3D CAD|3次元でモデリングを行うCAD

3DCAD

3DCADは、製品や設備の形状を三次元で表現し、設計・解析・製造を統合するための基盤ツールである。スケッチと拘束条件からソリッド形状を生成するパラメトリック方式、面を直接編集するダイレクト方式、両者を併用するハイブリッド方式が実務で広く使われる。ヒストリーツリーとフィーチャ駆動のモデルは再利用性と変更容易性に優れ、アセンブリでの干渉検出、図面自動生成、BOM作成、MBD(Model-Based Definition)によるPMI付与まで一貫して扱える点が3DCADの強みである。

基本概念とモデリング手法

3DCADの幾何表現は主にソリッド、サーフェス、メッシュに分類される。パラメトリックモデリングでは寸法・幾何拘束で設計意図を明示し、設計変更に強い。ダイレクトモデリングは面やエッジを直観的に押し出し・移動して素早く形状を調整できる。実務では、スケッチ→フィーチャ(押し出し・回転・スイープ・ロフト)→アセンブリという流れでモデルを組み上げ、コンフィギュレーションで派生形を管理するのが標準的である。

データ形式と互換性

3DCADはネイティブ形式のほか、STEP、IGES、Parasolid、ACIS、JTなどの中立・幾何カーネル系フォーマットを扱う。積層造形や検査用途ではSTL、3MF、OBJも多用される。データ交換では単位、トリム精度、トポロジの健全性、図面のPMI引継ぎに注意する。企業ではPDM/PLMで版数管理・アクセス権・ワークフローを統制し、長期保管のためにSTEP AP242などの中立形でアーカイブする。

設計プロセスへの統合

3DCADは要求定義から詳細設計まで連続的に適用できる。アセンブリ拘束による機構レイアウト、クリアランス・干渉チェック、重心・慣性評価、図面自動生成、BOM連携を通して変更影響を最小化する。MBDでは寸法・幾何公差(GD&T)や表面性状を3D空間に付与し、下流の検査・製造工程へ意味情報として伝達可能になる。

解析と最適化

3DCADはCAEと密に連携する。形状パラメータを露出して感度解析や最適化を行い、FEMによる強度・座屈・疲労、伝熱、固有値、流体の基礎評価を反復する。トポロジー最適化やジェネレーティブデザインは設計空間・荷重・拘束から高性能な形状案を自動生成し、板金や鋳造などの製造制約を加味して現実解へ収束させる。検討結果は3DCADモデルへ還元して設計意図を保持する。

CAMと製造連携

3DCADモデルはCAMでNCツールパスへ変換され、3軸〜5軸加工、旋削・ミル複合、検査プローブまで一体で扱われる。工具・姿勢・干渉のシミュレーションで段取りを最適化し、DFM/DFMA観点で肉盗み、応力集中、抜き勾配、板金曲げRなどの製造性を早期に担保する。積層造形ではSTL/3MFの品質、サポート設計、ヒッチングと後加工を含めた工程設計が重要である。

規格・公差と図面出力

3DCADはJISやISOに準拠した寸法・幾何公差、表面粗さ記号、はめあい、公差解析を支援する。MBDのPMIを活用すれば、2D図面に依存しない定義が可能になるが、社内外の合意形成や現場の可読性を踏まえ、必要な図面は適切に生成する。視点、断面、詳細、部品表などのテンプレート化により図面品質を均質化できる。

マルチドメイン設計

3DCADは機械に加え、配管・配索、筐体、板金、鋳造、樹脂、溶接構造までカバーする。配管ではライブラリ化したフランジ・バルブ・継手でアイソメ図を生成し、ケーブリングではハーネス長・固定具・曲率を検討する。板金では展開・曲げ補正・小穴間隔などのルールをテンプレ化し、組立環境では治具・公差累積・作業手順の検討が行える。

データ管理とバージョン管理

3DCADの資産価値はPDM/PLMで最大化される。部品番号規則、命名規約、メタデータ、承認フロー、リビジョン分岐、派生製品の構成管理を定義する。外部参照(部品・サブアセンブリ・図面・解析条件)を安易に循環参照させない設計ルールが重要であり、大規模アセンブリでは軽量表示や簡略化モデルでパフォーマンスを維持する。

品質保証とトレーサビリティ

3DCADは検査工程とも接続する。CMMの測定計画にPMIを流用し、点群との偏差解析で形状品質を可視化する。リバースエンジニアリングではスキャンデータからNURBS面を再構築し、意匠面と機能面を使い分ける。設計変更履歴と検査結果、使用条件をひも付けることでデジタルスレッド/デジタルツインを形成し、保全や改良設計へ知見を循環させる。

実務上の注意点

テンプレート(単位、材料、表面粗さ、図面枠)と命名規約を整備し、パラメータ名と意図をモデル内に記録する。外部参照は上位から下位へ一方向に限定し、更新範囲を制御する。簡略化・抑制・レベルオブディテールで描画負荷を下げ、共有は中立形で行う。教育では、スケッチ拘束・基準面設計・設計レビューのチェックリスト化が3DCADの品質を安定させる。

用語の整理

フィーチャ、スケッチ、拘束、ヒストリーツリー、アセンブリ、コンフィギュレーション、PMI、MBD、BOM、PDM/PLMなどは3DCAD運用の基本語である。用語の定義をチームで統一し、指示語や俗称を避けることでコミュニケーションコストを下げられる。

  • ソリッド/サーフェス/メッシュ
  • パラメトリック/ダイレクト
  • GD&T(幾何公差)/PMI

よくある誤解

3DCADはCAE/CAMと同義ではない。STLは三角メッシュでありパラメトリック編集に適さない。ダイレクト編集は履歴を破壊するとは限らず、意図的な適用で生産性を上げられる。MBDは図面廃止を目的とせず、必要最小限の図面と役割分担することで効果が出る。

  • 「中立形出力=品質保証」ではない(検証が必要)
  • 「全面MBD=正解」ではない(運用設計が要諦)

代表的なソフトウェア例

代表例としてSolidWorks、Inventor、CATIA、NX、Creo、Fusion 360、Onshape、Solid Edge、FreeCADなどがある。導入時は用途、業界の慣行、既存データの互換、ライセンスとサブスクリプション、PDM/PLM連携、教育・サポート体制を評価し、自社の開発プロセスに合致するかを検討する。これらも3DCADの運用設計と標準化が成功の鍵である。