B重油|規格・性状・粘度・用途を概説

B重油

B重油は、日本の燃料油区分である重油の一種で、A重油とC重油の中間に位置づけられる。一般に留出系と残渣系のブレンドで供給され、価格と取り扱い性のバランスが特徴である。ボイラ、産業炉、船舶の補助機関、非常用発電設備などに広く用いられ、粘度や硫黄分、着火性などの性状が設備の設計・運用に直結する。用途に応じて予熱・ろ過・霧化条件を最適化し、燃焼効率と排出の両立を図ることが重要である。なお、B重油の導入検討では燃料費だけでなくメンテナンス費や停止リスクも総合評価するのが実務的である。

定義と区分

B重油はJISに基づく重油の等級の一つで、粘度・硫黄分・残留炭素分などの規定値が設定される。A重油よりも粘度が高く、C重油よりも流動性に優れるため、既設の灯油・A重油仕様設備を大改造せずに燃料転換できるケースがある。一方で、燃焼器の噴霧特性や予熱設備の要否、配管・タンクの保温設計など、燃焼・貯蔵の要件はA重油より厳しくなることが多い。

性状と代表的特性

  • 動粘度:霧化性・ポンプ圧送性に影響。温度上昇で低下するため予熱が有効。
  • 密度:質量流量・噴霧慣性に関与。体積計量時は温度換算に留意。
  • 引火点:安全管理上の基準。取扱い温度や換気設計に関係。
  • 硫黄分:燃焼時にSOxが発生し腐食や排出規制に影響。
  • 残留炭素分・アスファルテン:堆積物生成やスモークの傾向に関連。
  • 灰分・金属分:バーナチップや触媒の劣化要因となる。
  • 水分:燃焼不安定・腐食・微生物増殖の原因となる。

主な用途

  • 産業用ボイラ・温水ボイラ:コストと取り扱いのバランスから選定。
  • 加熱炉・乾燥炉:安定火炎と熱量密度を両立しやすい。
  • 船舶補機・港湾発電:C重油ほどの高粘度設備を要しない場合に適する。
  • 非常用発電機:備蓄性に優れるが、始動性を確保する予熱・ろ過管理が必要。

燃焼・設備設計の要点

噴霧式バーナでは噴霧粒径を支配する粘度・表面張力に応じて燃料予熱を行う。バーナ入口で所定粘度となる温度まで加温し、二段ろ過やストレーナで固形物を除去する。タンク・配管は保温し、デッドレグを避けてスラッジ堆積を抑える。空気比は黒煙と未燃を避けつつ熱効率を最大化する範囲に調整し、炉内温度場の均一化と保炎構造に留意する。排ガスはNOx・SOx・ばいじんを管理対象とし、燃焼改善と集じん・脱硫の組合せで対応する。

コストと環境対応

B重油は単価面で優位なことが多いが、予熱・ろ過・保全コストを含めたTCOで比較する。規制面では大気汚染防止法や自治体条例、港湾域・沿岸での船舶排出規制(MARPOL Annex VIなど)を満たすため、低硫黄グレードの採用、燃焼最適化、脱硫・集じんの導入を検討する。代替として低硫黄重油、LNG、混合bio燃料等の選択肢がある。

選定・運用のチェックリスト

  • 既設バーナ・ノズルの対応粘度と必要予熱温度の確認
  • タンク保温・循環配管・ドレン処理の可否
  • ろ過・スラッジ管理計画(差圧監視、定期洗浄)
  • 起動頻度と始動性、停止時の固化対策
  • 排出規制・燃料仕様書の適合性、受入検査項目
  • 燃料切替時の燃焼調整・安全弁点検

関連する計算・換算

体積基準で購入し質量基準で燃焼計算を行う場合、密度の温度補正を行い、質量流量から理論空気量を算出する。発熱量は低位発熱量を用い、ボイラ効率と排ガス損失を加味して必要燃料量を見積もる。設計上は発熱量、密度、動粘度の関係を整理し、温度管理により所定の霧化条件を満たす。

安全衛生と保全

取扱いではこぼれ・付着による転倒・火災・環境汚染のリスクに注意する。保護具の着用、漏えい時の吸着材使用、静電気対策、消火設備の点検が基本である。貯蔵は水分混入を避け、微生物の繁殖と酸化劣化を抑える。運用記録として燃料受入検査、フィルタ差圧、バーナ着火性、黒煙傾向を定常監視し、異常兆候を早期に補修へつなげることが望ましい。