1帝国主義と民族運動
近代世界史において1帝国主義と民族運動は、列強による支配拡大と被支配民の抵抗という、表裏一体の動きとして理解される。とくに19世紀後半から20世紀前半にかけて、欧米列強や日本はアジア・アフリカへ勢力を伸ばし、一方で現地では民族意識に基づく独立や自治を求める運動が高揚した。ここでは、帝国主義の進展と民族運動の展開を関連づけて整理する。
帝国主義の進展
19世紀の産業革命によって大量生産が進むと、列強は原料供給地と製品市場、さらには資本の投下先を海外に求めた。こうしてイギリス・フランス・ドイツ・ロシア、そして明治以降の日本などが、植民地獲得競争を本格化させた。この過程が狭義の帝国主義であり、外交・軍事力・金融を総動員して世界を分割する動きとして現れた。
帝国主義を支えた要因
帝国主義的膨張の背景には、次のような要因があった。
- 工業原料や食糧などの安定した供給源を確保する目的
- 自国製品を販売するための新たな市場を開拓する意図
- 余剰資本を投下し、利潤を得るための投資先を求める動き
- 列強どうしの勢力均衡を有利に保つための軍事・戦略上の配慮
アジア・アフリカへの支配拡大
アジアでは、イギリスがインドを本格的な植民地とし、フランスはインドシナ半島へ進出した。さらにロシアは中央アジアに南下し、日本は朝鮮半島や台湾へと勢力を伸ばした。アフリカでは「アフリカ分割」と呼ばれる急速な領土獲得競争が展開し、先住民社会は政治的主権を奪われた。こうした植民地支配は、軍事力とともに教育・宗教・法制度を通じて現地社会を再編成した。
民族主義と民族運動の台頭
しかし植民地支配の進展は、同時に民族意識の覚醒を促した。欧米型の近代教育を受けた知識層や都市の商工業者は、自民族の歴史や文化を再評価し、自立した国家建設をめざすナショナリズムを形成した。インド国民会議派や中国革命運動、朝鮮やベトナムの独立運動などは、その代表的な例である。
第一次世界大戦と民族運動
20世紀初頭になると、帝国主義諸国どうしの対立は第一次世界大戦へと発展し、戦争は植民地社会にも多大な影響を与えた。戦時動員を経験した人々は、戦後にかえって権利拡大と政治参加を要求し、民族運動はいっそう高揚した。アメリカ大統領ウィルソンが唱えた「民族自決」の原則も、各地の指導者に理論的支柱を与えた。
帝国主義と民族運動の歴史的意義
このように帝国主義は、暴力的な支配と搾取をもたらす一方で、交通網や学校制度の整備、近代的軍隊や官僚制の導入などを通じて、新しい社会集団と政治意識を生み出した。これらが結びついて民族政党や大衆運動が組織され、やがて独立国家の成立へとつながっていく。1帝国主義と民族運動は、支配と抵抗が相互に影響し合いながら近代世界を大きく変容させた過程として理解される。