DINレール
DINレールとは、工業規格団体であるドイツ規格協会(Deutsches Institut für Normung)が定めた規格に基づく金属製の取り付けレールである。主に制御盤や配電盤の内部で、ブレーカや端子台、リレーなどの機器を効率的に固定するために用いられる。欧州を中心に世界各国で広く利用されており、統一された寸法や形状のレールを採用することで、異なるメーカーから供給される機器でも容易に組み合わせが可能になっている。産業用設備や自動化システムにおいては、配線作業の効率化やメンテナンスの容易化が求められるため、このレールは欠かせない存在となっている。日本国内でも各種電機メーカーが対応製品を提供しており、標準化された取り付け基準として広く浸透している。
規格の歴史
このレールの歴史は、ドイツ規格協会が幅や高さを定めた標準規格を提案したことから始まる。従来、メーカーごとに異なる形状や寸法が存在していたが、国際競争力の向上と生産性の最適化を目指す動きの中で、共通化のメリットが認識された。ヨーロッパではIEC(国際電気標準会議)などの影響も相まって早期に普及が進み、他地域にも広がっていった。こうした流れによって、国内外の電機メーカーや制御機器メーカーは共通のレール形状を設計に取り入れやすくなり、今日では多くの産業分野における機器搭載の基本要素として定着したのである。
DINレール持つ私かわいい#保全マダムの萌え袖 pic.twitter.com/Qgfl5aWoTh
— 少 佐 (祟り神やめたい) (@nh731) January 7, 2025
特徴
このレールの特徴は、一つは寸法が明確に定義されている点である。代表的な例として、幅35mmの形状が「35mmレール」と呼ばれ、最も多くの機器が対応している。また、耐久性に優れたスチールやアルミ合金などを素材として使用し、負荷や振動に対しても高い安定性を発揮する。さらにレール自体が薄型設計となっており、制御盤内のスペースを有効に活用できる点も大きな利点である。規格品ゆえにすり合わせがスムーズであり、計画的なレイアウト変更や拡張に対してフレキシブルに対応できることが、生産現場で重宝される理由の一つといえる。
太陽光用の室内側盤を組みます。
やっぱりDINレールは便利です。 pic.twitter.com/F1DpWoeyW2— kurosannshouuo (@kurosannshouuo) March 9, 2025
種類
規格上はいくつかの種類が存在し、代表的なものとしては「TS35(35mm幅タイプ)」、「TS15(15mm幅タイプ)」、そして「Gタイプ(G-section rail)」が挙げられる。TS35は厚みの違いなどによってバリエーションがあり、高さ7.5mmの「低背タイプ」や高さ15mmの「高背タイプ」などが存在する。一方でTS15はコンパクトな装置向け、Gタイプは主に重い機器を固定する用途に適している。用途や設置スペースの制約に応じて最適なタイプを選択し、機器設計を行うことが推奨される。
更新サボってしまいました。新規在庫のご紹介でも。
DINレールは今まで50cmと1mの2種類のみでしたが、
タカチ電機工業から出ている5cm~30cmまで5種類を置いてみました。
わざわざカットするのが面倒という方には便利!
DINレール取付板も置きました。
FDR-50,100,150,202,300
DRA-1,2,3 pic.twitter.com/2BVG8ZRgC6— 梅沢無線SAPPORO (@umezawa6000) April 12, 2018
主な使用例
実際の使用例としては、工場の自動化ラインに設置される制御盤や、建物内の分電盤などでよく見られる。具体的には、配線用ブレーカや漏電遮断器、電磁接触器、リレー、タイマーなどが、このレールに直接装着されることが多い。レールに沿って機器を連結すれば、配線作業が簡略化できるだけでなく、装置の交換や増設も容易になる。また、一部の通信機器やセンサモジュールも専用のブラケットを用いて搭載可能であり、さまざまな分野の電装設計に適合する柔軟性を備えている。
取り付け方法
- レールの取り付け方法は、制御盤や筐体の内部壁面にネジやボルトでレール本体を固定し、その上から各種機器をスナップオン方式ではめ込むのが一般的である。取り付け時にはレールが水平かつ安定していることを確認し、ねじれやたわみがないように注意する必要がある。しっかりと固定することで振動などの外的要因から機器を保護し、信頼性の高い運用を行うことができる。
IEC(DIN)レールを木板に取り付けた。そして配線ダクト取り付け予定地のケガキ線記入。 pic.twitter.com/Mhvu3liaFV
— dadada (@dadada9222) October 19, 2019
関連する規格
DINレールは、IEC規格やEN規格とも密接に関連しており、多くの国際認証を取得した機器がレール対応品として販売されている。例えばIEC 60715はレールの寸法や取り付け条件を定める国際規格として知られ、欧州で統一されているEN 60715も同様の役割を果たす。さらに北米ではUL(Underwriters Laboratories)による安全基準やCSA(Canadian Standards Association)規格への適合が求められることがあり、これらの要件を満たす製品が産業用途で重宝される。メーカーはこうした国際標準を踏まえ、世界中で互換性の高い部品供給を可能にしている。
設計上の考慮点
レールを利用する設計では、配線スペースや冷却効率、そして保守作業の利便性を考慮する必要がある。例えば、機器間の間隔を適切に確保しないと放熱不足やノイズ障害が発生しやすくなるため、通気性と余裕を見込んだ配置が望ましい。また、振動が多い環境ではレールの取り付け強度を高める補強部材の導入も有効である。加えて、将来的な拡張や機器交換が見込まれる場合は、レールの長さや設置位置に余裕を持たせておくことで、コストと作業負担の削減に繋がる。
産業界への影響
このレールの登場と普及によって、機器メーカーやシステムインテグレータが共同で開発・供給する製品同士の相互運用性が飛躍的に向上した。結果として、製造業界では制御装置の標準化や保守性の改善、在庫管理の合理化が促進されている。また、機器の組み付けに必要なリソースが削減されるだけでなく、交換や追加も容易になるため、生産ラインのダウンタイムを最小化しつつ柔軟な対応が可能となる。こうした恩恵から、多様な産業分野で導入が進み、世界的に見ても重要な役割を担い続ける存在といえる。