FIFA ワールドカップ 2026 ヴラディミール・ツォウファル
ヴラディミール・ツォウファル(Vladimír Coufal、1992年8月22日生まれ)は、チェコ共和国出身のプロサッカー選手である。ポジションは右サイドバックで、ドイツ・ブンデスリーガのTSGホッフェンハイムに所属し、チェコ代表の主力を担う。2026年FIFAワールドカップには20年ぶりに出場権を手にしたチェコ代表の一員として選出され、グループAの韓国戦・南アフリカ戦・メキシコ戦に臨む。攻守にわたる高い運動量と正確なスローインを武器に、33歳となった現在もチームのリーダーとして代表を牽引する。
基本プロフィール
ヴラディミール・ツォウファルは1992年8月22日、チェコスロバキア(現チェコ共和国)のルドゲジョヴィツェ村で生まれた。身長174cmと右サイドバックとしては小柄な体格ながら、スピードと献身的な守備で国内外のリーグを渡り歩いてきた。母のアレナ・ドジェヴィャナーは1988年ソウルオリンピックに出場したチェコスロバキアの体操選手であり、弟のペトルと妹のヤナはいずれもフィギュアスケーター。スポーツエリートの家系に生まれながら、ツォウファル自身がサッカーの道を選んだ背景には、幼少期から続けた地元クラブでの経験がある。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生年月日 | 1992年8月22日(33歳) |
| 出身地 | ルドゲジョヴィツェ(チェコ) |
| 身長 | 174cm |
| ポジション | 右サイドバック |
| 利き足 | 右足 |
| 現所属クラブ | TSGホッフェンハイム(ドイツ) |
| 代表キャップ数 | 63試合(2ゴール) |
| 代表デビュー | 2017年11月11日 vs カタール |
下積み時代とスロヴァン・リベレツ
ヴラディミール・ツォウファルのキャリアは、決して平坦なものではなかった。地元の強豪バニーク・オストラヴァのアカデミーに在籍したものの、「体が小さすぎる」との理由で17歳時に戦力外通告を受けた。その後、アマチュアクラブのビロヴェツへと移り、「40代のおじさんたちとソーセージとビールを賭けてプレーしていた」と後に語るほどの下積み生活を送った。2010年にフルチーンで初めてプロとしてのキャリアをスタートさせ、同年オパヴァへのローン移籍を経て、2012年にチェコ・ファーストリーグのスロヴァン・リベレツへ加入。同クラブで6シーズンにわたって150試合以上に出場し、キャプテンを務めながら2015年チェコカップ制覇に貢献。ユース時代に否定された選手が一流への道を切り拓いた、背景のある経歴である。
スラヴィア・プラハでの飛躍
リベレツでの安定したパフォーマンスが評価され、2018年7月にスラヴィア・プラハへ移籍。移籍金は1,800万チェコ・コルナ(約1億円相当)と報じられた。スラヴィアでは旧知のジンドジフ・トルピショフスキー監督(リベレツ時代の恩師)と再会し、2シーズン連続でチェコ・ファーストリーグ優勝と国内カップタイトルを獲得した。2018-19シーズンには39試合4得点、翌シーズンには42試合3得点と安定した数字を残し、右サイドバックとしてのポジションを確立。攻守両面での貢献が英プレミアリーグのスカウト陣の目に止まり、2020年秋、プレミアリーグへの扉が開いた。
ウェストハムでの5年間とUEFAカンファレンスリーグ制覇
2020年10月2日、ヴラディミール・ツォウファルはウェストハム・ユナイテッドへ540万ポンド(約10億円)で移籍した。同クラブには同じチェコ代表のトマーシュ・ソウチェクも在籍しており、チェコ人コンビとして英国内でも話題を集めた。初シーズンは34試合に出場し、アシスト数7本を記録。2020-21プレミアリーグではサイドバックのアシスト最多タイ記録として話題となった。2023年にはUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ決勝でフィオレンティーナを2-1で下し、クラブ史上初のヨーロッパタイトル獲得に貢献。通算180試合に出場した後、2025年5月に退団が発表され、同年8月にフリーエージェントとしてTSGホッフェンハイムへ1年契約で加入した。
ホッフェンハイムでの活躍
2025-26ブンデスリーガシーズン、ヴラディミール・ツォウファルはホッフェンハイムで全34試合にスタメン出場し、1ゴール8アシストを記録した。新天地でのパフォーマンスは際立っており、クリスティアン・イルツァー監督は「彼が最初に私に聞いてきたのは『トップ6を狙えますか』という言葉だった。年齢に関係なく、高いレベルを発揮し続けている」と絶賛。チームの欧州出場圏内フィニッシュに大きく貢献し、ベテランながら衰えを感じさせないプレーを披露した。ブンデスリーガの環境でもコンスタントな出場機会を確保し、チェコ代表のレギュラーとして2026年W杯に臨む強固な地位を築いた。
