路面再生機|舗装再生を支える重要な機械

路面再生機

路面再生機は、老朽化したアスファルト舗装を現地で切削・再混合し、再生合材として再敷設するための自走式建設機械である。路面を剥がして運搬・再製造する従来方式に比べ、現場内で再資源化(インプレースリサイクリング)を行うため、工期短縮、CO₂排出量削減、ダンプ走行の削減による周辺環境負荷の低減に寄与する。代表的な工法は、加熱して表層を再生するHIR(Hot In-place Recycling)、常温で切削材に再生結合材を添加するCIR(Cold In-place Recycling)、路床近傍まで一体的に再生するFDR(Full-Depth Reclamation)であり、路面再生機はこれらの工法に応じて加熱、切削、混合、散布、整形のユニットを構成する。

工法の分類と適用範囲

路面再生機が関与する工法は、路面の損傷程度、目標構造性能、交通規制条件により選定する。HIRはひび割れが浅い表層の機能回復に適し、CIRはわだち掘れや剥離が進行した場合でも表層〜基層(概ね50〜120mm)を対象にできる。FDRはアスファルト層と路盤を同時に粉砕・安定化し、構造的に弱体化した区間の再構築に有効である。

コールド・インプレース・リサイクリング(CIR)

CIR対応の路面再生機は、高トルクの切削ロータで舗装を粒状化し、同時にアスファルト乳剤、発泡アスファルト、セメント系安定材を所定量添加する。車載ミキサで均質に混合後、スクリードで所定厚に敷きならし、後続のコンパクタで目標密度まで転圧する。常温作業ゆえ夜間施工・景観地区でも適用しやすく、再生材率は90〜100%に達しうる。

ホット・インプレース・リサイクリング(HIR)

HIRは赤外線やガス加熱ユニットで表層を加熱軟化させ、リジュベネータ(アスファルト再生剤)を散布し、スクラリファイアでほぐした後に整形・締固めを行う。加熱温度は既設合材の性状に応じて管理し、酸化劣化を抑える。列車編成型の路面再生機では、加熱→ほぐし→混合→敷均し→転圧が連続し、交通開放までの時間を短縮できる。

フルデプス・リクレメーション(FDR)

FDRでは、切削・混合ロータでアスファルト層と路盤材を150〜300mm程度まで一体粉砕し、セメントや石灰、発泡アスファルトを添加して安定化する。大型の路面再生機は高出力エンジンと深掘りロータを備え、均一な混合と目標含水比の確保が品質の要となる。整形後は所要の養生期間を経て表層をオーバーレイする。

主要構成と機能

  • 切削・混合ロータ:耐摩耗ビットを装着し、粒度分布と比表面積を制御する回転体。
  • 加熱ユニット:HIR向けに赤外線・ガス加熱パネルを搭載し、均一加熱を図る。
  • 添加・散布システム:乳剤、リジュベネータ、セメントスラリー等を流量計で精密添加。
  • 車載ミキサ/チャンバ:再生材の均質化と含水管理を担う。
  • スクリード・整形:高精度レベリングで横断勾配・縦断平坦性を確保。
  • 計測・ICT:切削深、添加量、含水比、温度、出来形、位置情報をリアルタイム記録。

配合設計と品質管理

CIRでは既設合材のアスファルト含有量、骨材グレーディング、吸水率を把握し、乳剤または発泡アスファルトの最適添加率を室内試験で決定する。目標は圧縮強度、間接引張、動的弾性係数、車輪追従性、耐水性のバランスである。現場では核密度計やサンプリングコアで密度・空隙率を管理し、HIRでは表層温度、再生剤散布量、再加熱の回数を管理指標とする。FDRでは改良層の一軸圧縮、E値、FWDによるたわみ測定などで構造性能を検証する。

適用判断と施工計画

路面再生機の適用判断には、ひび割れ形態(反射・全層)、わだち深、剥離、基層強度、地下水位、交通量・車両構成が影響する。都市部では夜間・片側交互通行でのCIR/HIRが有利で、郊外の深刻な構造劣化区間ではFDRを選ぶ。施工計画では、規制延長、仮配水・ガス管等の埋設物探査、雨天時の養生計画、再生材の暫定通行基準を明確にする。

環境・安全・経済性

インプレース再生は運搬削減によって燃料消費とCO₂を低減し、騒音・粉じんも抑制できる。現道施工のため第三者災害リスク管理が重要であり、加熱作業では熱傷・火災リスクに配慮し防火区画と監視体制を設ける。ライフサイクルコスト(LCC)では、再生層上の適切なオーバーレイやシールコートの維持戦略と組み合わせることで、全寿命費用の最小化が期待できる。

仕様の目安と機械性能

  • 作業幅:2.0〜3.8m級(車線幅に応じて可変)。
  • 切削深さ:HIRで20〜60mm、CIRで50〜120mm、FDRで150〜300mm程度。
  • 添加能力:乳剤0.5〜3.0%、発泡アスファルト1.5〜3.5%、セメント1〜3%(質量比の目安)。
  • 走行・施工速度:現場条件により0.2〜6.0m/min程度の低速制御。
  • 出力:深掘り・高含水条件に対応する高出力エンジンとハイドロスタティック駆動。

出来形と性能評価

出来形は厚さ・幅・横断形状の管理に加え、平坦性(IRI)やすべり抵抗、透水性の確認を行う。CIR/FDRでは所定の養生後にオーバーレイや表面処理を施工し、初期わだち抑制と耐久性を確保する。データロギング機能を有する路面再生機は、添加率や温度履歴のトレーサビリティを提供し、品質保証に資する。

導入効果と留意点

路面再生機の導入は、資材費・運搬費・工期の削減に加え、交通影響や環境外部性の低減に波及効果をもたらす。一方で、寒冷・多湿条件や骨材の劣化が著しい場合は配合調整や前処理が不可欠であり、構造的損傷が全層に及ぶ場合はFDRや部分的な補強層増厚を検討する。適切な事前調査と試験施工が成功の鍵である。