CWDM(Coarse WDM)
通信分野において、CWDMはCoarse WDMとも呼ばれる多重化技術である。これは光ファイバの1心で複数の波長を同時に送信する手法で、より狭い間隔で波長を分割するDWDMに対し、間隔が大きい特徴をもつ。一般的に通信規格が要求する厳しい温度制御を必要とせず、比較的安価かつ低消費電力で運用が可能となるため、都市圏やメトロネットワークなどで積極的に導入されている。
仕組み
従来の光通信においては、一つの光ファイバで単一の波長を使うため、ネットワーク容量を拡張するにはファイバ本数を増やす必要があった。これに対してCWDMは複数の波長をまとめて伝送することで、同じ光ファイバを有効活用する仕組みを採用している。装置内部では波長が異なる光信号を合波器と呼ばれるデバイスで結合し、受信側では分波器によってそれぞれの波長に分離する。各チャネル間の波長間隔が比較的広いため、温度変化によるレーザの波長変動を許容しやすいことがメリットである。
特徴
多くの場合、低コストが最大の魅力である。例えばDWDMでは高度な温度制御や精密なレーザが必要となり、装置費用も高額化しがちである。それに対しCWDMの使用バンドはO-bandからS-band、C-bandまで幅広いが、その分波長間隔を広めに設定しているため、レーザやフィルタの仕様を簡素化できる。必要なスペックが厳しくないことから、装置自体も省エネルギー設計になりやすい。こうした特徴により、コストを抑えつつネットワークの容量拡張を図れる点が評価されている。
応用分野
近距離から中距離のデータ伝送において強い存在感を示している。都市部のメトロネットワークやエンタープライズ向けの通信インフラ、複数拠点間を結ぶダークファイバの活用などで採用事例が多い。特に大規模データセンター間の連携では、インフラ増強にコストをかけず、かつ柔軟に運用を行いたいケースが多いため、CWDMの導入が検討される傾向にある。
実装上のポイント
装置を導入する上で留意すべき事項はいくつか存在する。温度制御の要件は緩やかであるものの、動作温度範囲を外れる環境では正常な動作を保てない場合がある。また、使用するトランシーバの光出力が低すぎると、想定する通信距離を確保できない可能性がある。さらにフィルタ類の特性や接続損失が大きすぎると、信号品質の劣化が発生しやすい。
- 設置環境の温度要件を事前に把握
- 光出力や受信感度を仕様で確認
- フィルタやスプリッタの挿入損失を考慮
運用上のメリット
設計と導入の柔軟性が高いため、小規模から中規模のネットワークでも十分に採用しやすい。必要なチャンネル数に応じて順次拡張が可能であることから、将来の需要変動に対応した段階的な投資計画が立てやすいという利点がある。また、高集積型の
光伝送システムを選ばなくても運用できるケースが多く、装置の設置スペースやラックの電源容量に余裕がない場合でも導入できる点が魅力となっている。
導入時の課題
もちろんメリットだけではなく、課題も存在する。まずはデータレートが高くなるほど要求されるスペクトル特性が厳しくなり、安価さが失われる懸念がある。次に、隣接するチャネルとの干渉に対してある程度のマージンを設ける必要があるため、チャネル数が制限される点にも注意が必要だ。さらに、長距離伝送を想定する場合はレピータなどの増幅装置が必要となり、その分導入コストが上昇することも考慮しなければならない。
今後の利用動向
昨今、通信トラフィックは急増しており、光ネットワークの増強は不可欠となっている。高密度化を追求する需要にはDWDMが適するケースが多いが、より経済的なソリューションを望む環境ではCWDMが選択肢として挙がる。光通信技術の進化とともにレーザの特性や受信感度の向上が進めば、Coarse WDMの適用範囲はさらに広がる可能性がある。近距離から中距離の広帯域通信を支える中核技術として、今後も注目を集め続けることが予想される。