ローラチェーン|伝動を伝える機械要素

ローラチェーン

ローラチェーンは伝動を伝える機械要素である。回転機能を持つローラ、ブッシュからなるローラリンク、ピンとブッシュからなるピンリンクを交互に連結して作成される。同じ役割を担うベルトと違い、すべりがなく運動やを確実に伝えることができる。

ローラチェーンの特徴

  • 滑りがなく、運動やを確実に伝えることができる。
  • 比較的長い軸間距離にも使用できる。
  • 初張力を必要としなくベルトに比べて軸受部の負担が軽くなる。

ローラチェーン

ローラチェーンは、外リンクと内リンクを交互に組み合わせて連結して構成されている。外リンクは2枚の外プレートと2本のピンを圧入して結合し、内リンクは2枚の外プレートと2個のブッシュをピンと同様に圧入して結合した構造をしている。

  • プレート:チェーンの荷重を受け止める役割
  • ブシュ:ブシュは軸受の役割を担う。
  • ローラ:ローラは圧縮荷重と摩擦力を受けつつ、チェーンがスプロケットに噛み込むとき、波面を移動するため、衝撃荷重を受ける。
  • ピン:ピンはプレートと同じようにチェーンの荷重を受け止める役割をになう。

スプロケット

スプロケットは、ローラーチェーンのピッチに合わせた間隔で円弧形の歯底を持つ歯車である。ローラがおさまるスプロケットの歯底は、ローラより大きい半径の円弧になっている。歯形はチェーンがスプロケットとかみあうとき、ローラが干渉しない仕組みとなっている。スプロケットは、鋼製または鋳鉄製が多い。歯数が少なすぎると滑らかな回転が得られないので、歯数は17~70程度とする。低速で軽荷重の場合には、10程度まで使用できる。

ローラチェーン

チェーンテンショナ

チェーンテンショナとは、ローラチェーンが長いときの張りを調整する部品で、ゆるみ側にいれることで確実なかみ合いを確保することができる。内燃機関のタイミングチェーンや自転車のローラチェーンに使われる。偏心式のチェーンテンショナでは、棒を入れて、アイドラーを偏心させ、チェーンを張り、正確な動作を保つことができる。

チェーンの使い方

チェーンは下記のように使う。

ローラチェーンをかける角度

ローラチェーンを水平になるように位置決めする。斜めにする必要があるときは、60° 以下に抑える。垂直にするときは、チェーンの伸びに従い、下側のスプロケットとのかみあいが悪くなるため、シューやアイドラをつけて緩みを取り除く。

上側を張り、下側を緩ませてかける

ローラチェーンをかけるとき、上側を張り、下側を緩ませてかける。逆にした場合、上のチェーンがたるんでスプロケットから離れにくくなり、上下のチェーンが接触することになる。

潤滑

ローラチェーンは潤滑作用が必要なため、滴下潤滑(低速の場合)あるいは油浴潤滑・潤滑ポンプ(ローラチェーンによる潤滑作用)が必要である。ちりやほこりへの対策、また危険防止のため全体をカバーでおおう。

ローラチェーンの長さの寸法

ローラチェーンの長さは、2つのスプロケットの歯数と軸間距離から所有リンク数を計算する。リンク数は偶数になるように調整し、ジョイントリンクで両端を連結する。奇数になる場合は歯数と軸間距離を調整しなければならないが、難しければオフセットリンクを使う。偶数のチェーンリンクに対して、スプロケット歯数は奇数になり、回転中の方当たりを防ぐ。なお、ローラチェーンは振動やブッシュ摩耗により全長の伸びが大きくなるため、軸間距離が長すぎると問題となるためリンク長さ50~60倍を目安とする。あまりにも長くなる場合は、チェーンガイドやテンショナをゆるみ側に入れてチェーンが伸びても確実なかみ合いを行う。

ピッチpとリンク数Lpとの関係

チェーンの長さ

リンクの総数

リンクの総数は原則、偶数とし、チェーンの両端の結合に継手リンクを用いる。奇数になるときは、オフセットリンクを用いるが、疲労強度の低下につながる。大きな動力を伝える場合には、ローラチェーンを平行に複数並べた多列ローラチェーンを用いる。

オフセットリンク

オフセットリンクとは、ローラチェーンが奇数になった場合によういる部品で、オフセットして継手リンクにつなぐことができる。

設計動力

使用機械と電動機の組み合わせによって、使用係数f₁を決定する。使用係数f₁が決まれば、伝達動力Pから設計動力Pcを求めることができる。

平均速度

ローラチェーンの平均速度[m/s]は次式から求める。

チェーンの平均速度

チェーンの適用範囲

リンクの種類 軸距離 m 速度比 リンク速度 m/s
ローラチェーン 4以下 1:1~5 (8以下) ~7 (7以下)
サイレントチェーン 4以下 1:1~6 (8以下) 3~10 (10以下)

張力F

張力F[N]は次式から求められる。

チェーンの引張力

ローラチェーンの引張強さ

一般にローラチェーンの引張強さは、チェーンの常用荷重(張側のF)の7倍以上をとるので、JIS B 1801で規定されている数値の7倍に耐えうるチェーンを選定する。下記表はその一例である(単位㎜)。またローラチェーンを並べた多列ローラチェーンを用いると強い荷重を耐えることができる。なお、呼び番号の最後の桁について、ローラがあるものを0、ないものが5で表される。その前の1桁または2桁の数字はピッチを表し、3.175㎜(1/8インチ)の何倍かで表される。

呼び番号 ピッチ
p
ローラ外径
(最大)
d₁
内リンク内幅
(最小)
b₁
内プレート高さ
(最大)
h₂
最小引張強さ
kN
25 6.35 3.30 3.10 6.02 3.5
35 9.525 5.08 4.68 9.05 7.9
40 12.70 7.92 7.85 12.07 13.9
50 15.875 10.16 9.40 15.09 21.8
60 79.05 11.91 12.57 18.10 31.3
80 25.40 15.88 15.75 24.13 55.6
100 31.75 19.05 18.90 30.17 87.0

回転比

回転比rと小スプロケットの歯数Z₁、大スプロケットの歯数Z₂の関係は下記で表される。一般に回転比は8程度とすることが多い。

チェーンの回転比

スプロケットの選定

スプロケットの直径に応じて歯幅や面取り幅、面取り深さ、丸みなどが定められている。

スプロケットの選定例

チェーン 08A 1列ローラチェーン
原動スプロケット ピッチ円直径 190㎜
従動スプロケット ピッチ円直径 380㎜
リンクの数 168個
中心間距離 612㎜

スプロケットのピッチ円直径、外径

スプロケットのピッチ円直径、外径は次で求められる。

スプロケットの寸法

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