FIFA ワールドカップ 2026 ヤン・ムラカル|チェコが誇る長身GKの実力と軌跡

FIFA ワールドカップ 2026 ヤン・ムラカル

ヤン・ムラカル(Jan Mlakar、1998年10月23日生まれ)は、スロベニア出身のプロサッカー選手である。ポジションはフォワードで、センターフォワードおよびウインガーとして幅広くプレーできる。身長183センチメートルの長身と右足を主体としたプレースタイルを持ち、スロベニア代表として30キャップ以上を積み重ねてきた実力者である。ACFフィオレンティーナのユース出身という華麗なキャリアの一方で、プロ入り後は複数クラブへのローン移籍を繰り返し、着実に経験を積んでいった。UEFAユーロ2024ではスロベニア代表の全4試合に出場し、チームのラウンド16進出に貢献した。しかしFIFA ワールドカップ 2026の欧州予選ではスロベニアが突破を果たせず、本大会への出場を逃している。

基本プロフィール

ヤン・ムラカルは1998年10月23日、スロベニアの首都リュブリャナで生まれた。地元クラブのAlfaでサッカーを始め、その後NKドムジャレのユースアカデミーへと移籍した。2015年初頭、わずか16歳のときに約100万ユーロの移籍金でイタリア・セリエAのACFフィオレンティーナへ移籍し、欧州のトップクラスのユース環境で鍛えられた。フィオレンティーナのU-19チームではキャプテンを務め、2016-17シーズンにはチームトップスコアラーにもなっている。183センチメートルの体格を活かした空中戦と、裏への抜け出しを組み合わせた得点パターンが特徴である。

プロキャリアの黎明期

ヤン・ムラカルのプロとしてのデビューは2017年4月30日、フィオレンティーナのセリエA・パレルモ戦で訪れた。同じスロベニア出身のヨシップ・イリチッチと交代する形で70分から出場し、プロ初舞台を踏んだ。2017-18シーズンにはセリエBのヴェネツィアへローンで派遣されたが出場機会は限られ、2018年1月にNKマリボルへ移籍金120万ユーロで完全移籍した。マリボルでは2シーズン合計44試合・17ゴールを記録し、2018-19シーズンにはリーグ優勝にも貢献した。この活躍が認められ、2019年1月にはプレミアリーグのブライトン&ホーヴ・アルビオンが推定270万ポンドで獲得した。しかしブライトンでのトップチーム出場はなく、QPRおよびウィガン・アスレティックへのローン期間でも得点を記録できなかった。

ハイドゥク・スプリトでの飛躍

2021年7月、ヤン・ムラカルはブライトンとの契約を終了し、クロアチアの名門HNKハイドゥク・スプリトと4年契約を締結した。移籍初戦のロコモティヴァ・ザグレブ戦でいきなり2ゴールを挙げる鮮烈なデビューを飾り、クロアチアでの適応をすぐに示した。2021-22シーズンは27試合7ゴール、2022-23シーズンは33試合11ゴールと着実に得点を積み上げ、選手としての評価を高めた。ハイドゥクでの活躍が後のスロベニア代表定着にもつながっており、クロアチア時代はキャリアの転換点となっている。ハイドゥクでの通算出場は69試合を超え、キャリアで最多出場数を誇るクラブとなっている。

ピサとアミアンでのイタリア・フランス生活

2023年8月、ヤン・ムラカルはハイドゥク・スプリトからイタリアのセリエBクラブ・ピサへ約340万ユーロで完全移籍した。2023-24シーズンはピサで24試合3得点を記録し、12月にはアスコリ戦で初ゴールを挙げた。しかし2025年1月にはピサからハイドゥク・スプリトへ期限付き移籍でリターン。その後2025年8月にはピサがフランスのリーグ2所属アミアンSCへ再ローン移籍させ、2025-26シーズンはリーグ2でプレーしている。欧州各国のリーグで経験を積んだことがヤン・ムラカルの最大の強みであり、フィオレンティーナ育ちとしての技術的な基盤に加え、多様なサッカースタイルへの順応力を持つ。

主要クラブ在籍歴

期間 クラブ リーグ 出場 得点
2015–2018 ACFフィオレンティーナ(ユース含む) セリエA 1 0
2018–2019 NKマリボル(ローン→移籍) スロベニア1部 26 13
2019–2020 QPR(ローン) チャンピオンシップ 6 0
2020 ウィガン(ローン) チャンピオンシップ 1 0
2020–2021 NKマリボル(ローン) スロベニア1部 32 14
2021–2023 HNKハイドゥク・スプリト クロアチア1部 69超 18超
2023–現在 ピサSC(アミアンへローン中) セリエB / リーグ2 36+ 3+

