GPF|ガソリンPMを捕集し再生浄化

GPF

GPF(Gasoline Particulate Filter、ガソリン微粒子フィルタ)は、直噴ガソリンエンジン(GDI)が排出する粒子状物質(PM/PN)を物理的に捕集・酸化する壁流型セラミックフィルタである。壁面多孔質体を通過させることで粒子をトラップし、走行中の高温排気や触媒反応熱により吸着粒子を二酸化炭素へ酸化する。欧州のEuro 6c/6dやWLTPにおけるPN規制(6×10^11 #/km)への適合、都市部での粒子数低減、健康影響対策の観点から普及が進む。DPFと基本構造は類似だが、ガソリン機関は平均排気温度が高くスート量が少ないため、再生戦略・触媒組成・セル設計に最適化が施される。

目的と機能

GPFの主目的は、ナノ~サブミクロン粒径のPNを大幅に削減し、法規適合と実走行環境での空気質改善を達成することである。深層捕集と表面ケーキ形成の両機構により粒子を捕捉し、触媒被覆により低温からの酸化反応を促進する。結果として三元触媒(TWC)だけでは十分に抑えきれないPNピークを抑制できる。

構造と材料

GPFはハニカム形状の壁流型で、セル端を交互に封止したコージェライト、SiC、アルミナチタネートなどの多孔質材を用いる。代表値としてセル密度200–300 cpsi、壁厚0.3–0.4 mm、気孔径10–20 µm、空隙率50–60%が採用される。耐熱衝撃性・機械強度・熱膨張の小ささが選定指標である。

コーティング設計

多くは貴金属(Pt/Pd/Rh)を担持した被覆型(coated GPF, cGPF)で、TWC機能と粒子酸化機能を兼ねる。被覆量の過多は圧損増大と捕集層発達の遅延を招くため、細孔分布と比表面のバランスが要となる。

捕集メカニズム

GPFの捕集は、初期は壁内での拡散・さえぎり支配(deep-bed)、充填が進むと壁表面にケーキ層が形成される二段階で進行する。粒径分布、排気流速、壁厚・細孔径が転移点を規定し、ケーキ層の透過抵抗が圧損を支配する。

触媒機能と排出ガス低減

cGPFはTWC機能(CO/HC/NOx同時浄化)を保持しつつ粒子酸化を促進する。ストイキ(λ=1)制御下で発熱反応が起こり、表面温度が上昇してスートが酸化される。硫黄やリンなど被毒成分は活性低下と再生温度上昇を引き起こすため、燃料・潤滑油の管理も重要である。

再生制御(パッシブとアクティブ)

  • パッシブ再生:通常運転の排気温度(350–600℃)やNO₂生成、TWC発熱により自然酸化。
  • アクティブ再生:負荷や点火時期遅角、燃料リッチ化等で温度を一時的に上げ、堆積スートを焼却。

ガソリン機関は平均温度が高く、DPFよりアクティブ再生頻度は低い傾向にあるが、短距離・低温走行が多い場合は制御が必要となる。

配置とシステム構成

GPFはエンジン直下の近接配置(close-coupled)と床下配置の2系統がある。近接配置は早期昇温とPNピーク対策に優れる。システムとして、前段TWC+後段GPF、あるいはcGPF単独構成が用いられる。後処理一体化によりパッケージングとコストを最適化する。

設計パラメータと圧損

圧損はセル密度、壁厚、ケーキ層厚、ガス流量に依存する。圧損の過大は燃費・出力に悪影響を与えるため、捕集効率と背圧のトレードオフ最適化が不可欠である。触媒層の微細構造はスート付着形態と再生温度に影響し、微細粒子のPN効率と圧損上昇速度の両立が課題となる。

制御・センサー・OBD

ECUは差圧センサーで堆積量を推定し、必要に応じて点火・空燃比を補正する。下流PNセンサーや温度センサーを併用し、再生の完了・未完を診断する。OBDでは捕集効率低下、差圧異常、触媒活性劣化などを監視し、故障時はDTCを記録する。

耐久・劣化・メンテナンス

熱老化により貴金属のシンタリングや担体相変化が進み活性低下を招く。急激な温度勾配は熱衝撃破損の原因となるため、制御側で再生レートと温度立ち上げを緩和する。灰(潤滑油由来添加剤)は燃焼せず蓄積するため、長期では有効容積減少と圧損上昇を引き起こすが、通常は無整備で寿命末期まで使用する設計が多い。

規制・試験モード

WLTPやRDEにより実走行でのPN制御が求められ、加速・負荷変動時のPNスパイク抑制が重要となる。Euro 6d-TEMP以降では寒冷条件や広範な運転点での性能確保が焦点であり、GPFはTWC単独に比べ安定したPN低減を実現する。

車両統合上の留意点

  • パッケージング:遮熱・クリアランス・NVH対策を両立。
  • キャリブレーション:昇温戦略と燃費・排気温のバランス取り。
  • 材料選定:熱衝撃・熱膨張差・耐被毒性の確保。
  • 品質:セル封止・モノリス割れ・キャニング応力の管理。

これらを総合すると、GPFは粒子捕集・酸化・三元浄化を一体で成立させる要素であり、将来の規制強化や実走行監視の拡充に対しても拡張性をもつ後処理技術である。

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