FIFA ワールドカップ 2026 ショジャー・ハリルザデ|W杯で躍動するタジキスタンの至宝

ショジャー・ハリルザデ

ショジャー・ハリルザデ(Shojae Khalilzadeh、ペルシア語: شجاع خلیل‌زاده、1989年5月14日生まれ)は、イランのプロサッカー選手。ポジションはセンターバック。ペルシャン・ガルフ・プロリーグのトラークトゥールに所属し、イラン代表のディフェンスラインを長年にわたって支える主軸である。マザンダラーン州バーブルサル郡バーネミール地区の農業・漁業を営む家庭に生まれ、カスピ海沿岸の環境で育った。スピード、巧みなタックル、ポジショニングセンスで知られ、AFCチャンピオンズリーグでも屈指の信頼性を誇るディフェンダーと評価されてきた。2026 FIFAワールドカップ北中米大会にはグループGの一員としてイランの26人枠に選ばれ、大会の象徴的な場面を生み出す選手となった。

生い立ちと初期キャリア

ショジャー・ハリルザデは2008年にメス・ラフサンジャンでプロキャリアをスタートさせた。アザデガンリーグで2シーズンを過ごした後、2010年にイランプロリーグのメス・ケルマンへ移籍。クロアチア人指揮官ミロスラフ・ブラジェヴィッチのもとで2011–12年ハズフィカップ準決勝進出に貢献するなど頭角を現した。エステグラール、ペルセポリス、セパハンといったイランの名門クラブが獲得に動く中、2013年6月にセパハンと4年契約を結んで加入した。

セパハン・トラークトゥール期

セパハン在籍中の2015–16年には、IRGCに関連するタブリーズのトラークトゥールへ期限付き移籍し、兵役を兼ねてプレーした。このローン期間中にアミール・ガレノエイ監督のもとでAFCチャンピオンズリーグのグループ首位を勝ち取り、サウジアラビアの強豪アル・ヒラルを上回る快挙を達成した。ショジャー・ハリルザデはセパハンのセンターバックとして欠かせない存在となり、指揮官のアブドラ・ヴェイシ監督が「ジェラール・ピケが来ても彼を先発させる」と言い切るほどの信頼を勝ち取った。

ペルセポリス時代の全盛期

2017年5月、ショジャー・ハリルザデはイランリーグ王者ペルセポリスへ移籍し、クロアチア人監督ブランコ・イヴァンコヴィッチのもとでプレーした。在籍4シーズンでペルシャン・ガルフ・プロリーグ3連覇、ハズフィカップ1回、スーパーカップ3回を制覇。AFCチャンピオンズリーグでは2年連続決勝進出に貢献し、アジアの強豪として名声を確立した。2019年大会でアル・アハリ戦に決めたシザーキックは公式投票でAFCチャンピオンズリーグ年間最優秀ゴールに選ばれ、2020年大会でも最優秀ゴール賞を受賞している。

カタール・トラークトゥール期

2020年10月、ショジャー・ハリルザデはカタール・スターズリーグのアル・ライヤンへ移籍し、国外でのキャリアに踏み出した。70万ドルの2年契約で加入し、26試合に出場して3得点を記録。ディフェンダーでありながら攻撃センスを発揮し、「攻撃的な資質を持つディフェンダー」とカタールメディアに評された。2023年7月からは再びトラークトゥールに戻り、現在も同クラブの主力として守備ラインを牽引している。

イラン代表でのキャリア

2012年にカルロス・ケイロス監督からイラン代表に初招集されたショジャー・ハリルザデは、タジキスタン戦(6–1)でデビューを飾った。以来、代表のセンターバックとして長期にわたって守備の中核を担い、2022年FIFAワールドカップ・カタール大会への出場権獲得にも貢献した。AFCチャンピオンズリーグ2020では476本の正確なパス、78回のボール奪取、2得点でアジア最高のディフェンダーのひとりに選ばれている。クロアチア人指揮官ブラジェヴィッチやイヴァンコヴィッチらから繰り返し信頼を置かれており、彼の名前「ショジャー」がペルシア語で「勇敢」を意味することにちなみ、「名前通りの選手」と称されてきた。

