FIFA ワールドカップ 2026 ピオトル・ジエリンスキ|ポーランドの心臓、2026年への挑戦

FIFA ワールドカップ 2026 ピオトル・ジエリンスキ

ピオトル・ジエリンスキ(Piotr Zieliński、1994年5月20日生まれ)は、ポーランド出身のプロサッカー選手で、セリエAのインテル・ミラノに所属するミッドフィールダーである。両足から繰り出されるパスセンスと強烈なミドルシュートを武器に、イタリアリーグで長年にわたって活躍してきた。2024年夏にナポリからフリー移籍でインテルに加入し、クラブ史上初のポーランド人選手として背番号7を与えられた。ポーランド代表では長くレギュラーポジションを確保し、2018年・2022年のFIFAワールドカップにも出場した。しかしポーランド代表は2026年北中米ワールドカップの欧州予選プレーオフ決勝においてスウェーデンに3-2で敗れ、本大会出場を逃した。ジエリンスキにとってこの大会は3大会連続出場への挑戦となったが、準決勝アルバニア戦での決勝点を含む活躍も及ばず、夢は断たれることとなった。

選手プロフィール

ピオトル・ジエリンスキは1994年5月20日、ポーランドのドルヌィ・シロンスク県ゾンプコヴィツェ・シロンスキエに生まれた。身長177cm、体重64kg、ポジションはミッドフィールダー。右利きを基本としながらも左足の精度も高く、事実上の両足使いとして知られる。これは生まれ持った能力ではなく、少年時代に母親の助言でペナルティーキックを左足で蹴るよう促されたことをきっかけに、両足の徹底的なトレーニングを積み重ねた結果である。2023年10月にはイタリアでの在住年数が12年に達したことでイタリア国籍を取得しており、イタリアサッカーとの深い縁を持つ選手でもある。インテルでの背番号は「7」で、2028年6月まで契約を結んでいる。

クラブキャリア

ピオトル・ジエリンスキは2003年、父親がコーチを務めていたアマチュアクラブでキャリアをスタートさせた。その後、2007年にザグウェンビェ・ルビンの下部組織に移籍し、15歳でトップチームの練習に参加するほどの早熟ぶりを示した。2011年、欧州各国のスカウトの注目を集めた末に、若手選手の発掘・育成で知られるイタリアのウディネーゼ・カルチョと契約。2012-13シーズンにトップチームデビューを果たした。その後エンポリへのレンタル移籍を経て2015-16シーズンにリーグ戦35試合5得点を記録し、一躍注目を集める存在となった。

SSCナポリ時代

2016年夏、当時エンポリを指揮していたマウリツィオ・サッリ監督のナポリ入りに伴い、ジエリンスキもウディネーゼからナポリへ完全移籍で加入した。以降8シーズンにわたってナポリの中盤を支え続け、公式戦364試合で51ゴール46アシストという充実した数字を残した。特に2019-20シーズンのコッパ・イタリア制覇、2022-23シーズンには33年ぶりとなるセリエA優勝にも貢献した。インサイドハーフやボランチとしてプレーし、密集したエリアでもボールを奪われないキープ力、縦への推進力、エリア際からの精度の高いシュートで相手守備を脅かした。

インテル・ミラノ時代

2024年6月末にナポリとの契約が満了し、フリー移籍でインテル・ミラノへの加入が決定した。インテル史上初のポーランド人選手となったジエリンスキは、2024-25シーズンにセリエAで26試合2得点を記録。2025-26シーズンはさらに安定した活躍を見せ、セリエA34試合出場・6得点・3アシストとチームの主力として定着した。平均評価点7.23(FotMob)を記録し、チームメートのニコラ・ザレフスキからも「セリエA最高の選手」と称賛されるなど、インテルの中盤において不可欠な存在となっている。

ポーランド代表でのキャリア

U-15からA代表まで各年代のポーランド代表でプレーしてきたジエリンスキは、2013年6月4日のリヒテンシュタイン戦でA代表デビューを飾り、同年8月にはデンマーク戦で代表初得点を挙げた。その後、2016年・2020年・2024年のUEFA欧州選手権(EURO)にも出場するなど、長年にわたってポーランド代表の主軸を担ってきた。2018年・2022年のFIFAワールドカップにも出場し、2022年カタール大会のヨーロッパ予選プレーオフ決勝(対スウェーデン戦)では得点を挙げ、ポーランドの2大会連続出場に貢献した実績を持つ。48カ国が参加する2026年北中米大会への出場を懸け、代表の中心選手として再びスウェーデンとの一戦に臨んだが、今回は逆の結末が待ち受けていた。

