FIFA ワールドカップ 2026 ミロシュ・ケルケズ
ミロシュ・ケルケズ(Miloš Kerkez、セルビア語キリル文字:Милош Керкез、2003年11月7日生まれ)は、ハンガリー代表の左サイドバックであり、イングランド・プレミアリーグのリヴァプールFCに所属するプロサッカー選手である。セルビアのヴルバスで生まれ、ハンガリー国籍を取得してハンガリー代表でのプレーを選択した。幼少期にオーストリアのラピード・ウィーンで育成を受け、ACミラン、AZアルクマール、AFCボーンマスを経て、2025年6月にリヴァプールへ移籍した。2025年11月のFIFAワールドカップ2026欧州予選最終節でハンガリーは劇的な敗戦を喫し、本大会への出場権を逃した。欧州を代表する攻撃的な左サイドバックとして高い評価を受けており、ワールドカップ不出場という結末は多くのサッカーファンに衝撃を与えた。
選手プロフィール
ミロシュ・ケルケズは2003年11月7日、当時のセルビア・モンテネグロ(現セルビア)のヴルバス市で生まれた。身長180cm、ポジションは左サイドバック。ハンガリー代表としてプレーするが、セルビア代表でのプレー資格も有していた。ユース時代はOFKヴルバスからラピード・ウィーンへと移籍し、2014年から2019年まで同クラブのアカデミーで育成を受けた。その後ハンガリーに渡り、ヘードメズーヴァーシャールヘイFCを経て、2019年にジェールETOFCのユースへと加入した。ジェールでの指導者たちとの出会い、そして周囲のサポートがハンガリー代表でのプレーを選択する大きな動機となったと語っている。兄のマルコ・ケルケズもプロサッカー選手であり、アリス・テッサロニキでプレーしている。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| フルネーム | Miloš Kerkez |
| 生年月日 | 2003年11月7日(22歳) |
| 出身地 | ヴルバス(セルビア) |
| 身長 | 180cm |
| ポジション | 左サイドバック |
| 所属クラブ | リヴァプールFC(2025年〜) |
| 代表 | ハンガリー代表 |
ユース・キャリアの歩み
ミロシュ・ケルケズはセルビアのヴルバスでサッカーを始め、OFKヴルバスを経て2014年にラピード・ウィーンのアカデミーへ入団した。オーストリアの強豪クラブで5年間の育成を受けたのち、ハンガリーへと渡った。ジェールETOFCのユニフォームを着た際、当時の監督サンドール・チャトーから「練習後も残って重りを背負ったバックパックで走るなど、他の選手には見られない取り組みをしていた」と評されるほどの向上心を持っていた。もともとはミッドフィールダーとしてプレーしていたが、ジェールで左サイドバックへとコンバートされたことで、その才能が一気に開花することになった。2020年には同クラブのトップチームでシニアデビューを果たし、その姿がヨーロッパの強豪クラブの目に留まった。
ACミランとAZアルクマール時代
2021年2月、ミロシュ・ケルケズはセリエAの名門ACミランへの移籍を果たした。交渉の最終局面では、クラブのスポーツディレクターを務めていたパオロ・マルディーニから直接電話がかかってきたという。「マルディーニから電話がかかってきたら断れない」と後に語っており、名門への移籍に胸を高鳴らせていた。しかし、ミランでは出場機会が限られ、力をつける場を求めてオランダへと渡った。2022年1月にエールディヴィジのAZアルクマールへ加入し、同シーズンのエールディヴィジでスパルタ・ロッテルダム戦に決勝弾を挙げるなど頭角を現した。当時、ポルトガルの名門ベンフィカが獲得に関心を示したものの、AZが設定した移籍金2,000万ユーロを下回る提示を拒否したという逸話も残る。攻撃参加とクロスの精度でオランダリーグに強烈な印象を与えた。
ボーンマス時代の台頭
2023年7月、ミロシュ・ケルケズはプレミアリーグのAFCボーンマスに加入した。プレシーズンから頭角を現し、即座にスターティングメンバーに名を連ねた。2023-24シーズンのプレミアリーグ初戦ウェストハム・ユナイテッド戦でデビューを果たすと、そのプレーは瞬く間にファンの心をつかんだ。2024-25シーズンには8月のマンスリー・プレイヤー・オブ・ザ・マンスを獲得し、2024年11月にはマンチェスター・シティ戦で2アシストを記録するなど、欧州随一の攻撃的左サイドバックとして名を轟かせた。同シーズンには2ゴールを記録し、2025年1月のニューカッスル戦では96分に決定打となる4点目を挙げるなど勝負強さも発揮した。ボーンマスでの活躍により、2025年6月にはPFAヤング・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの6人のノミネートに名を連ね、クラブとの別れが近づいていることは誰の目にも明らかであった。
リヴァプールへの移籍
2025年6月26日、ミロシュ・ケルケズはリヴァプールFCへ5年契約で加入した。移籍金はおよそ4,000万ポンドと報じられており、ボーンマスとしては大きな利益を得た移籍となった。育成に関わったジェールETOFCにも30万ポンド以上の売却ボーナスが支払われた。デビュー戦はFAコミュニティ・シールドのクリスタル・パレス戦(PK負け)であり、アンフィールドでの初戦となった2025年8月15日のボーンマス戦(4-2勝利)では60分まで先発出場した。同年10月25日にはブレントフォード戦でリヴァプール初ゴールを記録。2026年1月8日のアーセナル戦ではマン・オブ・ザ・マッチに選出されるなど、徐々に存在感を高めた。先輩左サイドバックのアンディ・ロバートソンとのポジション争いを経ながらも、チームに欠かせない選手として成長を続けている。
