FIFA ワールドカップ 2026 ハカン・チャルハノール
ハカン・チャルハノール(Hakan Çalhanoğlu、1994年2月8日生まれ)は、ドイツ・マンハイム出身のトルコ代表ミッドフィールダーで、イタリア・セリエAのインテル・ミラノに所属する。2026年6月に開幕したFIFA ワールドカップ 2026では、トルコ代表の主将として背番号10を背負いグループDに出場したが、2試合を終えてグループ最下位が確定し、24年ぶりとなる本大会出場は決勝トーナメント進出なく幕を閉じた。中盤底に君臨するレジスタとして世界屈指の評価を受けるプレースキッカーであり、正確無比なフリーキックとセリエAで16本ノーミスを誇るPKキック精度がその代名詞である。
プロフィールと生い立ち
ハカン・チャルハノールはドイツのマンハイムでトルコ系移民家庭に生まれた。2001年からSVヴァルトホーフ・マンハイムのユースチームでサッカーを始め、2009年にカールスルーエSCユースへ移籍。2012年にトップチームへ昇格すると、同年ハンブルガーSVへ4年契約で移籍した。3. リーガに残留したカールスルーエへのレンタル初年度は36試合17得点を記録し、うち7得点がフリーキックから生まれたことでそのキック精度が広く評価され、3部リーグMVPを獲得した。ドイツ国籍を持ちながらトルコ系のルーツを活かしてトルコ代表を選択しており、従兄弟にケリム・チャルハノール、実弟にムハンマド・チャルハノールという選手一家でもある。
クラブキャリア
ハカン・チャルハノールは2014年にバイエル・レヴァークーゼンへ5年契約で移籍し、背番号10のトップ下として公式戦115試合28ゴールを記録した。このクラブ時代にはマヌエル・ノイアーから直接FKを決めるなど、世界トップクラスのプレースキッカーとしての地位を確立した。なお、2011年にカールスルーエ所属中にトラブゾンスポルとの契約に違反してハンブルガーSVと契約延長した件が後に問題となり、2017年にFIFAから4か月の公式戦出場停止処分と10万ユーロの罰金が科せられる事態も経験している。2017年7月にACミランへ移籍すると、本田圭佑が着用していた10番を引き継ぎ、2020-21シーズンにはリーグ9アシストを記録してリーグ2位に貢献した。契約満了後の2021年6月、ライバルクラブのインテル・ミラノへフリーで移籍したことはミラニスタから激しい批判を浴び、「裏切り者」と称された。
インテル・ミラノでのレジスタ覚醒
インテル移籍後、ハカン・チャルハノールはかつての攻撃的MFからレジスタ(中盤底からゲームを組み立てる司令塔)へとポジションを転換した。2022-23シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ準決勝で古巣ACミランと対戦し、2戦合計3-0で決勝進出を果たした。そして2023-24シーズンが最大の転機となる。リーグ戦でPKによる10得点を含む13ゴール3アシストを記録し、セリエAのシーズン最優秀MFに選出。さらにそのリーグ優勝を決定づけた試合の相手が古巣ミランというドラマチックな決着となり、「ダービーでスクデットを獲ったんだ。この勝利で全て報われたよ」と感慨深くコメントした。2023年7月には2027年6月末まで契約を延長し、インテルへの残留意思を明確にしている。フリーキックのお手本として元ブラジル代表のジュニーニョ・ペルナンブカーノを挙げていることも有名で、そのブレ球キックは世界中のサッカーファンを魅了し続けている。
トルコ代表とW杯2026予選
ハカン・チャルハノールは2013年9月にアンドラ戦でA代表デビューを果たし、その後EURO2016、EURO2020、EURO2024と主要大会にも継続的に出場してきた。2026年W杯欧州予選ではグループEでスペインに次ぐ2位となりプレーオフに進出。プレーオフ・パスCでは準決勝でルーマニアを1-0、決勝でコソボを1-0でそれぞれ下し、日韓W杯以来24年ぶり6大会ぶりとなる本大会出場を決めた。チャルハノール自身もこの結果を「幼い頃からの夢が叶った」と喜びを語っており、チームの精神的支柱として主将マークをつけて本大会に乗り込んだ。
W杯2026グループDでの戦い
