FIFA ワールドカップ 2026 アンドリヤ・ジヴコヴィッチ
アンドリヤ・ジヴコヴィッチ(Andrija Živković、セルビア語キリル文字:Андрија Живковић、1996年7月11日生まれ)は、セルビア出身のプロサッカー選手である。ポジションはウィンガー(主に右ウィング)で、ギリシャのスーパーリーグに所属するPAOKテッサロニキでプレーする。セルビア代表の最年少デビュー記録保持者として知られ、2018年・2022年の2大会連続でFIFAワールドカップに出場した経験を持つ。しかしFIFA ワールドカップ 2026では、セルビアがUEFA欧州予選グループKで3位に終わり出場権を逃したため、北中米の舞台を踏むことは叶わなかった。身長169cm・左利きという小柄な体格ながら、スプリントの鋭さと多彩なドリブルを武器に欧州主要クラブで渡り歩き、20代後半にはPAOKの絶対的エースとして確立した存在である。
基本プロフィール
アンドリヤ・ジヴコヴィッチは1996年7月11日、旧ユーゴスラビア(現セルビア)のニシュに生まれた。フルネームはAndrija Živkovićで、セルビア語の発音に近いカタカナ表記では「ジヴコヴィッチ」が一般的に用いられる。身長169cm、体重62kg、利き足は左。ポジションは右ウィングを本職とするが、左ウィングやセカンドトップとしても起用される。バックナンバーはPAOKで14番を着用している。幼少期からニシュ・ナシオナルのユースに所属し、その才能が早々に首都クラブの目に留まった。
パルチザンでの台頭と記録
2009年9月、ジヴコヴィッチはFKパルチザン(ベオグラード)のユースアカデミーへ加入した。同世代にはダニロ・パンティッチやネマニャ・ラドニッチらが名を連ねる屈指の才能集団であり、その中でもジヴコヴィッチは際立った存在感を放っていた。2013年4月28日、16歳でFKノヴィ・パザル戦に途中出場してトップチームデビューを果たし、同年8月には最初のプロ契約を締結。デビューからわずか2日後に初ゴールを記録する。さらに2014年3月4日、17歳7ヶ月18日でパルチザン史上最年少キャプテンを務めるという偉業も達成した。2015-16シーズンにはUEFAヨーロッパリーグで5試合4ゴールという圧巻の活躍を見せ、複数のビッグクラブが獲得に動いた。パルチザン在籍6年間の通算成績は93試合24ゴール13アシストで、セルビアリーグ2連覇とセルビアカップ制覇に貢献した。
ベンフィカ時代とポルトガルでの4年間
2016年7月5日、ジヴコヴィッチはポルトガルの名門SLベンフィカと5年契約を締結した。移籍金フリーの移籍だったが、17番を与えられ即戦力として期待された。同年10月2日のリーグ戦でベンフィカデビューを果たし、翌2016-17シーズン終了時にはプリメイラ・リーガ優勝を経験。さらにタッサ・ポルトガル(ポルトガルカップ)も制覇した。しかし先発出場の機会は限られており、2018-19シーズンの2度目のリーグ優勝は果たしたものの、スタメン定着には至らなかった。4年間でリーグ戦55試合・3ゴール、全競技通算88試合・4ゴール24アシストという数字はウィンガーとしては物足りないものであり、2020年夏にベンフィカから契約解除となった。
PAOKでの復活と主力確立
2020年9月8日、フリーエージェントとなったジヴコヴィッチはギリシャのPAOKテッサロニキと2年契約を締結した。移籍後わずか1週間、元所属クラブであるベンフィカとのUEFAチャンピオンズリーグ予選でいきなり決勝ゴールを決め、古巣を撃破するという劇的なデビューを飾った。PAOKでは先発として起用され続け、ベンフィカ時代とは一変してエースとして機能した。2020年11月にはPSV戦でブレース(2得点)を記録するなどヨーロッパリーグでも存在感を発揮し、2020-21シーズンのギリシャカップ優勝に貢献。2021年10月には年俸100万ユーロを超える3年間の契約延長に合意し、2023年9月には2027年夏までの新契約も締結した。2023-24スーパーリーグではシーズン最終節のアリス戦でアシストを決め、PAOK20年ぶりのギリシャリーグ優勝の立役者となった。
プレースタイルと特徴
ジヴコヴィッチの最大の武器はスピードと変化に富んだドリブルである。169cmという小柄な体格はウィンガーとして俊敏性を高める一方、フィジカルコンタクトでは不利になる場面もある。本人がかつて語ったように「いわゆるクラックのような1人で試合を破壊するドリブルや、インサイドフォワード的なカットインシュートが得意なタイプではない」とも評される。むしろ連動性と読みを活かしたプレーが持ち味で、ポジショニングの巧みさとアシストセンスが光る。2025-26シーズン(スーパーリーグ+ヨーロッパリーグ合算)ではすでに3ゴール・16アシストを記録しており、FotMobの平均レーティングも7.52と高水準を維持している。利き足の左から放つクロスと、右サイドからのカットインが相手守備陣に二択を迫る形として機能する。
