覆工コンクリート台車
覆工コンクリート台車は、トンネルの最終覆工(ライニング)を打設するための移動式型枠・コンクリート打設装置である。NATMや在来工法のトンネルにおいて、円弧状の型枠(セグメント状のフォーム)を台車に搭載し、打設位置まで自走・牽引で移動し、型枠を立て込み、ポンプ圧送されたコンクリートを充填・締固めして所定の厚さの覆工を形成する。型枠の開閉、昇降・拡径、内面仕上げ、打設監視、養生の機能を一体化することで、断面精度・出来形の均一化と施工サイクルの短縮を図るのが特徴である。
用途と役割
覆工コンクリート台車は、掘削完了後のトンネル内で、支保工の内側に連続的な鉄筋コンクリート覆工を構築するために用いる。主たる役割は、(1)覆工形状を決定する内型枠の保持、(2)型枠面の剛性・精度確保、(3)ポンプ車からの配管受け・打設位置への配分、(4)バイブレータ等による締固め、(5)初期養生環境の確保である。断面ごとの打継ぎを管理しつつ、打設厚の均一化とコールドジョイントの抑制に寄与する。
構成要素
覆工コンクリート台車は、断面寸法や覆工厚に応じてユニット化されるが、概ね以下の要素で構成される。
- 内型枠ユニット:円弧パネル、縦肋・横桁、当て板。面外剛性と離型性を確保する。
- 開閉・拡径機構:油圧シリンダとリンクでセット・脱型を迅速化する。
- 走行台車:レール走行式またはゴムタイヤ式。狭隘空間での微速制御が可能である。
- 配管・ディストリビュータ:ヘッダ、スイングシュート、トレミー等で打設位置を切替える。
- 締固め装置:高周波インターナルバイブレータ、外部バイブレータ、表面仕上げビーム。
- 位置決め・計測:レーザーレベル、トータルステーション反射ターゲット、厚さゲージ。
- 作業足場・安全設備:手摺、落下防止、非常停止、照明、粉塵・換気対応。
施工手順
- 前準備:配筋・インサート類確認、打継ぎ処理、打設計画(配合・量・サイクル)確定。
- 台車据付:走行位置合わせ、レベル・オフセット調整、開口部・導水処理確認。
- 型枠セット:拡径・当てを行い内面線形を合わせ、締結・止水を完了。
- 打設:ポンプから配管し、要所に順次充填。バイブレータで密実化し、上昇面を制御。
- 仕上げ・初期養生:内面を金ごて・フィニッシャで均し、散水・保温等を実施。
- 脱型・移動:所定強度到達後に開放し、次ブロックへ移動。目地・打継ぎを処理。
配合と品質管理
覆工用コンクリートは、ポンプ圧送性と型枠内での安定性の両立が重要である。スランプは施工条件に応じて設定し、分離抵抗性・ブリーディングを抑制する。JIS A 5308に適合するレディーミクストコンクリートを基本とし、骨材最大寸法は配筋・被り・バイブレーション条件を考慮して選定する。温度管理、単位水量、空気量、塩化物含有量、初期強度の確認を行い、打設高が大きい場合はトレミーや段階打設でセグリゲーションを防ぐ。
ポンプ圧送と打設制御
覆工コンクリート台車は、配管抵抗と型枠内圧のバランス管理が要点である。内圧は型枠設計値以内に収め、上昇速度は締固め能力と連動させる。バルブ切替えやスイングシュートで充填位置をリズミカルに移動し、閉じ込め空気と打継ぎ面の浮き・空洞を抑える。圧送停止時は逆止弁や洗管で詰まりを予防する。
安全対策と法規
トンネル内は密閉・狭隘で可燃物・酸欠等のリスクがある。覆工コンクリート台車は非常停止・逆転防止・過負荷保護を備え、退避スペース、照度、換気風量を確保する。作業床の転落防止、重機接触防止、夜間の視認性、型枠内圧監視の手順を整備し、施工計画書・安全衛生計画に基づきKY・TBMを実施する。騒音・振動・残水は環境基準・現場協定に従い管理する。
選定の要点
- 断面規模・曲率:内径、覆工厚、曲率半径に適合する拡径量・パネル分割。
- 走行方式:レール/タイヤ、最小回転半径、段差通過性、微速性。
- 型枠表面:肌離れ、面精度、継ぎ目処理、離型剤適合性。
- 作業性:開閉時間、段取り替え、クリアランス、保守点検性。
- 計測連携:レーザー・トータルステーション連動、出来形の可視化。
- 安全:非常停止、感知センサ、非常用照明、避難動線。
- 付帯:ディストリビュータ能力、洗管手順、養生シート・加温設備。
台車式とセグメント(型枠)構成
台車フレームにセグメント型枠をボルト締結し、断面変更に応じて着脱する方式が一般的である。締結部にはボルトやクランプを用い、継目の段差・漏れを防止するための止水材・当て板を併用する。
トラブルと対策
- 豆板・ジャンカ:配合見直し、投入点の変更、バイブレーションの再設定、上昇速度抑制。
- 内面色むら:離型剤の塗布ムラ是正、気温・湿度に応じた養生統一。
- 配管閉塞:曲げ半径超過の是正、エルボ削減、洗管サイクル短縮、圧送圧の監視。
- 型枠漏れ:継目の止水・コーキング強化、内圧監視、仮締め順序の見直し。
- 出来形不良:基準治具の更新、レーザー基準の点検、台車据付のレベル再調整。
関連機械・周辺設備
覆工コンクリート台車の施工には、コンクリートポンプ車、アジテータ車、発電・照明・換気設備、測量機器、養生資材が連携する。配筋・インサート、型枠金物、目地材などの管理も品質を左右する。現場条件に適合した台車仕様と打設計画の整合が、覆工品質とサイクル短縮の鍵となる。
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