FIFA ワールドカップ 2026 ハンガリー代表
FIFA ワールドカップ 2026 ハンガリー代表は、2025年11月に行われた欧州予選グループFの最終節でアイルランドに2-3で敗れ、本大会出場を逃した。1986年メキシコ大会を最後に長らくワールドカップとは縁遠かったハンガリーだが、マルコ・ロッシ監督のもとで着実に力をつけ、近年は欧州選手権(EURO)に3大会連続で出場するなど復権の兆しを見せていた。ポルトガル代表と首位を争う激しいグループ戦を繰り広げたが、土壇場の逆転劇に散り、2大会連続の本大会出場はならなかった。主将ドミニク・ソボスライをはじめ、プレミアリーグで活躍する選手を複数擁しながらも欧州の壁を超えられなかった今大会は、再建途上のハンガリーにとって痛恨の結末となった。
「マジック・マジャール」と黄金時代
FIFA ワールドカップ 2026 ハンガリー代表を語る上で、1950年代の「黄金チーム(アラニーチャパット)」は避けて通れない存在である。フェレンツ・プシュカシュを中心としたこの世代は「マジック・マジャール(Magical Magyars)」と称され、1950年から1954年の間に国際試合32戦28勝4分という無敗記録を樹立した。シェベシュ・グスターヴ監督が考案したMMシステム(WMフォーメーションの発展形)は、センターフォワードが中盤に下がって相手ディフェンスを混乱させる戦術であり、後のトータルフットボールの原型とも評される。1試合平均4.5得点という圧倒的な攻撃力を誇り、1953年にはサッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムでイングランドを6-3で撃破する「世紀の対決(Match of the Century)」を演じた。1954年のスイス大会では優勝が確実視されたが、決勝で西ドイツに2-3で逆転負けを喫し、「ベルンの奇跡」と呼ばれる番狂わせの犠牲となった。当時のFIFAワールドカップ最高成績は準優勝2回(1938年・1954年)であり、サッカー史に燦然と輝く遺産として今も語り継がれている。
長い低迷と復権への歩み
プシュカシュらが代表を離れた後、1956年のハンガリー動乱による有力選手の国外流出がチームの弱体化に拍車をかけた。ワールドカップへの出場は1986年メキシコ大会を最後に途絶え、FIFAランキングは1996年に最低位の87位にまで落ち込んだ。長い暗黒時代が続いたが、イタリア人指揮官マルコ・ロッシが2018年に就任してから潮目が変わる。ロッシ監督は守備組織を徹底的に整備し、限られた戦力を最大限に活かす実践的なサッカーでチームを再建した。その成果として、EURO2016・2020・2024と3大会連続で欧州選手権出場を果たし、UEFAネーションズリーグではリーグAに昇格するなど着実な前進を示した。2026年ワールドカップ欧州予選でもポルトガルと激しくグループ首位を争い、本大会の扉にあと一歩まで迫った。
2026年ワールドカップ欧州予選の戦い
ハンガリーはUEFA欧州予選のグループFに入り、ポルトガル・アイルランド・アルメニアと同組で争った。2025年9月の開幕節でアイルランドとは2-2で引き分け、ポルトガルとのアウェー戦でも2-2と勝ち点を分け合うなど、上位国相手に互角の戦いを展開した。10月にはアルメニアを2-0で下し、11月にもアルメニアに1-0と勝利してグループ2位でプレーオフ圏内を維持した。しかし最終節の2025年11月16日、ホームでアイルランドを迎えた大一番で悲劇が起きた。ダニエル・ルカーチの先制弾、バルナバーシュ・ヴァルガの追加点で2-1とリードして終盤を迎えたが、80分以降に2失点を喫して2-3と逆転負け。同日にポルトガルがアルメニアを9-1で破ったため、ハンガリーはグループ3位に転落し、ワールドカップ出場国への道が閉ざされた。
グループF最終順位と全節結果
グループFはポルトガルが1位、アイルランドが2位でそれぞれ本大会・プレーオフへと進出し、ハンガリーは3位で予選敗退となった。ハンガリーの全6試合の結果は以下の通りである。
| 節 | 日付 | 対戦 | スコア | 勝敗 |
|---|---|---|---|---|
| 第1節 | 2025年9月6日 | アイルランド vs ハンガリー | 2-2 | 引分 |
| 第2節 | 2025年9月9日 | ハンガリー vs ポルトガル | 2-3 | 敗 |
| 第3節 | 2025年10月11日 | ハンガリー vs アルメニア | 2-0 | 勝 |
| 第4節 | 2025年10月14日 | ポルトガル vs ハンガリー | 2-2 | 引分 |
| 第5節 | 2025年11月13日 | アルメニア vs ハンガリー | 0-1 | 勝 |
| 第6節 | 2025年11月16日 | ハンガリー vs アイルランド | 2-3 | 敗 |
主要選手と戦力構成