チェコ代表でのキャリア
ヴラディミール・ツォウファルがチェコ代表にデビューしたのは2017年11月11日、カタールとの親善試合であった。2020年9月にはスロバキア戦(UEFAネーションズリーグ)で代表初ゴールを決め、以後はチームの不動のレギュラーとして地位を固めた。UEFA EURO 2020ではベスト8進出に貢献。2021年11月にはエストニア戦で代表キャプテンを初めて務めた。2023年11月にはモルドバ戦の前日にクラブ仲間と外出したことを理由に代表合宿から追放されるアクシデントがあったが、その後も呼び戻されEURO 2024にも参加。W杯予選では2025年11月にジブラルタル戦(6-0)で2点目のゴールを記録した。2026年5月31日、FIFAワールドカップ2026に臨む26名の最終メンバーに選出され、20年ぶりのW杯出場を果たす代表の右サイドバックとして名を連ねた。
FIFA ワールドカップ 2026 グループAでの戦い
チェコはFIFA ワールドカップ 2026 グループステージのグループAに振り分けられ、韓国・南アフリカ・メキシコと同居した。第1戦(6月11日 vs 韓国)では59分にラディスラフ・クレイチのヘディングで先制したものの、67分と80分に失点を許し1-2で逆転負けを喫した。ヴラディミール・ツォウファルはこの試合でロングスローを武器として活用し、先制点のきっかけを作ったと報じられた。第2戦(6月19日 vs 南アフリカ)では前半6分にダイレクトパスでの先制に成功したものの、83分にPKで追いつかれ1-1のドローに終わった。グループ突破のために第3戦(6月25日 vs メキシコ)での勝利が不可欠な状況に追い込まれている。
プレースタイルと特徴
ヴラディミール・ツォウファルのプレースタイルは、右サイドバックとして攻守両面にわたる献身的な運動量が最大の特長である。守備では対人の強さと素早いポジション修正を武器とし、攻撃時はオーバーラップからのクロスとサイドチェンジで好機を演出する。特にロングスローは独特の武器とされており、チェコ代表の戦術にも組み込まれることがある。ブンデスリーガのシーズン通算FotMobレーティング7.35は右サイドバックの中でもトップクラスに位置し、試合を通じた集中力と一貫したパフォーマンスが評価されている。パス成功率は80.56%(代表・欧州予選期間)と高く、守備的なタスクをこなしながらも確実なボールつなぎができる点がチームに安定感をもたらしている。
主なタイトル
- チェコカップ(2014-15):スロヴァン・リベレツ所属時
- チェコ・ファーストリーグ(2018-19、2019-20):スラヴィア・プラハ所属時
- チェコカップ(2018-19):スラヴィア・プラハ所属時
- チェコスロバキア・スーパーカップ(2019):スラヴィア・プラハ所属時
- UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(2022-23):ウェストハム・ユナイテッド所属時
20年ぶりのW杯とチェコ代表の背景
チェコがFIFA ワールドカップ 2026 チェコサッカー代表としてワールドカップの舞台に立つのは2006年ドイツ大会以来、実に20年ぶりである。欧州プレーオフではデンマークをPK戦の末に下して出場権を掴み取り、74歳のイヴァン・ハシェク監督の指揮のもとで本大会に挑んでいる。ヴラディミール・ツォウファルはその20年間でベテランの域に達した33歳であり、チームの精神的支柱として若い選手たちを束ねる役割を担っている。過去のW杯ではペトル・チェフやパベル・ネドベドらのスターが在籍したが、今大会のチェコは「スターはいない」とされながらも、組織力と粘り強さで欧州予選を勝ち抜いてきた。ツォウファルはチームの献身と勝利への意欲を体現する存在として、大会の行方を左右する鍵を握っている。
スポーツ一家としての背景
ヴラディミール・ツォウファルの家族は、チェコスポーツ界において特筆すべき存在である。母アレナ・ドジェヴィャナーは1988年ソウルオリンピックにチェコスロバキア体操チームの一員として出場した元オリンピアンである。弟のペトルと妹のヤナはいずれも現役のフィギュアスケーターとして活動しており、ツォウファル家はチェコを代表するスポーツエリート一家として知られる。サッカー選手としては異色の家庭環境ながら、幼少期から競技スポーツに親しんだ環境が、プロとして成功するための精神的な土台を築いたと本人も語っている。チェコ代表のなかでも、その生き様はひときわユニークなバックグラウンドを持つ選手として注目される。
コメント(β版)