2色射出成形機|二材同時成形で意匠と機能を両立

2色射出成形機

2色射出成形機は、2つの射出ユニットと専用金型を用いて、1つの部品内に異なる樹脂や色を一体成形する設備である。一次射出で基材(1st shot)を成形し、金型の回転・スライド等の位置決め後、二次射出(2nd shot)で別樹脂を重ねるか、同時・サンドイッチ方式で複層を形成する。組立の省略、シール一体化、グリップ性や意匠性の向上、機能部材の局所付与(例えば柔軟エラストマーのオーバーモールド)など、製品価値と生産性を同時に高めることができる。

構造と動作原理

2色射出成形機は、2本のシリンダ・バレルとノズル、選択式スプルー、回転・インデックス機構付き金型、型締ユニットから構成される。サイクルは①1st充填・保圧、②型開・回転(またはスライド)で空キャビティと置換、③2nd充填・保圧、④冷却・離型の順である。同時成形では両ユニットが協調し、流動前線の干渉を抑えるためにゲート位置と切替(V/P)タイミングを精密に同期させる。

金型構成と回転機構

代表的には回転テーブルまたはインデックスプレートでキャビティを反転し、1つの金型内で1st成形品を2nd側キャビティへ移送する。シャットオフ形状やリップ角度で界面バリを防ぎ、必要に応じてバルブゲートやチェックリングで逆流を抑制する。冷却回路は2材の収縮差を見込み、偏肉部の温度勾配を均す。

成形方式のバリエーション

  • 逐次射出(シーケンシャル):1st後に2ndを重ねる一般的方式。
  • 同時射出(コインジェクション):芯材と表層を同時に流し二層化。
  • サンドイッチ:中心層と表層を異材で構成し意匠と機能を両立。
  • オーバーモールド:硬質基材にTPE等を局所被覆しグリップ性やシール性を付与。

対応樹脂と界面接着

ABS/PCとTPE、PPとTPV、PAとTPEなど相溶・接着性の高い組合せが実務で多い。界面は温度・圧力・時間の3要素で形成され、1st表面温度を十分に高く維持し、2nd到達時の溶融接触を確保することが重要である。必要に応じてプライマーレス設計、表面粗化やプラズマ前処理を適用する。

プロセス条件と品質管理

シリンダ温度プロファイル、背圧、スクリュー回転数、射出速度、V/P切替位置、保圧・保圧時間、型温は2材それぞれで最適化する。顔料濃度や分散は色ムラの主要因であり、マスターバッチの計量安定化とパージ手順の標準化が肝要である。オンラインでショット毎の射出体積、圧力波形、型内センサ値を監視し、統計的工程管理(SPC)で傾向を把握する。

寸法精度と色むら対策

  • ゲートバランスとランナー抵抗を揃え、2nd充填の重なり領域を安定化。
  • ベントとパーティングの気密性を調整し、焼け・ウェルドを回避。
  • 滞留対策としてスクリュー先端・ホットランナーのデッドスペース最小化。
  • 色替え時は規定量のパージ樹脂を流し、黒点・ストリークを除去。

利点と適用例

2色射出成形機は、歯ブラシハンドル、家電つまみ、車載スイッチや加飾部品、医療機器のシール、家電筐体の意匠ライン、光学ガイドの多層化などで実績がある。複合化により部品点数とボルト締結を削減し、在庫・物流・不良リスクを同時に低減できる。

設計指針(DFM)

  • 1stと2ndのゲート位置は界面応力と外観を最優先に決定。
  • シャットオフ角度を充分に設け、合わせ面のバリを抑える。
  • TPEの推奨肉厚は一般に0.6〜2.5 mm程度、局所圧縮でシール性を確保。
  • アンダーカットや抜き勾配は回転・移送動作を妨げないよう配慮。
  • 再生材は1st側の内部層に限定するなど、品質階層化を行う。

ランナーレス化とホットランナー

ホットランナー+バルブゲートを用いればスクラップをほぼゼロ化でき、色境界の鮮明化やシール性向上にも寄与する。バルブ開閉の時相ずれはフローマークの原因となるため、開弁同期とシールピン漏れ対策を徹底する。

設備選定と能力計算

型締力は2材の合計投影面積×キャビティ内圧で算出し、余裕をみる。ショットサイズは樹脂量の60〜80%運用を基本とし、比重差も加味する。スクリューは分散・混練性に優れたミキシングタイプを選定し、色替え頻度が高い場合は滞留の少ないヘッド構造とする。材料乾燥機、除湿ホッパ、型温調機の能力は2材の厳しい方に合わせる。

周辺機器と自動化

取出ロボットと搬送、インライン外観検査、重量・寸法測定、レーザーマーキングをセル化し、金型回転のタクトに同期させる。安全はライトカーテンと扉インターロック、型回転中の干渉監視で担保する。

保守・トラブルシューティング

  • 界面はがれ/デラミ:1st表面温度不足、2nd圧力不足、素材相性の再検討。
  • 色境界のにじみ:バルブリーク、シャットオフ形状不良、保圧過大。
  • 二次ショート:2ndゲート抵抗過大、V/P早すぎ、ベント不足。
  • 黒点・ストリーク:滞留、パージ不足、顔料の熱履歴管理不良。

安全・環境配慮

2色射出成形機は複材製品ゆえにリサイクル時の分別が課題となる。設計段階で材料相性を揃える、材質表示を明確化する、回収フローを定義するなど循環設計を実装する。また顔料・添加剤の安全データを確認し、揮発成分や粉体の取り扱いを適正化する。