予選を通じてハンガリーを牽引した主将は、リヴァプールFCに所属するMFドミニク・ソボスライ(2000年生まれ)である。スタイリッシュなテクニックとピッチ全域をカバーするプレスが持ち味で、2024-25シーズンにはプレミアリーグ優勝を経験したハンガリー人初のリーグ制覇者となった。予選ではポルトガル戦での91分同点弾など勝負どころで存在感を示したが、悲願のワールドカップ出場は叶わなかった。得点源として機能したのはフェレンツヴァーロシュ所属のFWバルナバーシュ・ヴァルガで、グループF全体を通じてチーム最多得点を記録した。左サイドバックのミロシュ・ケルケズ(ボーンマスAFC所属)も攻守両面で貢献し、イングランドプレミアリーグの舞台で活躍する若き才能として欧州各クラブから注目を集めた。ディフェンスラインを統率したヴィリ・オルバン(RBライプツィヒ所属)の安定感も高い評価を受けた。チームは守備を基盤にしながら、各選手のクラブでの経験値を組織的に活かすスタイルで戦った。
マルコ・ロッシ監督の戦術思想
イタリア出身のマルコ・ロッシ監督は2018年からハンガリー代表を指揮し、チームに一貫した組織的守備と規律をもたらした。基本布陣は4-2-3-1または4-3-3で、高い位置からのプレスと素早いトランジションを重視する。予算や選手層で欧州の強豪に劣る環境のなか、ソボスライらの個人能力を引き出しながらもチームとしての連動性を高めることに注力してきた。EURO2024では開催国ドイツ・スイス・スコットランドと同組(グループA)に入り2敗1敗でグループ最下位に終わったものの、ドイツ戦では随所に高度なサッカーを披露した。「ハンガリーをワールドカップに連れ戻すのが私の夢」と公言していたロッシ監督にとって、最終節の逆転負けは痛恨のものだった。ただし、6大会連続の予選敗退という低迷期からチームを欧州上位グループ相手に互角に戦えるレベルまで引き上げた功績は揺るぎない。
ハンガリーのワールドカップ出場歴
FIFA ワールドカップ 2026 ハンガリー代表の予選敗退により、ハンガリーのワールドカップ不出場は1986年から数えて40年に及ぶこととなった。ハンガリーのワールドカップ出場は通算9回で、初出場は1934年イタリア大会である。最高成績は1938年フランス大会と1954年スイス大会の準優勝2回。1982年スペイン大会ではグループリーグのエルサルバドル戦に10-1で大勝し、グループステージの1試合最多得点記録を樹立した。1986年メキシコ大会を最後に本大会から遠ざかっており、もし2026年大会に出場していれば40年ぶりの舞台復帰となるはずだった。
- 1934年イタリア大会:初出場、準々決勝進出
- 1938年フランス大会:準優勝(決勝でイタリアに敗北)
- 1954年スイス大会:準優勝(決勝で西ドイツに2-3で敗北)
- 1958年スウェーデン大会:グループリーグ敗退
- 1962年チリ大会:ベスト8
- 1966年イングランド大会:ベスト8
- 1978年アルゼンチン大会:グループリーグ敗退
- 1982年スペイン大会:グループリーグ敗退(エルサルバドル戦10-1の大記録)
- 1986年メキシコ大会:グループリーグ敗退(これ以降ワールドカップ不出場)
EURO2024での戦いぶり
2026年ワールドカップ予選の直前に行われたEURO2024(ドイツ開催)でも、ハンガリーはグループAに入り、スイス・ドイツ・スコットランドと対戦した。初戦のスイス戦でバルナバーシュ・ヴァルガが得点を挙げたが1-3で敗れ、続くドイツ戦でも0-2と力負け。スコットランド戦には1-0で勝利したが3位に終わり、決勝トーナメント進出はならなかった。しかし3大会連続の欧州選手権出場そのものが、かつて最下位にまで沈んだ時期を考えれば大きな前進を意味する。ソボスライが示したリーダーシップ、ケルケズの攻撃参加など個々の才能の開花がチームの底上げを証明した大会となった。
次のサイクルに向けた課題
2026年ワールドカップ予選での惜敗は、ハンガリーの再建が着実に進んでいることを示す一方で、欧州強豪国との差を埋め切れていない現実も突きつけた。ソボスライやケルケズなど主要選手が20代前半から半ばの年齢にあり、次のワールドカップ・EURO2028のサイクルに向けて経験を蓄積し続けることが期待される。また国内リーグではフェレンツヴァーロシュが欧州カップ戦への安定した参加を維持しており、国内育成環境の整備も進んでいる。FIFAランキングでは42位(2026年4月時点)と中堅の位置を保つハンガリーが、黄金時代以来の本大会復帰を成し遂げるには、今大会で見せた組織力をさらに磨き上げ、勝負どころでの精神的な強さを身につけることが求められる。FIFA ワールドカップ 2026への夢は次世代へと受け継がれた。
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