トルコはFIFA ワールドカップ 2026 組み合わせ抽選でグループDに配属され、オーストラリア、パラグアイ、アメリカと同組に入った。ハカン・チャルハノールは主将として背番号10を背負い全試合に先発した。第1節のオーストラリア戦(6月13日)では0-2と完敗し、続く第2節パラグアイ戦(6月19日)でも開始2分の失点から立て直せず0-1で敗れた。2試合合計でシュート62本を放ちながら無得点という決定力不足が致命傷となり、直接対決でオーストラリア・パラグアイの両国に敗れていたため新タイブレークルールによって最終節を待たずグループ最下位と敗退が確定した。パラグアイ戦ではチャルハノール自身が35分のFKからチャンスを演出し、57分にも決定機を迎えたが枠を捉えることができなかった。
W杯2026グループD成績(第2節終了時点)
グループD最終順位確定に際して、トルコの2試合の結果を以下に示す。
| 節 | 対戦相手 | スコア | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第1節(6月13日) | オーストラリア | 0-2 | 敗 |
| 第2節(6月19日) | パラグアイ | 0-1 | 敗 |
| 第3節(6月25日) | アメリカ | — | 敗退確定済 |
プレースタイル
ハカン・チャルハノールのプレースタイルは、キャリア初期の攻撃的MFから年齢を重ねるにつれてレジスタへと変貌を遂げた点に最大の特徴がある。中盤底に位置して広い視野でゲームをコントロールしつつ、縦横無尽にパスを供給する。身体的にはやや細身であるが、球際のデュエルを厭わないハードワーカーでもある。最大の武器は精密なプレースキックで、ブレ球フリーキックはGKが反応する間もなく枠内を捉えることで知られ、ジュニーニョ・ペルナンブカーノを理想とするキックスタイルが確立されている。またセリエAでは2024年6月時点でPKの成功率が100%(16本成功、失敗ゼロ)であり、チームのPKキッカーとしても絶大な信頼を集めている。
代表歴と主要成績
ハカン・チャルハノールのトルコA代表通算出場数は100試合を超え、FIFAランキング25位のトルコ代表の大黒柱として長年君臨してきた。2013年U-20ワールドカップでの1得点を皮切りに、EURO2016・EURO2020・EURO2024と三度の欧州選手権にも出場。代表キャリアを通じて17得点以上を記録している。2026年W杯本大会では主将として臨んだが、グループステージ敗退という結果に終わり、自身初の本大会でノックアウトステージの舞台に立つことは叶わなかった。
- 2013年:トルコA代表デビュー(対アンドラ)
- 2015年:A代表初得点(対ルクセンブルク)
- 2021年:UEFA EURO 2020出場
- 2023-24:セリエAシーズン最優秀MF受賞・インテルでリーグ優勝
- 2024年:UEFA EURO 2024出場
- 2026年:FIFA ワールドカップ 2026出場(グループD)
主なタイトル
クラブレベルでのハカン・チャルハノールの主要タイトルはすべてインテル・ミラノ加入後に達成されている。セリエA優勝(2023-24)を頂点に、スーペルコッパ・イタリアーナ(2021-22・2022-23・2023-24の3度)、コッパ・イタリア(2021-22・2022-23の2度)を獲得した。また個人タイトルとしてカールスルーエ時代の3. リーガMVP(2012-13)、インテル時代のセリエA最優秀MF(2023-24)が代表的な受賞歴として挙げられる。これらの実績は、攻撃的MFからレジスタへの転換という「進化」なしには成し得なかったものであり、30代に差し掛かってなお第一線で輝き続ける稀有なキャリアを証明している。
エピソードと素顔
ハカン・チャルハノールにはいくつかの印象的なエピソードがある。ACミランからインテルへのフリー移籍に際してミラニスタから激しいブーイングを受けた際は、PKを自ら沈めた後に「聞こえていない」とアピールするかのようなパフォーマンスを披露。またインテルのリーグ優勝が古巣ミランとのダービーで決まった際には「ミランのティフォージが僕や家族に対してしたことは決して忘れない。でも、全てうまくいくと確信を持っていた。そして、ダービーでスクデットを獲ったんだ」と語った。バイエル・レヴァークーゼン時代のチームメイトだった孫興民(ソン・フンミン)とは移籍問題を巡って仲違いをしたことでも知られる。フリーキックへの情熱は凄まじく、ドルトムント戦では40m超の無回転ブレ球を決めた映像が今もサッカーファンの間で語り継がれている。
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