ハンガリー代表としての歩み
ミロシュ・ケルケズはハンガリーとセルビアの両方でプレーする資格を持っていたが、ジェール時代の経験をきっかけにハンガリー代表を選択した。2020年にハンガリーU-17に初めて招集され、その後U-21でもプレー。2022年6月にはハンガリーA代表として初めてスタメン候補に名を連ね、同年9月のUEFAネーションズリーグのイタリア戦で代表デビューを果たした。EURO 2024にも選出されており、ドミニク・ショボスライを擁するハンガリーにおいて左サイドバックの主力として機能してきた。同大会ではグループDでドイツ・スコットランド・スイスと対戦し、グループステージで姿を消したが、個人としての存在感は際立っていた。代表でもリヴァプールの同僚であるショボスライとともに中心を担う存在として期待されている。
2026ワールドカップ予選:悲劇の幕切れ
ミロシュ・ケルケズにとって、2026年FIFAワールドカップへの挑戦は無念の結末で終わった。欧州予選グループFでハンガリーはポルトガルに次ぐ2位の成績で最終節を迎え、プレーオフ進出に向けてアイルランドに引き分け以上が必要な状況であった。2025年11月16日にブダペストで行われた最終節では、ハンガリーが2-1とリードを保ったまま試合終盤を迎えた。しかしアディショナルタイム96分、アイルランドのトロイ・パロットにこぼれ球を押し込まれ痛恨の逆転負け。ハンガリーはグループ3位に転落し、プレーオフ進出の夢も断たれた。主将ドミニク・ショボスライとともに先発したケルケズは試合後に落胆を隠せない表情を見せた。ハンガリーがFIFA ワールドカップに出場していない期間は1986年大会以来続いており、今回もその記録が継続されることとなった。
落胆と冷静な受け止め
予選敗退後、ミロシュ・ケルケズはSNSで失意のコメントを発信し、多くのサポーターやサッカーファンからの声援が寄せられた。この敗戦はリヴァプールにとっては、過密日程から選手を守るという意味で夏の準備期間に余裕が生まれるという側面もあったが、選手個人としては初のワールドカップ・グループステージ出場という夢が遠のいた痛恨の結果であった。一方で22歳という若さを考えれば、次の2030年大会に向けてハンガリー代表のエースとして臨む時間は十分に残されている。今夏は代わりにリヴァプールのプレシーズン準備に集中できる立場となり、クラブとしてのパフォーマンス向上が期待されている。
プレースタイルと特徴
ミロシュ・ケルケズの最大の特徴は、卓越した攻撃参加能力と精度の高いクロスにある。左足から繰り出すクロスとカットインは相手守備陣に対して常に脅威となり、アシストや得点に直結する場面を作り出す。左サイドバックでありながら実質的にウイングのような役割を担うこともでき、現代サッカーが求める「攻撃的フルバック」の典型として評価が高い。守備面でも対人の強さとポジショニングの改善が見られ、プレミアリーグという世界最高峰の舞台で経験を積む中で総合的な完成度が上がっている。もとはミッドフィールダーとしてキャリアをスタートさせただけあり、ボールを持った際の技術的精度と視野の広さは本職のサイドバックよりも際立つ部分がある。リヴァプールのアンフィールドで高いレベルの競争を日々経験していることが、さらなる成長の土台となっている。
主な移籍歴
ミロシュ・ケルケズは10代でACミランに引き抜かれ、AZアルクマール、ボーンマスと渡り歩きながら急速に評価を高めた。各クラブでの移籍金は年々増加し、2025年のリヴァプール移籍時には約4,000万ポンドに達した。2022年にボーンマスに加入した際に移籍元のAZが設定していた移籍金は当初約2,000万ユーロ程度と見られていたが、最終的にはその数倍の評価でプレミアリーグ上位クラブへの移籍を実現させた。育成クラブのジェールETOFCが売却ボーナスを受け取ったことも話題となり、選手の育成に携わった関係者たちの喜びを示す出来事として注目された。
- 2020〜2021年:ジェールETOFC(ハンガリー2部)
- 2021〜2022年:ACミラン(イタリア・セリエA)
- 2022〜2023年:AZアルクマール(オランダ・エールディヴィジ)
- 2023〜2025年:AFCボーンマス(イングランド・プレミアリーグ)
- 2025年〜:リヴァプールFC(イングランド・プレミアリーグ)
ハンガリーとワールドカップの歴史的背景
ハンガリーはワールドカップにおける歴史的な強豪国のひとつであり、1938年と1954年の大会では決勝まで進出している。しかし1986年メキシコ大会を最後に本大会出場が途絶えており、その空白は2026年大会でも埋まらないこととなった。グループステージの規模が48チームに拡大されたことでヨーロッパの出場枠も増加したが、欧州予選グループFでポルトガルに首位の座を譲り、最終節での劇的な敗戦がハンガリーの挑戦に幕を引いた。ミロシュ・ケルケズのような世界水準の選手が代表に加わりながらも出場権を得られなかったという事実は、欧州予選の厳しさを改めて浮き彫りにするものである。次世代の代表を担う若手選手が育ちつつあり、2030年大会に向けてのチーム再建が注目される。
コメント(β版)