2026 FIFAワールドカップ グループGの戦い

イランは2026年FIFAワールドカップでグループGに入り、ベルギー、エジプト、ニュージーランドと同居した。ショジャー・ハリルザデはディフェンスの要として3試合全てに出場。第1節(対ニュージーランド、6月15日)は2–2のドロー、第2節(対ベルギー、6月21日)はGKアリレザ・ベイランヴァンドが7セーブを誇示する堅守で0–0の引き分けに持ち込み、グループ首位に立った。イランは3試合を通じて無敗でグループステージを終え、アジア勢として日本(2002、2026)、韓国(2002)に続くグループステージ無敗3例目を達成した。

VAR判定が奪ったドラマチックな結末

第3節のエジプト戦(6月26日、シアトル)は大会屈指の劇的な幕切れとなった。5分にエジプトに先制を許したイランは14分にラミン・レザイーアンが同点弾を決め1–1で試合終盤へ。アディショナルタイム3分、ショジャー・ハリルザデがこぼれ球を押し込んで勝ち越しゴールと思われたが、VARの介入でオフサイドと判定され取り消された。歓喜から一転して奈落の底へと突き落とされる展開は、2026年大会屈指の衝撃的場面として語り継がれることとなった。試合は1–1のまま終了し、イランのラウンド32進出は他のグループの結果待ちとなった。

対戦相手 試合日 結果 会場
ニュージーランド 2026年6月15日 2–2 引き分け ロサンゼルス(SoFiスタジアム)
ベルギー 2026年6月21日 0–0 引き分け ロサンゼルス(SoFiスタジアム)
エジプト 2026年6月26日 1–1 引き分け シアトル(ルーメンフィールド)

プレースタイルと評価

ショジャー・ハリルザデはスピードと身体能力を活かしたダイナミックなディフェンスが持ち味であり、ポジショニングと読みの鋭さでも定評がある。守備の安定感だけでなく、ビルドアップ能力やセットプレーでの攻撃参加など、攻守両面でチームに貢献できる点が特長だ。クロアチア人指揮官たちから特に高い評価を受けており、イヴァンコヴィッチは在籍期間中「彼がピッチにいるだけでチームが変わる」と語っている。AFCは彼を「高圧状況でアジア屈指の信頼性を誇るディフェンダー」と評し、国際舞台での活躍が広く認められている。

クラブ経歴・主な成績

  • ペルシャン・ガルフ・プロリーグ優勝:4回(ペルセポリスで3回、その他1回)
  • ハズフィカップ優勝:1回(2018–19)
  • スーパーカップ優勝:3回(2017–18、2018–19、2019–20)
  • AFCチャンピオンズリーグ年間最優秀ゴール:2019年、2020年(2年連続)
  • 通算338試合出場・25得点(国際・クラブ親善除く)

人物・背景

ショジャー・ハリルザデはマザンダラーン州バーブルサル郡の小村ガーレシュ・コラー出身で、農業と漁業で生計を立てる家庭に育った。カスピ海沿岸という自然豊かな環境が彼の粘り強さと闘志に影響を与えたと言われる。2026年大会ではメキシコを拠点としながら遠征するという異例の環境下でプレーしたが、その逆境をものともしないプレーぶりが国際メディアから称賛された。イランが抱える政治的・外交的困難の中でも、彼はチームの精神的支柱のひとりとして存在感を発揮した。

2026年大会の意義

2026年大会のイランはFIFAワールドカップグループステージを3試合無敗で終えた。これはイラン代表にとって史上初の快挙であり、アジア勢としても過去2例しかない記録への仲間入りを意味する。ショジャー・ハリルザデのVAR取り消しゴールは大会最大の話題のひとつとなり、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)判定の是非についての議論を世界中で巻き起こした。37歳での出場はイラン守備陣の経験の深さを象徴しており、メフディ・タレミらと並んでチームの顔として2026年大会に名を刻んだ。

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