インパクトクラッシャ
インパクトクラッシャは回転ロータに取り付けたブローバー(打撃子)で原料に高速衝撃を与え、固定側のインパクトプレート(カーテン)との挟衝と反発を繰り返して微細化する破砕機である。破砕作用は主に打撃・剥離・摩滅から成り、角ばりの少ない立方状粒子を得やすい点が特長である。石灰石やリサイクルコンクリート、アスファルト塊、スラグなどに適用され、一次〜二次破砕のいずれにも用いられる。ギャップ調整と回転周速度の制御により粒度と形状をチューニングでき、スクリーンと循環させるクローズドサーキット構成で安定した粒度分布を実現する。
構造と作動原理
主機はシャフト駆動のロータ、ブローバー、ライナ付きのケーシング、段付きのインパクトカーテンで構成される。投入された岩塊はロータ周辺速度による一次衝撃で割れ、カーテンとライナ面で反発・再衝突を繰り返す。破砕室のクリアランス(一次・二次カーテン間隔)を油圧または機械的に調整することで、最大粒径(トップサイズ)と破砕比を制御する。過大塊は循環し、十分なき裂進展と角の整形が進む。ロータのバランス、給鉱の均一性、鉄片の侵入防止は振動・損耗を抑える要点である。
種類(水平軸式HSIと垂直軸式VSI)
- 水平軸式(HSI): ロータが水平に配置され、ブローバーが直接打撃する。中軟質岩や解体材の処理、一次・二次破砕に適する。高い破砕比と処理量を確保しやすい。
- 垂直軸式(VSI): ロータから原料を加速し、岩石同士またはアンビルに衝突させる。石質依存性はあるが、立方状で粒形の整った砂・細骨材を得やすく、最終整形(第三次破砕)に多用される。
適用分野と処理材料
石灰石・白亜質岩・ドロマイトなどの脆性堆積岩、再生コンクリート塊やアスファルト塊、鋳物スラグ等に適用される。玄武岩や花崗岩など高い研磨性材料では摩耗コストが増大するため、用途や粒度目標に応じてジョークラッシャやコーンクラッシャと工程分担する設計が一般的である。鉄筋混入材は磁選機で事前・事後に除去し、破砕室の損傷を防ぐ。
粒度・形状制御と破砕比
粒度は主に(1)ロータ周速度、(2)一次・二次カーテンのギャップ、(3)給鉱粒度分布と含水率、(4)ライナ形状で決まる。一般にインパクトは高い破砕比(10:1程度)を取りやすく、角の取れた立方状粒子が得やすい。製砂・整形用途ではVSI、骨材の二次破砕ではHSIが用いられ、閉回路で循環させることで規格粒度への収束が速まる。
摩耗部品と材質選定
ブローバー材質には高マンガン鋼、マルテンサイト系鋼、ハイクロム鋳鉄などがあり、対象材の研磨性と衝撃レベルで選定する。ライナ・アンビルは耐摩耗鋼や複合材を用い、摩耗パターンを読み替えながら位置入替・左右反転で寿命を延ばす。適切な給鉱高さとチョークフィードの維持、ロータ端部の保護は局所摩耗とエッジ破損の抑制に有効である。
能力計算と選定指標
処理能力は有効ロータ幅・直径、周速度、開口寸法、原料のかさ密度と圧縮強度、含水率で決まる。メーカーの特性曲線では、所望のトップサイズに対する推奨周速度とカーテン設定が提示される。必要動力はトルク×角速度から概算でき、比エネルギ(kWh/t)でライン全体の効率を評価する。原料が薄片状・粘土質を多く含む場合は、目詰まりと偏摩耗のリスクが上がるため、前段のスカルピング(ふるい分け)とフィーダ制御が有効である。
プロセス統合と回路設計
単体運転より、振動フィーダ・磁選・スクリーンと組み合わせた閉回路が一般的である。破砕機出口をスクリーンで分級し、オーバーサイズのみを戻すことで過粉砕を抑制しつつ設定粒度を確保する。ダスト発生は集じん(バッグフィルタ)と噴霧抑塵で低減し、回転体の囲いとインターロックで保守時の安全性を確保する。
典型的なトラブルと対策
- 偏摩耗・振動増大: 給鉱偏りを是正し、ロータバランスとライナ摩耗を点検する。
- 過粉砕・微粉過多: カーテンを広げ、周速度を下げ、スクリーン開口と循環比を再設計する。
- 目詰まり: 湿潤原料は予備乾燥・加熱、粘土塊は前処理で剥離させる。
安全対策と環境配慮
ロックアウト・タグアウトの徹底、ハッチ開放時の機械式プロップ、過負荷時のリリーフ機構、飛散防止のライナ覆いが必須である。粉じん・騒音は覆いと集じん、散水・噴霧、消音材で抑制する。鉄片・非破砕物の侵入は金属検出器と磁選で抑え、ロータ衝撃による二次災害を防止する。
規格・評価と用語
製品骨材はJIS/ISO等のふるい分け試験や実積率・粒形判定で評価する。インデックスとして破砕比、循環比、比エネルギ、針片状率、微粒分量などを併記し、プロセスの安定度を定量化する。設備導入時は材料試験の代表性、運転点の再現性、消耗品コストの感度を事前に検証しておくと、立ち上げ後の性能乖離を抑えられる。