FIFA ワールドカップ 2026 アンソニー・エランガ|スイス代表の快速FW、本大会での飛躍なるか

FIFA ワールドカップ 2026 アンソニー・エランガ

アンソニー・エランガ(Anthony David Junior Elanga、2002年4月27日生まれ)は、スウェーデン・マルメ出身のプロサッカー選手である。ポジションはフォワード・ウインガーで、イングランドのプレミアリーグ・ニューカッスル・ユナイテッドFCに所属し、スウェーデン代表としても活動する。父は1998年ワールドカップにカメルーン代表として出場したジョセフ・エランガであり、アンソニー自身はスウェーデン、カメルーン、イングランドの3カ国の代表資格を持ちながら、スウェーデンを選択した。マンチェスター・ユナイテッドのアカデミーで育ち、ノッティンガム・フォレスト時代に飛躍的な成長を遂げて2025年夏にニューカッスルへ移籍。FIFA ワールドカップ 2026 スウェーデン代表では、プレーオフ決勝のポーランド戦で先制ゴールを決めて本大会出場に貢献し、グループステージでもオランダ戦で途中出場から得点を挙げるなど、ヴィクトル・ギェケレシュ、アレクサンデル・イサクに次ぐ第3の攻撃の切り札として本大会に臨んでいる。

プロフィールと生い立ち

アンソニー・エランガは2002年4月27日、スウェーデン南部の都市マルメのヒュリー地区で生まれた。父のジョセフ・エランガはカメルーン出身のプロサッカー選手で、当時マルメFFでプレーしていた。アンソニーはスウェーデン語を母語とし、英語とフランス語も話すトリリンガルである。幼少期にIF・エルフスボリグとマルメFFのユースでプレーした後、家族がイングランドに移住してマンチェスターに定住。地元クラブのハッタースリーに一時在籍し、マンチェスター・シティとマンチェスター・ユナイテッドの両クラブのスカウトに注目されたが、12歳でユナイテッドのアカデミーに加入した。身長178cm、体重69kgで、スウェーデン語に加えて英語とフランス語を話す。

マンチェスター・ユナイテッド時代

マンチェスター・ユナイテッドのアカデミーでは15歳でU-18チームにデビューし、着実に頭角を現した。2019-20シーズンには新型コロナウイルスにより短縮されたリーグでU-18の得点王となり、クラブの若手最優秀選手賞「ジミー・マーフィー賞」を受賞。2021年5月にリーグ戦でプロデビューを果たし、ウォルバーハンプトン戦でトップチームでの初ゴールを決めた。2021-22シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグのアトレティコ・マドリード戦でも得点を挙げ、ユナイテッドが認める若手アタッカーとしての地位を固めた。2022-23シーズンは出場機会の減少に悩み、通算3シーズンで39試合3得点という成績でクラブを後にした。

ノッティンガム・フォレストでの飛躍

2023年7月、エランガは移籍金約1500万ポンドでノッティンガム・フォレストへ完全移籍した。フォレストでは正レギュラーとして定着し、縦への快速と直接的な仕掛けが本格的に開花する。2023-24シーズンに5得点、2024-25シーズンにはキャリアハイとなる6得点12アシストを記録してチームの快進撃を後押しした。特に2025年1月にはブライトン相手の7-0大勝で3アシストを記録し、同年4月には古巣マンチェスター・ユナイテッドを相手に決勝点を挙げるなど、プレミアリーグ屈指のウインガーとしての評価を確立した。この2シーズンの活躍が評価され、2025年7月にニューカッスル・ユナイテッドが約5500万ポンド(約109億円)の移籍金を支払って獲得した。

ニューカッスル・ユナイテッドへの移籍

2025年7月11日、エランガは約5500万ポンドの移籍金でニューカッスル・ユナイテッドに加入した。プレミアリーグ初年度となる2025-26シーズンでは背番号20を着用。2025年8月にアストン・ヴィラとのリーグ開幕戦でデビューを果たし、2026年2月にはEFLカップ準決勝第2レグのマンチェスター・シティ戦で初ゴールを決めた。同年3月にはUEFAチャンピオンズリーグ・ラウンド16第2レグのバルセロナ戦(7-2の大敗)でも2得点を挙げたが、リーグ戦では23試合に出場しながら無得点に終わり、クラブでの適応に苦心するシーズンとなった。それでも国際舞台での存在感は衰えず、スウェーデン代表での活躍でFIFA ワールドカップ 2026への出場を手にした。

スウェーデン代表でのキャリア

エランガはスウェーデン、カメルーン、イングランドの代表資格を持つが、「スウェーデンで生まれ、この国が自分にとって大きな意味を持つ」としてスウェーデン代表を選択した。U-17、U-19、U-21の各年代別代表を経て、2022年3月のチェコ代表との2022年ワールドカップ予選プレーオフでA代表デビュー。同年6月にUEFAネーションズリーグのノルウェー戦でA代表初ゴールを記録した。その後、代表での地位を確立し、2026年3月時点で代表通算28試合6得点を記録。スウェーデン代表はUEFAネーションズリーグの成績による「NL枠」でプレーオフに進出し、準決勝でウクライナを、決勝でポーランドを破って本大会切符を掴んでいる。