スロベニア代表としての歩み

ヤン・ムラカルはU-15からU-21まですべての年代のスロベニア代表でプレーしている。特に2015年UEFAヨーロッパU-17選手権予選では8得点を挙げ、予選全体の最多得点者となった。2021年6月1日、北マケドニアとのアウェー親善試合でシニア代表デビューを飾り、同月4日のジブラルタル戦では代表初ゴールも記録した。UEFAユーロ2024ではスロベニア代表に招集され、グループCの全3試合(デンマーク、セルビア、イングランド)に出場。スロベニアは史上初めてユーロのグループステージを無敗で突破し、ラウンド16ではポルトガルとPK戦まで戦い抜いた。この大会が代表キャリアにおける最大の舞台となっている。

ワールドカップ2026欧州予選と代表の苦境

ヤン・ムラカルが代表として挑んだ2026年FIFAワールドカップの欧州予選は、スロベニアにとって厳しい戦いとなった。UEFA予選グループBに入り、スイス・コソボ・スウェーデンと同居したスロベニアは、2025年11月15日にコソボにホームで0-2と敗れた時点で本大会出場の可能性が消滅した。予選での5試合で3分2敗と1勝も挙げられず、1998年W杯予選以来初めて勝ちなしで終わるという結果に終わった。グループ1位のスイスが直接出場権を獲得し、2位コソボはプレーオフへ進む一方で、スロベニアは2002年・2010年以来16年ぶりとなるW杯出場への夢が潰えた。この予選不振の責任を取る形でマタジ・ケク監督は退任し、2026年1月に元代表主将ボシュチャン・ツェサルが後任に就いている。

選手反乱と代表チームの転換点

スロベニア代表のキャリアにおいてヤン・ムラカルは2020年10月、U-21代表監督プリモシュ・グリハの選手への不適切な言動に抗議する選手反乱のリーダーとなった。キャプテンとして仲間の選手たちをまとめ、スロベニアサッカー協会(FAČR)へ問題を提起した結果、グリハ監督は解任された。しかしこの件に関与したことでムラカルは新監督ミレンコ・アチモビッチのもとで2021年U-21欧州選手権のメンバーから外れるという代償も支払っている。リーダーシップと倫理的判断力を示したこのエピソードは、選手としての人格を語る上で欠かせないエピソードとして知られている。

プレースタイルと特徴

ヤン・ムラカルのプレースタイルは、高い身体能力と戦術的な柔軟性を兼ね備えている点が際立つ。センターフォワードとしての得点力に加えて右ウイング・左ウインガーとしても機能する汎用性は、複数のチームで高く評価されてきた。スペースへの飛び込みと裏抜けを得意とし、クロスボールへの合わせ方も巧みである。ジョシップ・イリチッチへの強い敬意を公言しており、同じスロベニア出身の先輩から多くを学んだと語っている。フィオレンティーナ時代から培われた技術的な土台が、各国のリーグでの適応を支えている。スロベニア代表選手一覧の中でも、国際経験の豊富さと多ポジション対応力で際立つ存在である。

ユーロ2024での歴史的活躍

スロベニア代表が24年ぶりにヨーロッパ選手権出場を果たしたUEFAユーロ2024は、ヤン・ムラカルにとってもキャリアの頂点となる舞台であった。グループCでデンマーク(0-1)、セルビア(1-1)、イングランド(0-0)と対戦し、スロベニアは無敗でグループを突破するという快挙を達成した。ムラカルは全4試合に出場し、チームの攻撃オプションとして機能した。ラウンド16ではポルトガルと対戦し、0-0のまま延長戦・PK戦に突入するも惜敗している。この大会でのパフォーマンスが代表選手としての地位を確立させ、続くワールドカップ予選でも主力として戦い続けた。

  • グループC第1節:デンマーク戦(0-1・出場)
  • グループC第2節:セルビア戦(1-1・出場)
  • グループC第3節:イングランド戦(0-0・出場)
  • ラウンド16:ポルトガル戦(0-0・PK敗退)

FIFA ワールドカップ 2026 との関連

スロベニアがFIFA ワールドカップ 2026の本大会出場を逃したことにより、ヤン・ムラカルも北中米W杯の舞台に立つことはなかった。予選グループBでは6試合を戦い、3分2敗という成績で3位に終わった。欧州16のW杯出場枠を争う熾烈な戦いで、上位のスイスとコソボに届かなかった。代表デビューから30キャップ以上を積み上げ、5ゴールを記録しているムラカルだが、W杯本大会への切符を手にするという目標はユーロ2024の栄光に続く大きな課題として残っている。次の欧州予選やネーションズリーグでの活躍を通じて、スロベニアが再び国際舞台の頂点を目指す際に、彼のリーダーシップとゴール能力が欠かせない要素となるであろう。

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