FIFA ワールドカップ 2026 エライ・チョメルト
エライ・チョメルト(Eray Cömert、1998年2月4日生まれ)は、スイス・ラインフェルデン出身のプロサッカー選手である。ポジションはセンターバック(CB)で、スペインのラ・リーガに所属するバレンシアCFに在籍する。トルコ系スイス人であり、スイス代表としてFIFA ワールドカップ 2026に出場。同大会ではグループBでカタール、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カナダと対戦し、守備陣の一角を担った。
プロフィールと出自
エライ・チョメルトは、スイス北西部のラインフェルデンでトルコ人の両親のもとに生まれた。「Cömert」はトルコ語で「寛大な」を意味し、発音は「チョメルト」に近い。幼少期からFCコンコルディア・バーゼルでサッカーを始め、2009年に名門FCバーゼルのユースアカデミーに加入した。身長183cm、体重80kgの恵まれた体格を持ち、右足を利き足とする。スイス代表にはU-16世代から継続的に招集されており、国内外で着実にキャリアを積み重ねてきた。
クラブキャリア
エライ・チョメルトは、FCバーゼルのユースを経て2016年5月にトップチームデビューを果たした。同シーズン、FCバーゼルはスイス・スーパーリーグで優勝を達成しており、チームの一員として初タイトルを経験した。その後、FCシオンやFCルガーノへのレンタル移籍でプレー機会を重ね、バーゼルでは公式戦通算約140試合に出場するまでに成長した。2022年1月、スペインの名門バレンシアCFと2026年までの複数年契約を締結し、ラ・リーガへと活躍の場を移した。バレンシアでは財政難という厳しい環境の中でも安定した守備貢献を見せ続け、2024-25シーズンはレアル・バジャドリーへのレンタルを経て、スイス代表の主力センターバックとして地位を確立している。
スイス代表でのキャリア
エライ・チョメルトのスイスA代表デビューは2019年11月18日、UEFA EURO 2020予選のジブラルタル戦で、マヌエル・アカンジとの交代で出場したことによる。その後、UEFA EURO 2020(2021年開催)のメンバーに選出され、スイスが準々決勝に進出した大会を経験した。2022年カタールワールドカップにも招集されており、FIFA ワールドカップ 2026は自身2度目のW杯出場となった。2026年5月19日にムラト・ヤキン監督が発表した26名のW杯メンバーに選出され、アカンジ・エルヴェディらとともに「ロッソクロチャーティ」の最終ラインを形成した。A代表通算出場数は22試合(2026年大会時点)で、得点はない。
FIFA ワールドカップ 2026での活躍
スイスはFIFA ワールドカップ 2026のグループBに振り分けられ、カタール・ボスニア・ヘルツェゴビナ・カナダと同組となった。エライ・チョメルトはセンターバックとして守備陣に名を連ね、グラニト・ジャカをキャプテンに据えたチームの組織的な守備ブロックの構築に貢献した。スイスは欧州予選グループCを首位通過し、6大会連続のワールドカップ出場を達成しており、今大会でもグループステージ突破が期待されている。ヨーロッパのトップリーグで経験を積んだ守備陣を擁するスイスにとって、チョメルトのペナルティエリア内での冷静な対応は、ノックアウトステージ進出の鍵となっている。
プレースタイルと特徴
エライ・チョメルトの最大の特徴は、1対1の場面における判断力と体を当てずに相手の踏み込みを読む予測能力にある。シュートコースを消すブロックの精度が高く、ペナルティエリア内での守備で真価を発揮するタイプのセンターバックである。ビルドアップ面でも右足による正確な配給が可能であり、バレンシアでの経験を通じてラ・リーガ仕込みのポジショニング感覚を身につけた。マヌエル・アカンジやニコ・エルヴェディといった欧州トップクラスのディフェンダーと長年にわたってコンビを組んできたことで、スイス代表守備陣との連携も高いレベルで維持されている。バレンシアという財政難のクラブにあって継続的に主力を担い続けたことは、精神的な強さと高い職業意識の証左でもある。
トルコ系スイス人としてのアイデンティティ
エライ・チョメルトは、スイスに生まれ育ちながらもトルコにルーツを持つ「トルコ系スイス人」として、スイス国内のマルチカルチャー的背景を体現する選手のひとりである。スイス代表はグラニト・ジャカ(コソボ系)、ブリール・エンボロ(カメルーン系)など多様な出自を持つ選手が混在しており、チョメルトもその一員として代表チームの多様性を象徴している。トルコ語の姓を名乗りながらスイス国籍でプレーする彼の存在は、現代フットボールにおける国籍・アイデンティティの複雑さを示している。
クラブ歴一覧
- FCコンコルディア・バーゼル(ユース):サッカーの原点となったアマチュアクラブ
- FCバーゼル(2009〜2022年):ユースから昇格し、スイス・スーパーリーグで主力CBへ成長。公式戦約140試合出場
- FCシオン(2017年、レンタル):スイス国内でのプレー経験を積む
- FCルガーノ(2017-18年、レンタル):バーゼル復帰前の実戦経験
- バレンシアCF(2022年1月〜現在):スペイン1部リーグで活躍する主戦場。背番号24
- FCナント(2023-24年、レンタル):フランス・リーグ・アンでの経験
- レアル・バジャドリー(2024-25年、レンタル):スペイン2部での出場機会確保
代表成績と記録
| 大会 | 年 | 役割 | 結果 |
|---|---|---|---|
| UEFA EURO 2020 | 2021年 | メンバー入り | 準々決勝(スペインにPK戦で敗退) |
| FIFA ワールドカップ 2022 | 2022年 | メンバー入り | ラウンド16(ポルトガルに敗退) |
| FIFA ワールドカップ 2026 | 2026年 | 出場 | グループB(カタール・ボスニア・カナダと対戦) |
スイス代表守備陣の中核として
エライ・チョメルトはマヌエル・アカンジ(インテル・ミラノ)、ニコ・エルヴェディ(ボルシアMG)とともに、スイス代表の堅固な3バック・4バックを形成する重要なコンポーネントである。ムラト・ヤキン監督は守備の組織力を重視しており、チョメルトには右センターバックとしての安定したカバーリングと、ビルドアップ時の出口役としての貢献が求められる。スイスは過去3大会連続でグループステージを突破しているものの、ラウンド16の壁を越えたのは1994年大会が最後であり、今大会はその記録更新が目標となっている。チョメルトが守備陣の一角としてグループステージ以降も安定したパフォーマンスを維持できるか否かが、スイスのさらなる躍進を左右する。
キャリアの展望
1998年生まれのエライ・チョメルトは、2026年のワールドカップ開幕時点で28歳を迎え、センターバックとしてキャリアの絶頂期にある。バレンシアCFでは2026年までの契約を結んでおり、ワールドカップ後の移籍動向にも注目が集まる。複数の欧州トップリーグでの経験を持ち、スイス代表での実績も積み上げてきたことから、財政的に安定したクラブへの移籍が現実的な選択肢となっている。スイス代表の主力センターバックとして今後も国際舞台での活躍が期待される選手のひとりである。
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