2026年大会予選と代表内紛

2026年ワールドカップの欧州予選グループGにおいて、ポーランドはオランダ、フィンランド、リトアニア、マルタと同組に入った。オランダとのアウェー・ホームをいずれも引き分けで終え、グループ2位での通過によりプレーオフへと回ることとなった。ただし、この予選期間中にはチーム内の深刻な亀裂も生じた。当時のプロビエシュ監督がジエリンスキにキャプテンマークを移譲したことで、エースのロベルト・レヴァンドフスキが代表辞退を表明する異常事態に発展したのである。その後フィンランドとの予選で敗れたことを機にプロビエシュ監督が辞任し、2025年7月にヤン・ウルバン監督が就任。レヴァンドフスキも復帰し、チームは再び結束してプレーオフへ臨んだ。

プレーオフでの活躍と敗退

UEFA欧州予選プレーオフ パスB準決勝では、ポーランドがホームでアルバニアと対戦した。前半42分にアルバニアに先制を許す苦しい展開となったが、63分にロベルト・レヴァンドフスキが同点ヘディング弾を叩き込む。続く73分、ジエリンスキはシマンスキからのパスを受けると、迷いなく強烈なミドルシュートをゴール左に突き刺し、2-1での逆転勝利を手繰り寄せた。この決勝点はポーランドの決勝進出を確定させる劇的な一撃であった。しかし2026年3月31日の決勝・スウェーデン戦では、エランガの先制、ラゲルビエルクの勝越しと、ザレフスキ・シフィデルスキの同点弾で2-2に追いついたものの、後半88分にヴィクトル・ギェケレシュの決勝弾を許し3-2で敗退。2014年大会以来となるワールドカップ本大会出場を逃すこととなった。

プレースタイルと特徴

ジエリンスキのプレースタイルを特徴づけるのは、密集地帯でも発揮されるテクニカルなボールキープ、精度の高い両足から繰り出されるパスワーク、そして右利きながら左足でも同じ精度のシュートを放てる技術である。インサイドハーフやボランチとしてプレーする際、ドリブルと細かいパス交換で攻撃にリズムをもたらしながら、一瞬の閃きで縦パスを通して決定機を創出する。また、エリア際でのミドルシュートの威力も高く、アルバニア戦での決勝弾のように決定的な場面でゴールを奪える得点力も持ち合わせている。縦への推進力を持ちながら組み立てに参加できる万能型の中盤として、名将サッリやインザーギといった戦術眼に優れた監督たちに重用されてきた。

社会活動・人物像

ジエリンスキは「Peter Pan(ピーター・パン)」財団を設立し、自らの資金で故郷ゾンプコヴィツェ・シロンスキエの建物2棟を購入・改修して、困難な家庭環境の子どもたちのための養護施設に転用している。「Peter Pan」は「Piotr(ピオトル)」の英語訳に由来するネーミングである。両親が2002年から家庭環境に恵まれない子どもたちの支援に携わってきた背景があり、ジエリンスキ自身も頻繁に施設を訪れ、子どもたちとサッカーをするなど積極的に活動に関与している。スポーツ選手としての成功だけでなく、社会貢献への姿勢もこの選手の人物像を語るうえで欠かせない要素となっている。

ポーランドサッカーの次世代リーダーとして

2026年ワールドカップ本大会への出場は叶わなかったが、ジエリンスキは2026年北中米大会においてポーランド代表が経験した葛藤と再生のシンボル的存在として位置づけられる。レヴァンドフスキ世代から次世代へのバトンタッチが急務となるポーランドにおいて、32歳という年齢でインテルという欧州トップクラブで第一線に立ち続ける彼の存在感は際立っている。プレーオフでのアルバニア戦での決勝弾が示したように、大舞台での試合における勝負強さは健在であり、ポーランドサッカーの新たなリーダーとして次のサイクルへの期待は高い。インテルでの安定したパフォーマンスを維持しながら、レヴァンドフスキ引退後のポーランド代表を牽引する立場として、FIFAランキングでの国際的評価を高める役割も担っていくこととなる。

項目 内容
フルネーム ピオトル・セバスチャン・ジエリンスキ
生年月日 1994年5月20日(32歳)
出身地 ポーランド・ゾンプコヴィツェ・シロンスキエ
身長 177cm
ポジション ミッドフィールダー(インサイドハーフ/ボランチ)
利き足 右(事実上の両足)
現所属クラブ インテル・ミラノ(イタリア)
背番号 7
契約期間 2028年6月まで
代表デビュー 2013年6月4日(対リヒテンシュタイン)
W杯出場歴 2018年ロシア大会・2022年カタール大会
2026年W杯 欧州予選プレーオフ敗退(未出場)

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