裏面研磨
裏面研磨とは、ウェハの背面(デバイスが形成されていない面)を機械的あるいは化学機械的に研磨し、ウェハ全体の厚みを薄くするプロセスである。微細化が進む半導体分野では、パッケージの薄型化や放熱特性の向上、高密度実装などを実現するために非常に重要視されている。本稿では裏面研磨の目的や手法、歴史、応用事例、課題などを整理し、その意義を明らかにする
概要
半導体製造工程ではウェハ表面に回路素子が形成されるが、高集積化とともに高度なパッケージ技術が必要になる。その一例として、薄型化されたウェハやダイを基板上に実装する3次元実装(3D-IC)が挙げられる。このような構造を実現するためには、ウェハの裏面を目標厚さまで研磨する工程が欠かせない。裏面研磨は、基本的にダミーウェハや特殊な接着剤を用いてデバイス表面を保護しながら行い、高精度な研磨装置によって短時間で大量のウェハを処理することが可能である。これにより、歩留まりを維持しつつデバイスの薄型化が実現されるのである
ものすごく高いウェハを裏面研磨に出してたら、クラックが入って帰ってきた。
— Dainamaito Shikoku (@shikkok) March 13, 2012
目的
裏面研磨の主な目的は、大きく分けて3つある。まず、パッケージ厚みの削減によって、モバイル機器やウェアラブル端末などの携帯性を高める点が挙げられる。次に、熱伝導性を向上させることにより、デバイス内部で発生する熱を効率的に放出できるメリットがある。最後に、ウェハの背面に配線や貫通電極(TSV)を設ける場合、所定の厚さまで薄化することで、電気的および実装上の整合性を得やすくなる。このように、基板の物理的特性の調整とデバイス構造の最適化の両面で、薄化技術が広く活用されている
手法
裏面研磨の手法として、メカニカル研磨とCMP(Chemical Mechanical Polishing)を組み合わせる方法が一般的である。まず、メカニカル研磨により大まかに厚みを減らし、その後CMP工程を施して表面の平坦度や粗さを整える。メカニカル研磨では砥石や研磨パッドを用い、ウェハを高速回転させながら不要なシリコンを削り取る。CMPではスラリーと呼ばれる化学薬品と研磨粒子を併用し、ウェハ表面の微細な凹凸を均一にする。これらの工程を制御することで、数マイクロメートル単位の厚さ調整が可能となり、高度な薄型化を実現できる
産総研:SiCウェハ鏡面研磨速度を12倍に:パワー半導体用(動画): AIST:SiC wafer mirror polishing speed increased by 12 times: AIST:SiC晶圆镜面抛光速度提高12倍:用于功率半导体 pic.twitter.com/qBgpnzZvNt
— Tokio X'press (@tokiox_ja) September 8, 2021
歴史
裏面研磨の技術は、IC産業が高密度化する過程で徐々に重要度を増してきた。1970~1980年代にはディスクリート部品や単純なICであっても、厚さ方向の制限はあまり重視されなかった。しかし、1990年代に入って携帯電話やノートPC、デジタルカメラといったモバイルデバイスの市場が拡大すると、デバイスの小型軽量化ニーズが急増した。これに合わせてウェハの薄化が注目され、裏面研磨プロセスの機械装置や研磨レシピの開発が本格化した。2000年代以降は3次元実装技術が台頭し、TSVを通じた多層集積が進んだことで、裏面研磨技術の正確さや歩留まり改善にいっそう力が注がれている
SiC IGBTに使われるようなウェハはSORIが大きかったりエッジクラウンが大きかったりするので普通に裏面研磨ができない。プラズマでウェハの薄化やベベル加工ができる技術が早く出てきてほしい。
— Dainamaito Shikoku (@shikkok) May 8, 2012
応用事例
多層化されたメモリチップや高性能CPUでは、裏面研磨後に貫通電極を形成して各層の接続を実現する3D-IC技術が利用されている。また、イメージセンサーでは裏面照射型構造を作るため、裏面研磨によって光がより効率的に撮像素子へ届くように設計されるケースも多い。このほか、半導体レーザーやパワーデバイスでも、ウェハを薄化することで放熱特性を強化し、動作の安定性を高める応用が見られる。こうした応用によって、ハイエンド機器からモバイル端末まで多種多様な分野で、高機能かつ省スペースな電子製品の開発が推進されている
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