酸素|呼吸と燃焼に不可欠な元素

酸素(O)

酸素(O)は原子番号8の非金属元素で、周期表第2周期・16族に属する。常温常圧では二原子分子O2として存在し、地球大気の約21%を占める。無色・無臭の気体だが、液体は淡青色で常磁性を示す。燃焼や腐食などの酸化反応を駆動し、生体・地球循環の要である。同素体オゾンO3は成層圏で紫外線を吸収する。一方で高濃度は可燃物の発火リスクを高めるため、厳格な取扱いが必要である。

基礎データと電子配置

原子量は約15.999、電子配置は1s2 2s2 2p4で不対電子を2個もつ。電気陰性度は3.44(Pauling)と高く、多くの元素と酸化物をつくる。単体の標準状態はO2、標準沸点−182.96℃、標準融点−218.79℃である。

発見の歴史

酸素の正体が科学的に解明されたのは18世紀後半のことであり、ジョセフ・プリーストリーやカール・シェーレ、アントワーヌ・ラヴォアジエなど複数の化学者が貢献している。プリーストリーとシェーレはほぼ同時期に酸素を発生させたが、ラヴォアジエが燃焼理論の観点から名称と性質を体系化したことで、その重要性が広く理解されるようになった。燃焼に不可欠な「活火気」として注目され、従来のフロギストン説を覆すきっかけとなった点は、化学史における画期的な出来事として知られている。

物理的性質

O2は直線分子で、基底状態が三重項のため常磁性を示す。水への溶解度は大きくないが低温で増加し、水処理や生物反応では溶存酸素(DO)が重要指標となる。液体酸素(LOX)は極低温と酸化性の両リスクをもち、貯蔵・輸送では断熱と清浄管理が要点である。

化学的性質と酸化

典型的酸化数は−2で、金属酸化物、非金属酸化物、過酸化物(O22−)など多彩な化合物を形成する。燃焼は可燃物がO2と反応する急速発熱反応で、「燃焼の三要素」の一つとして酸素が関与する。生体ではミトコンドリアがO2を最終電子受容体として用い、水を生成しつつATP合成を駆動する。

同位体

酸素には3種類の安定同位体が存在し、質量数16、17、18が知られている。なかでも質量数16のものが最も多く、地球上の酸素の約99.76%を占めている。これら同位体比の違いは気候変動の研究などに応用され、氷床コアやサンゴの化石分析を通じて過去の大気組成や気温を推定する際の指標となっている。考古学や地球科学の分野では同位体比測定技術が発展し、古環境の復元や水循環の解明など多彩な研究が進展している。