2015 FIFA U-20ワールドカップ優勝
ジヴコヴィッチのキャリア最初の大きな輝きは、2015年ニュージーランドで開催されたFIFA U-20ワールドカップである。セルビアU-20代表の主軸として全7試合に出場し、2ゴール2アシストを記録。特にグループステージのメキシコ戦で直接フリーキックを叩き込んだゴールはトーナメント最優秀ゴールに選出された。セルビアはこの大会で優勝を果たし、ジヴコヴィッチはチームの中心的存在として世界にその名を知らしめた。この活躍がベンフィカ移籍への直接的な呼び水になったとも言える。
セルビア代表でのキャリア
セルビア代表デビューは2013年10月11日、日本との親善試合でのこと。当時17歳92日という年齢はセルビア代表史上最年少デビュー記録として現在も更新されていない。代表通算キャップは60を超え、ゴールは2022年6月のスロベニア戦(UEFAネーションズリーグ)での1点のみだが、アシスト貢献度が高くチームに欠かせない存在である。ドゥシャン・ブラホビッチやアレクサンダル・ミトロビッチら得点力のあるFWを前方に置き、その供給役を担うケースが多い。2022年カタールワールドカップでは全3試合に出場し、カメルーン戦(3-3)で2アシストを記録。2024年UEFA EURO 2024でも全3試合に出場したが、グループステージ最下位敗退に終わった。
2026年ワールドカップ予選とセルビアの敗退
2024年12月の抽選でセルビアはUEFA欧州予選グループKに入り、イングランド・アルバニア・ラトビア・アンドラと同組となった。しかしイングランドに0-5という大敗を喫したほか、アルバニアにも0-1で敗れ、監督のドラガン・ストイコビッチが試合後の会見で辞任を表明する事態に至った。最終的にグループKは1位イングランド(勝ち点24)・2位アルバニア(同14)・3位セルビア(同13)という結果となり、本大会出場権を獲得できなかった。枠が13から16に拡大されたにもかかわらず予選落ちという結果は国内外に衝撃を与えた。ジヴコヴィッチはユーロ2024に続く主要大会での出場を期待されていただけに、この予選敗退は本人にとっても痛恨の結果となった。3大会連続出場を目指したルカ・ヨヴィッチやペタル・ラトコフらとともに、北中米の舞台を踏むことなくシーズンを続けている。
主要クラブ成績
ジヴコヴィッチのクラブキャリア通算成績は以下のとおりである。リーグ戦だけでなくヨーロッパ舞台での実績も豊富で、特にPAOKでの復活以降は一貫して高水準のパフォーマンスを維持している。
| クラブ | 在籍期間 | リーグ戦出場 | リーグ戦得点 | 全競技アシスト |
|---|---|---|---|---|
| FKパルチザン | 2013–2016 | 62 | 17 | 11 |
| SLベンフィカ | 2016–2020 | 55 | 3 | 24 |
| PAOKテッサロニキ | 2020– | 167以上 | 38以上 | 継続中 |
主要タイトル
ジヴコヴィッチはクラブと代表を合わせて計14のタイトルを獲得している。クラブでの主要タイトルは以下のとおりである。
- セルビア・スーパーリーガ(パルチザン):2012-13、2014-15シーズン
- セルビアカップ(パルチザン):2015-16シーズン
- プリメイラ・リーガ(ベンフィカ):2016-17、2018-19シーズン
- タッサ・ポルトガル(ベンフィカ):2016-17シーズン
- ギリシャカップ(PAOK):2020-21シーズン
- スーパーリーグ・ギリシャ(PAOK):2023-24シーズン
- FIFA U-20ワールドカップ(セルビアU-20代表):2015年
記録と評価
ジヴコヴィッチが保持する記録の中でも、セルビア代表史上最年少デビュー(17歳92日)とパルチザン史上最年少キャプテン(17歳7ヶ月18日)は特筆に値する。U-20ワールドカップ優勝に貢献した2015年当時からその才能は広く知られており、UEFAもヨーロッパリーグにおける「週間ワンダーキッド」として取り上げた。PAOKでは通算450試合以上に出場(全競技)し、ギリシャのサッカーを代表するウィンガーとして定着している。フィリップ・ジュリチッチやジヴコヴィッチ世代のセルビア代表が揃って2026年本大会を逃したことは、セルビアサッカー界の世代交代を促す契機ともなっている。
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