フォースゲージ|微小から大荷重の力を高精度に測定

フォースゲージ

フォースゲージは、引張力や圧縮力を数値化して表示する携帯型の力計である。製品の押しボタンの操作力、コネクタの挿抜力、包装の開封力、バネの荷重特性など、現場の品質管理から研究開発、工程設計に至るまで幅広く用いられる。単体での手持ち測定に加え、専用スタンドと治具を併用して定速・直線性・位置再現性を確保することで、ばらつきの少ないデータ取得が可能になる。単位は一般に「N」「kgf」「gf」を切り替え可能で、ピーク値保持や統計演算、外部出力など多機能化が進む。荷重測定の概念上は荷重計と近いが、携帯性と治具交換性を重視した点に特色がある。

測定原理と方式

フォースゲージの検出方式は大別して「ばね式」と「ロードセル式」である。ばね式はフックの法則に基づき、変位量を機械的あるいは簡易センサで読み取る。構造が単純で堅牢だが高精度域には限界がある。ロードセル式は金属弾性体に貼付したストレインゲージの電気抵抗変化をブリッジ回路で検出し、微小なひずみを増幅・A/D変換して力に換算する。非直線性とヒステリシスの補正が施され、広レンジ・高分解能・温度補償に優れる。校正は既知荷重を段階投入し、ゼロ点・感度・直線性を調整する。

引張・圧縮の両測定

フォースゲージは、フックやリング、平押し圧子、Vノーズ圧子、ワイヤ用治具など、測定対象に応じてアタッチメントを付け替え、引張・圧縮の双方を測定する。軸芯ずれは誤差と破損の原因となるため、治具のセンタリングと直交度を確保することが重要である。

主な仕様と機能

  • レンジと分解能:測定上限(例:500 N)と最小表示(例:0.1 N)。分解能は判定閾値設定に直結する。
  • 精度:フルスケールに対する±%表示が多い。ゼロドリフト・温度ドリフトの仕様も確認する。
  • 過負荷耐性:定格の約120〜150%で機械保護が働く設計が一般的。過負荷警告の有無を確認する。
  • ピークホールド:瞬間最大値を保持。引張破断やクリック感の評価に有効。
  • サンプリングレート:数十〜数千 Hz。高速事象や突発ピークの捕捉に影響する。
  • 判定機能:上限・下限の合否判定、パス/フェイル出力。

インターフェースとデータ処理

フォースゲージは計測値の一貫性を担保するため、USB、RS-232C、BluetoothなどでPCやプリンタと連携する。ログ保存、時刻スタンプ、統計量(平均・標準偏差・Cp/Cpk相当の管理指数の算出機能を持つ機種もある)により、工程能力の可視化が可能になる。波形解析を要する場合は高速取り込みに対応したソフトウェアを用いる。

用途例

  • 押しボタンスイッチ・キーボードの操作力評価(クリックポイント、リターン差)。
  • コネクタの挿入力・引抜力、端子の嵌合保持力。
  • 包装材(ヒートシール、チャック)の開封力、シール強度。
  • ラベル・フィルムの剥離力(一定角度・一定速度の剥離試験)。
  • バネ定数の測定:荷重−変位曲線を取得し、勾配からkを算出。変位取得にはLVDT変位計を併用する。
  • タッチパネル・タッチペンの押圧力、医療デバイスの押し込み力の適合確認。

校正・トレーサビリティ

フォースゲージの信頼性は定期校正に依存する。基準分銅やデッドウエイト式試験機で複数点を確認し、ゼロ点・スパン・非直線性・繰返し性を記録する。校正証明書・成績書・トレーサビリティ体系図を整備し、変更管理と校正周期(例:年1回、使用頻度に応じ短縮)を文書化する。温度・湿度条件、姿勢(縦置き/横置き)の影響も評価対象である。

選定のポイント

  1. レンジ:最大想定荷重の1.5〜2倍を目安に選ぶ。過負荷マージンと解像度のバランスを取る。
  2. 分解能とノイズ:閾値判定や微小力評価では分解能と安定表示が重要。
  3. サンプリング:突発ピークの捕捉や破断試験では高 Hz が有利。
  4. 治具互換性:対象形状に適合するアタッチメントとねじ規格(例:M6)を確認。
  5. 環境:温度範囲、落下耐性、クリーン環境での使用可否(発塵・帯電対策)。
  6. データ運用:インターフェース、解析ソフト、バーコード連携、履歴管理のしやすさ。

手持ちと試験スタンド

再現性を高めるには専用スタンドで一定速度・一定姿勢を確保する。偏荷重や摩擦を抑え、力のベクトルを試験体の中心に通す。荷重−変位の同時取得ではLVDT変位計などの変位センサを組み合わせ、合成波形からクリック感や粘弾性の挙動を解析できる。なお、回転トルクや出力特性を扱うダイナモメータは用途が異なるため、力学量の定義を混同しない。

安全と運用の留意点

フォースゲージの破損防止には、過負荷防護、エンドストッパ、非常停止の併用が有効である。鋭利な試験体には保護板を介し、滑りを防ぐ表面処理(サンドブラスト、ゴムパッド)や治具の面取りを行う。試験前にはゼロリセット、ウォームアップ、表示安定の確認を習慣化し、測定後は荷重履歴・環境条件・治具構成を記録する。作業者教育と手順書の整備は、品質と安全の双方を底上げする。