RCA洗浄
RCA洗浄は、半導体ウェーハ表面から有機物や金属不純物、微細パーティクルなどを効率的に除去するための標準的なクリーニングプロセスである。一般にSC-1工程とSC-2工程の二段階に分けて行われ、強アルカリと強酸を適切に組み合わせることで高い洗浄力を得ることが可能となっている。微細化が進む半導体プロセスにおいては洗浄の信頼性向上が重要であり、多くのデバイスメーカーが強固な品質管理体制のもとでRCA洗浄を実施している。
洗浄の背景
半導体製造工程ではフォトリソグラフィやエッチング、拡散など多数のステップを経るため、その過程でウェーハ表面にはレジスト残渣や金属イオンなどさまざまな汚染物質が蓄積しやすい。特に微細パターンを形成する工程では、わずかな汚染が歩留まりに大きく影響する。そこで強力な洗浄力を持ちつつ表面損傷を最小化する方法としてRCA洗浄が確立された背景がある。
前処理とパーティクル除去
洗浄の初期ステップとして、超純水でのプレリンスや化学薬品の浸漬によって大まかな汚染物質を除去し、ウェーハ表面を均一な状態に近づけることが行われる。これによって、続くRCA洗浄工程の効果を最大化できる。微小なパーティクルは静電気力や吸着力によって表面に固着しやすいため、初期段階の除去が重要である。
SC-1プロセス
アルカリ性薬品(アンモニア)と過酸化水素、超純水を配合した溶液であるSC-1は、有機物と微粒子の除去に効果を発揮する。ウェーハを短時間この溶液に浸漬すると、過酸化水素の酸化作用で表面の有機物が分解されるとともに、アルカリ条件による分散効果でパーティクルが剥がれやすくなる。ただし浸漬時間が過度に長いと表面に微細な酸化膜が生成しすぎる場合があり、工程管理がカギとなっている。
SC-2プロセス
SC-1で表面を一旦きれいにした後は、塩酸と過酸化水素、超純水を用いたSC-2溶液に浸漬する。このステップでは金属イオンなどの無機不純物を除去し、表面に再付着するリスクを抑える。塩酸が主にメタル不純物を溶解除去し、過酸化水素による酸化効果でウェーハ表面をクリーンに保つ。SC-1とSC-2を組み合わせることで、多種多様な汚染を包括的にクリーニングするのがRCA洗浄の強みである。
毒性と安全対策
アンモニアや塩酸など強アルカリ・強酸の薬品を扱うため、作業者の安全を確保するには適切な防護具と排気設備が不可欠である。強力な酸化作用を持つ過酸化水素も取り扱いを誤ると爆発や火傷につながる可能性がある。工場では密閉された薬液供給システムや自動制御装置が導入されており、プロセス中の薬液漏れ防止や有害ガスの管理など、安全対策と品質維持を両立させる仕組みが整備されている。
洗浄装置の自動化と高スループット
近年の半導体ラインでは、複雑化したプロセスを高スループットかつ安定して運用するために、自動化されたウェーハ洗浄装置が多数導入されている。薬液の濃度や温度、洗浄時間を統合的に制御することで、工程間でのばらつきを極力抑制している。複数枚のウェーハを同時に処理するバッチ式装置のほか、1枚ずつ短時間で洗浄するシングルウェーハ洗浄装置もあり、ニーズに応じて使い分けられている。
超純水との関係
強力な化学洗浄の後に行われる超純水リンスは、微量の不純物さえも許容しないレベルに達している。純度が不十分な水を用いると、ウェーハ表面に二次汚染が発生して洗浄効果が低下するため、半導体製造ラインでは極めて厳格な純度管理が行われる。大容量の超純水プラントを整備して安定供給することで、RCA洗浄による高いクリーン度がさらに保たれる仕組みが実現している。