マップランプ|読書や地図確認に最適な小型灯

マップランプ

マップランプは、自動車の前席周辺で手元や書類を局所的に照らす補助照明である。運転席や助手席上部のヘッドライニング、またはルームミラー付近に組み込まれ、配光を限定して眩惑を抑えつつ必要十分な照度を得ることを目的とする。ルームランプが室内全体を照らす拡散照明であるのに対し、マップランプは読み書き・操作・探し物などの近接タスクに最適化されたスポット的照明であり、夜間走行時でもドライバーの視認性を損ねないよう設計される。

構造と主要部品

マップランプは小型ハウジング、レンズ(または拡散板)、光源、反射器、スイッチ機構、電源回路で構成される。車室内意匠に合わせた一体ユニットとして天井トリムに固定され、要求に応じて単体・左右独立・ルームランプ一体型などのバリエーションがある。耐熱・難燃材料の採用、指触部のエッジ処理、異音低減のためのクリック感最適化など細部設計が品質感を左右する。

  • ハウジング:熱変形やきしみ音を抑える樹脂グレードを選定
  • レンズ/拡散板:配光とグレア抑制を両立する微細パターン
  • 光源:近年は高効率なLEDが主流
  • スイッチ:押しボタン、ロッカー、タッチ式、ドア連動
  • 電源回路:極性保護、サージ吸収、調光用制御回路

光学設計と配光制御

読みやすさと眩しさ回避の両立が要である。光学設計では、出射角を狭めたビームで膝上〜センターコンソール周辺にピーク照度を与え、ドライバーの直接視野には高輝度部が入らないよう遮光リブやスヌートを設ける。拡散板に微細プリズムやドットパターンを成形し、照度ムラを低減する。反射器とレンズの組合せにより、スポット/楕円/ワイドなどの配光を作り分ける。

光源技術(白熱・蛍光・LED)

旧来は小型白熱球が主流であったが、現在は発熱が少なく長寿命のLEDが主役である。LED化により低消費電力、即時点灯、色温度選択(電球色〜昼白色)、高演色の実現が容易になった。駆動には定電流回路を用い、PWM調光で明るさ制御やフェードイン/アウトを実装する。高温環境での光束低下を抑えるため、基板の熱抵抗低減と放熱パスの確保が重要である。

操作とインターフェース

マップランプの操作は、個別スイッチでのオン/オフ、全灯のドア連動、点灯保持タイマー、段階調光などが一般的である。タッチセンサは意匠自由度と防塵性に優れ、夜間の操作性向上のためにスイッチ周辺へ微弱なイルミネーションを付与する設計も多い。誤操作防止のため、クリック感やスイッチ配置の人間工学的評価が求められる。

設計要件と規格・法規への配慮

内装部品としての難燃性、化学耐性、耐候性に加え、車載機器としての電磁適合(EMC)や車両電源の負荷変動・サージへの耐性を満たすことが前提である。特にLED駆動回路はノイズ放射を抑えるためフィルタリングとグラウンド設計を慎重に行う。また、走行時の眩惑を避ける配光と、運転者の注意散漫を防ぐ適切な光束が望ましい。

信頼性と耐久性

マップランプは−30〜高温域の温度サイクル、振動、段差通過時の衝撃、結露などのストレスに晒される。LEDは長寿命だが、熱や過電流で劣化が促進されるため、熱設計と保護回路が寿命を左右する。スイッチは繰返し操作に耐える機械強度と接点信頼性が必要で、タッチ式でも基板実装部のはんだ疲労を評価しておく。

故障モードと対策

代表的な故障は、点灯不良(LEDチップ劣化、はんだクラック、コネクタ接触不良)、ちらつき(電源リップル、接点不良、PWM設定不適)、色ズレ(LEDロット差・熱漂移)、割れや擦り傷(レンズ樹脂の応力クラック)などである。対策として、FMEAに基づく設計余裕の確保、耐熱・耐薬品材の選定、ねじ締結の緩み対策、コネクタ嵌合力の管理を行う。

製造と品質管理

樹脂成形ではゲート位置と成形条件が配光に影響するため、フローマークやウェルドラインの抑制が重要である。実装工程ではLEDの実装温度プロファイル管理、フラックス残渣の洗浄、光学部品の防汚ハンドリングを徹底する。出荷前には点灯試験、電流値・光束・色度の測定、外観検査、フェード制御の機能確認を実施する。

選定のポイント

後付けや車種別の置換選定では、固定方式(ビルトイン/クリップ)、定格電圧、明るさ、配光(スポット/ワイド)、色温度、演色性、調光機能、スイッチ種類、消費電力、電磁ノイズ、質感(クリック感・レンズ意匠)を比較する。車内デザインとの調和や触感、夜間の視認性など、数値化しにくい要素も評価対象である。

  • 明るさと配光:手元を十分に照らしつつ眩惑を抑制
  • 色温度と演色性:文字や地図の判読性を高める
  • 操作性:直感的で誤操作しにくいスイッチ配置
  • 耐久性:温度・振動・サージに対する設計余裕
  • 意匠:内装トーンとの統一感、指紋や汚れの目立ちにくさ

関連用語と位置づけ

マップランプは車内照明体系の一部であり、室内全体を照らすルームランプ、足元を照らすフットランプ、夜間乗降を助けるカーテシランプ、日よけ周辺のバニティランプなどと機能分担する。用途ごとの配光・照度・色温度を設計段階で整理し、運転視認性と居住性を両立させることが望ましい。