Type2
Type2は、IEC 62196-2に規定される交流(AC)用電気自動車充電コネクタであり、欧州を中心に標準実装されている規格である。単相・三相の双方に対応し、最大で三相32A(一般的には22kW)、一部構成で三相63A(理論上約43kW)までを取り扱える点が特徴である。機械的ラッチによる抜け止め、制御信号(CP)と近接検知(PP)による安全制御、車両側インレットのロック機構など、設備・車両双方で安全性を多層的に担保する設計思想をもつ。欧州の「コンボ(CCS2)」はType2上部のAC接点に大電流DC端子を追加した形態で、交流普通充電と直流急速充電の両立を図っている。用途は公共の普通充電器から家庭用ウォールボックスまで広く、ケーブル有り(テザー)/無し(ソケット)の構成が選べる。
規格範囲とコネクタ構造
Type2プラグ/車両インレットは円弧状に配置されたL1・L2・L3・N・PEに加え、CP(Control Pilot)とPP(Proximity Pilot)端子を備える。筐体は難燃樹脂と金属シェルで構成され、耐候・耐油・耐UVを考慮した設計が一般的である。国・地域によりシャッター(接点保護)を要求する場合があり、公共設備では施錠付きソケットやケーブル保持機構が組み合わされる。嵌合回数は数千サイクルを想定し、接触抵抗の低減と発熱抑制のために厚めの銀/銀合金メッキ端子が採用されることが多い。
定格・適用電圧電流と充電モード
- 単相16A/3.7kW、単相32A/7.4kW:家庭用ウォールボックスで普及
- 三相16A/11kW、三相32A/22kW:公共の普通充電で一般的
- 三相63A/約43kW:設備・車両が対応する場合に限り運用
運用モードはIEC 61851-1におけるMode 3が中心で、EVSE(充電設備)と車両がCP信号で協調し、許容電流や接続状態を確認したのち内部コンタクタを閉成して通電する。ケーブルはケーブル側抵抗値(PP)で許容電流が符号化され、過負荷を未然に回避する。
CP/PP信号と安全機構
CPは約1kHzのPWM信号で、設備側が提供可能な電流値をデューティ比で通知し、車両側は状態遷移(未接続→接続→通電可→充電中)を抵抗やダイオードで表現する。PPはコネクタやケーブルの物理特性(ケーブル定格)を抵抗で示し、設備はこれを上限として電流を制御する。さらに車両側のロックピンが機械的にプラグを保持し、通電中の抜去や第三者による不正な取り外しを防ぐ。
CCS2との関係と互換性
CCS2(Combo 2)はType2のAC接点に直流用大電流端子を下方に追加した構成である。車両インレット側はAC普通充電(Type2)とDC急速充電(CCS2)の双方に対応し得る。AC充電時は従来のCP/PPハンドシェイク、DC充電時はPLC通信(ISO 15118等)による高機能な認証・課金・スケジューリングが用いられる。物理形状が共通するため、ユーザー体験は一貫し、地域のインフラ事情に応じて柔軟に運用が可能である。
機械・環境設計と保守
公共用Type2ソケットは屋外設置を前提にIP等級、耐塵・耐水、塩害対策を考慮する。プラグ/ソケットの接点は塵埃や金属粉で劣化しやすく、定期的な目視点検と軽清掃が望ましい。高電流連続運転では接点温度の上昇管理が重要で、温度センサ内蔵プラグや設備側の温度監視により定格ダウンや遮断を行う設計が普及している。ケーブルは曲げ半径・引張荷重・ねじりに配慮し、ストレインリリーフとケーブルハンガで誤荷重を避ける。
設置要件と電気保護
- 配線設計:電圧降下と発熱を抑える導体断面、端子圧着品質の確保
- 保護装置:RCD(タイプA+6mA DC検出、もしくはタイプB)や過電流保護
- 系統連系:需要家側の負荷制御(負荷平準化、デマンド制御、予約制御)
- 認証・課金:RFIDやOCPP連携を前提としたバックエンド統合
住宅向けでは200V単相が中心で、主幹容量と同時使用機器を考慮したブレーカ選定が必要である。公共設備では配電盤・接地系・避雷対策・系統監視を含めたトータル設計が求められる。
Type1との要点比較
Type2は三相対応で高出力の普通充電を実現しやすいのに対し、Type1(J1772)は単相運用が基本である。欧州ではType2が主流であり、日本や北米の輸入車でもType2またはCCS2を採用する車種がある。アダプタ利用の可否は各国法規・認証・保証条件に依存するため、実務では車両・設備双方の適合性を確認することが肝要である。
採用状況とインフラ
欧州の普通充電インフラはType2でほぼ統一され、駐車場・商業施設・路上設置を含む広域に展開されている。テザー型は利便性が高い一方でケーブル保守が必要、ソケット型はユーザー持参ケーブルに依存するが vandalism 対策と柔軟運用に優れる。ネットワーク化されたEVSEは負荷平準化やピークシフト制御を行い、分散型電源や建物EMSとの協調が進む。
設計・運用上のチェックポイント
- 接触抵抗と発熱:長期使用でのメッキ摩耗・酸化皮膜を考慮
- 温度監視:端子・リレー・ケーブルの温度閾値と降格ロジック
- 嵌合寿命:定格サイクルに対するメンテナンス計画
- 汚損・結露:屋外環境におけるシール性と水切り設計
- 誤挿入防止:キーイング形状とロックの健全性
関連規格と適合
Type2の実装では、IEC 62196-1/2(プラグ・ソケット)、IEC 61851-1(EVSE)、場合によりISO 15118(高機能通信)への準拠が要求される。国・地域の電気設備技術基準や配線規定、RCD要件、計量・課金制度とも整合させ、試験は絶縁・耐電圧・温度上昇・嵌合作動・環境ストレスを網羅することが望ましい。設備・車両・ケーブルの三者適合が満たされて初めて安全で効率的な普通充電が実現する。