金属粉末
金属粉末とは、金属を微細な粒にした材料である。粉末冶金、射出成形、積層造形(AM)に用いられ、粒度分布、粒子形状、表面酸化、含有ガス、流動性が成形と焼結体の性能を左右する。製造法は特性とコストに直結するため、用途別に最適化する必要がある。
製造方法の概要
金属粉末の主な製法はアトマイズ、機械的粉砕、化学・電解・還元である。ガスアトマイズは不活性ガスで溶湯を微粒化し、球状で酸素の少ない粉が得られる。水アトマイズは角張った粒になりやすいが量産とコストに優れる。粉砕は脆い材料や複合粉に有効で、化学・電解・還元は高純度微粉に適する。
ガス/水アトマイズの比較
- ガス:球形度・流動性が高く、LPBFやEBMのAM用途に好適。
- 水:鋼・銅合金の一般部品向けに量産しやすいが、酸素管理が課題。
- 粉砕・メカニカルアロイング:複合化に向くが汚染と発熱を管理する。
粒子特性と評価
評価は粒度分布(D10/D50/D90)、球形度、比表面積、酸素・窒素・水素、不純物を確認する。取扱性はHall/Carney流動度、安息角、かさ・タップ密度で把握する。分級、乾燥、表面改質は流動性と酸化抑制に有効である。
粒度分布の設計
充填と緻密化の両立には粗粉と微粉のブレンドが有効である。微粉は隙間を埋めるが、比表面積増大で酸化や層ならし不良を招きやすい。用途に応じてD50とスパンを最適化する。
成形・焼結プロセス
圧粉成形では高圧で「グリーン密度」を確保し、潤滑剤や金型温調でスプリングバックを抑える。CIP、ホットプレス、HIPは高密度化に有効で、MIMはバインダ混練→射出→脱脂→焼結で管理する。AMでは層ならし、レーザ出力、走査速度、プリヒートが欠陥と微視組織を左右する。焼結は固相・液相・活性化に分類され、真空やAr等の雰囲気が寸法安定性を決める。
用途例
- 圧粉磁心、オイルレス軸受、摩擦材、ポーラスフィルタ
- WC-Co工具、Ni系電極材
- AM材:316L、Inconel 718、Ti-6Al-4V、AlSi10Mg
- 締結部品では座金やナットに用いられ、ボルトと組み合わせて標準化に寄与
安全・環境・保管
金属粉末は粉じん爆発、静電気着火、吸入ばく露に注意する。アルミやマグネシウム粉は可燃性が高く、不活性ガス、アース、発火源管理で対策する。微細粉では局所排気と保護具を用い、回収粉はふるい分け・酸素管理のうえ再利用する。保管は乾燥保管を基本とし、乾燥窒素でパージし追跡を徹底する。
規格と品質管理
JIS、ISO、ASTMは粉末特性と試験法、AM用フィードやMIM用フィードの要求事項を定める。品質管理では受入検査、工程監視、焼結体の密度・機械特性、非破壊検査を組み合わせ、原料から最終製品までのトレーサビリティを確保する。
経済性と調達
コストは原料金属、アトマイズ・分級の歩留まり、焼結・熱処理、検査で決まる。用途に対し過剰品質を避け、必要特性を満たす最小仕様を設計する。AMでは再利用回数やふるい目、酸化管理が材料費に直結する。設計・材料・プロセスを同時最適化し、DFAMの観点から一体化・省工程を図ることが、金属粉末活用の競争力を高める。