ナビゲーションユニット|車両データ連携で最適ルート提示

ナビゲーションユニット

ナビゲーションユニットは、車両の現在位置を高精度に推定し、目的地までの最適経路を提示・案内する中核デバイスである。GNSS受信機、IMU、地図データベース、ルーティングエンジン、音声・表示のHMI、車載ネットワークI/Fなどで構成され、走行中の環境変化(渋滞・規制・天候)や運転者の嗜好を反映して経路を再計算する。近年はクラウド連携やOTA更新により、機能拡張と地図鮮度維持を継続的に実現する。

概要と役割

ナビゲーションユニットの役割は、①現在地の推定、②経路探索、③案内提示、④周辺情報提供の4点に整理できる。現在地はGNSSと車速・ヨーレート等の自律航法を融合して安定化し、経路探索は交通情報を考慮したコスト最小化問題として解く。案内は音声・地図・交差点拡大図・レーン情報で多層的に提示し、周辺情報はPOIや駐車場混雑、充電ステーションの稼働状況などと統合する。

構成要素(センサと演算基盤)

  • GNSS受信機:GPS/QZSSに加えSBASやRTK/PPPへ拡張し高精度化
  • IMU:3軸ジャイロ・加速度でトンネル等のGNSS遮蔽を補完
  • 演算基盤:SoC+MCUでHMIとリアルタイム処理を分担、メモリは地図DBを想定し大容量化
  • ストレージ:地図・音声・履歴を格納、書換耐性と暗号化を重視
  • I/F:CAN/CAN-FD、LIN、Ethernet(AVB/TSN)、USB、Bluetooth、Wi-Fi、LTE/5G

位置推定アルゴリズム

ナビゲーションユニットは拡張カルマンフィルタ等でGNSS測位、車速パルス、ジャイロ、加速度、ステア角を統合し、地図形状に沿うマップマッチングで道路上の位置・進行方向を拘束する。日本ではQZSS(みちびき)のサブメータ測位やRTKによるセンチ級測位を活用し、交差点や多層高架でのレーンレベル推定精度を高める。

地図データとルーティング

ナビゲーションユニットは道路中心線、規制、制限速度、レーン属性、標高、POIなどの多属性地図を用いる。差分更新やタイル配信で鮮度と容量を両立し、都市部では屋内駐車場や複雑交差も拡張表現する。交通情報(VICS、ETC 2.0、クラウドプローブ)を取り込み、時間帯別の所要時間モデルで現実的な到着予測を行う。

経路探索とコスト関数

探索にはDijkstraやA*、階層化グラフなどを用い、コストは距離・時間・有料料金・勾配・曲率・右左折回数・道路種別ペナルティ等を重み付けする。EVでは充電計画を組み込んだSOC制約付き探索を行い、温度や混雑予測も加味する。案内時は交差点拡大図やレーンレベルのガイダンスで運転負荷を下げる。

HMIと車載ネットワーク連携

ナビゲーションユニットはクラスタ(コンビネーションメーター)やHUDにターンバイターン情報を配信し、音声認識で目的地設定や経路変更を自然言語化する。車載バス経由でステア角・車速・シフト・ワイパ状態を取得して案内タイミングを最適化し、走行中のタッチ操作は運転支援を阻害しないUIガイドラインに従う。

接続機能とクラウド連携

ナビゲーションユニットはLTE/5Gでクラウドの動的地図・駐車場・料金・イベント情報、ユーザプロファイル、学習モデルを取得する。OTAで地図・音声・モデル・アプリを安全に更新し、プローブ走行データを匿名化・集約して渋滞推定の精度を継続改善する。スマホ連携ではハンドオーバーやシームレスな目的地共有を実装する。

規格・法規・安全

ナビゲーションユニットは機能安全ISO 26262やサイバーセキュリティISO/SAE 21434に準拠し、ブートチェーンの信頼、鍵管理、バス侵入検知、ログ監査を備える。通信はTLS、車内はセグメンテーションで境界防御を構築する。GNSSはNMEA/RTCM等に適合し、V2X(DSRC/C-V2X)や国・地域の交通情報仕様にも整合させる。

設計上の留意点(熱・電源・EMC)

ナビゲーションユニットは高温・低温・振動環境で安定動作する必要がある。熱設計はヒートスプレッダと筐体放熱、ピーク演算時のサーマルスロットリング制御を考慮する。電源はクランキング耐性、サージ・ロードダンプ対策、アイドル時の低消費電力が要点で、EMCは筐体シールドとグラウンド設計で放射・伝導ノイズを抑制する。

自動運転・ADASとの関係

ナビゲーションユニットはADAS/自動運転に高精度地図とルート意図を提供し、機能横断の「どこへ行くか」を担う。レーン・ランドマーク・制限速度等の属性を共有し、ドライバ監視やARガイダンスと連携して視線移動を最小化する。将来はクラウド側の学習と車載側の推論を協調させ、都市スケールの動的更新と高信頼案内を両立させる。