス化サービスデータ)でパラメータや詳細診断をやり取りする。

デバイス記述とパラメータ管理

各デバイスはIODD(IO Device Description)というXML定義を持ち、ベンダID・デバイスID・パラメータ構造・単位・スケーリング・イベント一覧などを機械可読に提供する。マスタのパラメータサーバ機能により、故障交換時に自動で旧設定を復元でき、段取り時間と人的ミスを大幅に削減できる。

診断・イベントと保全性

IO-Linkはイベント通知を標準化しており、過電流、光量不足、汚れ、過温などの異常兆候を上位へ通報できる。これにより、従来のON/OFFだけでは見えなかった劣化や設置不良を早期に把握し、予防保全や品質トレーサビリティを実現する。

マスタ選定とゲートウェイ

ポート数、Class A/B混在、絶縁、上位プロトコル(Profinet/EtherNet-IP/Profibus等)、IP保護等級、分散取付の可否を比較してマスタを選ぶ。必要に応じてリモートI/O筐体やブロック型を使い、現場近傍に配置して配線を最短化する。ゲートウェイを介せば異なる上位ネットワークでも一貫したデバイス運用が可能である。

導入手順と設定フロー

  1. 機器選定:測定レンジ、応答時間、出力型式、必要電流、取付規格を整理
  2. 配線設計:3線ケーブル長、電源容量、ノイズ源からの離隔、クランプ計画
  3. IODD取得:ベンダサイトから当該機種のIODDを取り込み
  4. ポート設定:COM速度、自動検出、SIO/IO-Link切替、サイクル時間
  5. パラメータ投入:スケーリング、フィルタ、しきい値、イベント閾値
  6. 検証:プロセスデータ監視、イベント発生試験、交換復元の確認

他方式との位置づけ

IO-Linkはフィールドバスそのものではなく、デバイス接続の標準化である。フィールドバス(例えばModbus、Profibus、DeviceNetなど)が「局所ネットワーク」を構築するのに対し、IO-Linkは「最後の1m」を汎用化して、メーカーを跨いだ同一の設定・診断手順を提供する。これによりマルチベンダ環境でも立上げと保全の運用コストを下げられる。

代表的な用途

  • スマートセンサ:距離、圧力、温度、流量、カラー、バーコード等の高機能化
  • アクチュエータ:電空変換器、比例弁、バルブ島、ライトスタックの詳細制御
  • コンベヤ/包装:位置決め、段替え、レシピ一括変更、ティーチング支援
  • 金属加工/自動車:ツール摩耗監視、冷却液圧監視、ロボットエンド周辺

拡張規格:IO-Link Wireless

IO-Linkの無線拡張は、免許不要帯での確定的通信と再送制御を備え、回転体や可動部、衛生要件の厳しい設備での配線削減に有効である。既存の有線資産と併用し、エリアや用途に応じて段階的に適用するのが実務的である。

設計上の留意点

電源設計では起動電流と電圧降下に配慮し、分岐ごとの保護と配線長を管理する。EMCではノイズ源からの離隔と接地の一貫性を確保する。イベント設定は過検知/未検知のリスクを見積もり、品質要求に合わせて閾値とヒステリシスを調整する。交換性を高めるため、型式ごとにIODDと初期パラメータを資産管理台帳と紐づけることが望ましい。

ベストプラクティス

  • パラメータサーバを常時有効化し、交換復元を自動化
  • 重要センサはイベントログを定期吸い上げ、傾向監視に反映
  • COM3はノイズ余裕・負荷・ケーブル品質を踏まえ段階的に適用
  • デバイスIDを機能単位で体系化し、保全工数を短縮

導入効果

標準配線・標準設定・標準診断という三位一体により、立上げ時間の短縮、ダウンタイムの削減、スモールスタートからの段階拡張、ベンダ混在の選択自由度向上を実現する。結果として、ライフサイクル全体のTCO低減とデータ駆動の運転最適化に資するのがIO-Linkの価値である。