FIFA ワールドカップ 2026 ロベルト・マルティネス
ロベルト・マルティネス(Roberto Martínez Montoliú、1973年7月13日生まれ)は、スペイン・カタルーニャ州バラゲー出身の元サッカー選手・指導者であり、FIFA ワールドカップ 2026においてポルトガル代表を指揮する監督である。現役時代はミッドフィールダーとして活躍し、引退後はイングランドのクラブでキャリアを積んだ後、ベルギー代表(2016〜2022年)を経て2023年1月にポルトガル代表監督へ就任した。ポルトガルを率いて40試合で30勝4分け6敗という成績を残しており、ポルトガル代表史上すべての公式監督の中で最高の勝率を誇る。2026年大会ではクリスティアーノ・ロナウドをはじめとする黄金世代を率い、ポルトガル悲願のワールドカップ初制覇に挑む。
選手としての経歴
ロベルト・マルティネスは1991年にサッカー選手としてデビューし、母国スペインのレアル・サラゴサに在籍した経験を持つ。ただし、リーガ・エスパニョーラでのプレーはわずか1試合に留まり、1995年にウィガン・アスレティックへフリートランスファーで加入した。その後マザーウェルFC、スウォンジー・シティAFCなどでプレーし、2007年に現役を引退した。選手としての経験をイングランドで積んだことが、後の指導者キャリアの基盤となった。引退後は同国でコーチングキャリアをスタートさせ、選手時代に在籍したスウォンジーおよびウィガンで監督として再び指揮を執ることになる。
イングランドでの指導者キャリア
ロベルト・マルティネスは2007年にスウォンジー・シティの監督に就任し、指導者としての第一歩を踏み出した。2009年からはウィガン・アスレティックの指揮を執り、2012〜2013シーズンにはクラブ史上初のFAカップ優勝という歴史的な快挙を達成した。ただし、同シーズンのプレミアリーグでは18位に終わりチャンピオンシップ(2部リーグ)降格を招いたため、監督を退任した。翌2013〜2014シーズンからはエバートンの監督に就任し、初年度に5位という好成績を収めたが、2015〜2016シーズン中に成績不振を理由に解任された。この時期に培った選手の個性を引き出す人材育成術と、ポゼッションを重視した戦術的な手法が、後のベルギー代表での成功の礎となった。
ベルギー代表での実績
2016年8月、ロベルト・マルティネスはベルギー代表監督に就任した。エデン・アザールやロメル・ルカク、ケビン・デ・ブライネらを擁する「黄金世代」をまとめ上げ、2018年ロシアワールドカップではベルギー代表史上最高成績となる3位に導いた。この功績により、同年の「ザ・ベスト・FIFAフットボールアウォーズ」最優秀監督賞の候補11人にノミネートされ、世界的な評価を確立した。一方、優勝候補として臨んだ2022年カタールワールドカップではグループステージ敗退という予想外の結果に終わり、6年間の代表指揮に幕を閉じた。ベルギーを率いた6年間で61試合を指揮し、47勝という輝かしい成績を残した。
ベルギー時代の戦術的特徴
ベルギー代表監督時代のロベルト・マルティネスは、3-2-4-1などのシステムを基軸としたポゼッション志向の戦術を採用した。前線から積極的にプレスをかけつつボールを保持し、個々の選手の特長を最大限に発揮させる配置の工夫が特徴的であった。エデン・アザールのドリブル突破やケビン・デ・ブライネの縦パスを有機的に組み合わせ、攻守に洗練された組織戦術でイングランドなどの強豪を圧倒する場面も多かった。強豪相手には守備的なアプローチも厭わない柔軟性を持ち合わせており、状況に応じて戦い方を変えられるコーチングが評価された。
ポルトガル代表監督就任
2023年1月9日、ロベルト・マルティネスはポルトガル代表監督に就任した。フェルナンド・サントス前監督の退任を受けての就任であり、スペイン人がポルトガルを指揮するという異例の人選として注目を集めた。就任後はブルーノ・フェルナンデスやベルナルド・シウヴァら中堅世代を軸に据えつつ、クリスティアーノ・ロナウドの処遇を巡る難しいマネジメントにも対応した。就任以来、40試合で30勝4分け6敗という成績を収め、ポルトガル代表史上最高の勝率を記録している。2024〜2025シーズンのUEFAネーションズリーグでもポルトガルを優勝に導くなど、チームの実力を着実に高めている。
2026年W杯に向けたメンバー選考
ロベルト・マルティネスは2026年5月19日に本大会に向けた代表メンバーを発表した。通常の上限26名を超える27名を登録し、クリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)、ブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)、ルベン・ネヴェス(アル・ヒラル)、ジョアン・ネヴェス(パリ・サンジェルマン)、ヴィティーニャ(パリ・サンジェルマン)、ペドロ・ネト(チェルシー)、ラファエル・レオン(ACミラン)らが順当に選出された。グループKにはコロンビア、コンゴ民主共和国、ウズベキスタンが入り、比較的突破しやすい組み合わせとみられている。
2026年W杯での戦術と布陣
2026年W杯初戦のコンゴ民主共和国戦において、ロベルト・マルティネスはGKにジオゴ・コスタを起用し、右からジョアン・カンセロ、トマス・アラウージョ、レナト・ヴェイガ、ヌーノ・メンデスが並ぶ4バックを採用した。中盤ではヴィティーニャ、ジョアン・ネヴェス、ブルーノ・フェルナンデスが豪華なトライアングルを形成し、右ウイングにベルナルド・シウヴァ、左にペドロ・ネト、最前線にクリスティアーノ・ロナウドを配する攻撃的な4-3-3システムを採用した。中盤の厚みと両ウイングの推進力を組み合わせたこの布陣は、グループステージ突破からノックアウトステージへの勢いをつけるうえで重要な選択と位置づけられている。
W杯後の動向
ロベルト・マルティネスのポルトガルサッカー連盟との契約は2026年7月末で満了する予定であり、大会の成績に関わらず契約を更新しない意向を示している。英国メディアの報道によると、プレミアリーグのクラブへの復帰を強く希望しているとされている。一方で、ポルトガル代表と戦術的なつながりを持つクリスティアーノ・ロナウドが所属するアル・ナスル(サウジアラビア)の次期監督候補として最終段階の交渉を進めているという情報も複数のメディアが伝えており、2016年以来のクラブ指揮官復帰の場がサウジアラビアになる可能性もある。いずれの選択肢を取るにせよ、マルティネスは国際舞台での卓越した実績を携えて次の挑戦へ向かうことになる。
ポルトガル代表監督としての評価
ロベルト・マルティネスがポルトガル代表に残した最大の功績は、チームを若返らせつつ勝率を代表史上最高水準へ引き上げた点にある。EURO 2024では準々決勝でフランスにPK戦の末に敗退し、大会タイトルには届かなかったが、その後のUEFAネーションズリーグ優勝でチームの総合力を証明した。ボール保持を基盤としながらも守備の堅さと選手の個性を融合させる指導哲学は、FIFA ワールドカップ 2026においてポルトガルを優勝候補の一角に押し上げた。ポルトガルがFIFAランキング5位(2026年6月時点)を維持していることも、この3年間の積み上げの証左といえる。
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