ワールドカップ 2026 予選プレーオフでの活躍

2026年3月31日、ストックホルムのストロベリー・アリーナで行われたUEFAワールドカップ予選プレーオフ決勝のポーランド戦で、エランガはスウェーデンの先制点を記録した。ヤシン・アヤリのフリックを受け、左足でクロスバーの裏側を直撃する豪快なゴールで会場を沸かせた。試合はその後2度並ばれる波乱の展開となったが、88分にヴィクトル・ギェケレシュが決勝点を奪ってスウェーデンが3-2で勝利。2018年ロシア大会以来2大会ぶりのワールドカップ出場権を獲得した。スウェーデンはUEFAネーションズリーグの成績を経由してプレーオフに進んだ初のワールドカップ出場国となっており、その歴史的な出場決定の瞬間にエランガの先制弾が大きく貢献している。

プレーオフ出場記録

プレーオフ全体を通じて、エランガは先発として出場し69分まで活躍した。以下に決勝戦の得点経過を示す。

時間 得点者 チーム スコア
20分 アンソニー・エランガ スウェーデン 1-0
33分 ニコラ・ザレフスキ ポーランド 1-1
44分 グスタフ・ラガービエルケ スウェーデン 2-1
55分 カロル・シフィデルスキ ポーランド 2-2
88分 ヴィクトル・ギェケレシュ スウェーデン 3-2

ワールドカップ 2026 グループステージでの活躍

エランガは2026年5月12日にグレアム・ポッター監督によって発表されたスウェーデン代表26名のメンバーに名を連ねた。グループFのスウェーデンは第1戦でチュニジアに5-1で大勝し、スウェーデン代表の攻撃陣がその強力さを示した。第2戦のオランダ戦では先発を外れ途中出場したが、出場からわずか4分後の59分にアレクサンデル・イサクのスルーパスに抜け出してゴールを決め、1点を返した。試合は最終的に1-5でオランダに敗れたが、「ワールドカップは世界最大の舞台であり、自分の能力を示したかった。ゴールはボーナスだが、本当に勝ちたかった」と試合後に語っている。第3戦の日本代表戦は1勝1敗のスウェーデンにとって決勝トーナメント進出をかけた重要な一戦となる。

プレースタイルと特徴

エランガ最大の武器は縦への圧倒的なスピードである。UEFAの統計では公式戦の最高速度が約37km/hを記録しており、右サイドでボールを持った瞬間に相手ディフェンダーの背後へ一気に走り抜ける突破力は国際舞台でも通用する。特にカウンター局面での貢献が際立っており、相手の守備陣形が整う前に前進できる点が最大の強みだ。また、スピードで仕掛けるだけでなく、ノッティンガム・フォレスト時代には1シーズン12アシストを記録したように、突破後に味方へのラストパスを選択するインテリジェンスも備えている。ウインガーとしてだけでなくフォワードやセカンドアタッカーとしてもプレーできる柔軟性が、ポッター監督のシステムで重宝されている理由の一つでもある。

父・ジョセフ・エランガとの関係

エランガの父ジョセフ・エランガはカメルーン出身のプロサッカー選手であり、1998年フランス大会にFIFAワールドカップのカメルーン代表として出場した経験を持つ。父がマルメFFでプレーしていた縁でアンソニーはスウェーデンで生まれており、その出自からスウェーデン、カメルーン、イングランドの3カ国の代表資格を持っていた。アンソニーは最終的にスウェーデンを選択したが、父と同じくFIFAワールドカップの舞台に立つことで、親子2代にわたるW杯出場という稀有な経歴を持つ選手となった。このような親子2代でのW杯出場は、サッカーの世界でも特別な意味を持つ。

主な成績

エランガのクラブ・代表での主な成績は以下の通りである。

  • マンチェスター・ユナイテッド(2021-2023):リーグ戦通算39試合3得点
  • ノッティンガム・フォレスト(2023-2025):リーグ戦通算74試合11得点(2024-25シーズンは6得点12アシスト)
  • ニューカッスル・ユナイテッド(2025-):移籍金約5500万ポンド(約109億円)
  • スウェーデン代表(2022-):通算28試合6得点(2026年3月時点)
  • FIFA ワールドカップ 2026 グループステージ:2試合出場1得点(対オランダ)
  • 2019年UEFA U-17欧州選手権:フランス戦で2ゴール
  • ジミー・マーフィー若手最優秀選手賞(マンチェスター・ユナイテッド、2020年)受賞

グループFの状況と日本戦の展望

アンソニー・エランガが所属するスウェーデンはグループFで1勝1敗(勝ち点3)となっており、第3戦の日本代表戦がグループ突破のかかった重要な一戦となる。スウェーデンはギェケレシュとイサクのツートップを軸に、エランガがそこに絡む攻撃的なスタイルを取っており、守備が間延びした状況でエランガのカウンターは日本代表にとって警戒すべき脅威となる。一方でオランダ戦では先発を外れるなど、序列としては第3の攻撃オプションという位置づけにあり、途中投入での打開役としての役割が大きい。父がW杯の舞台に立ったカメルーン代表ではなく、生まれ育ったスウェーデン代表を選んだエランガにとって、このFIFA ワールドカップ 2026は自身の選択とアイデンティティを世界に証明する機会でもある。

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