露点計|湿度・温度から高精度露点測定技術

露点計

露点計は、気体中に含まれる水蒸気量を「露点温度」で評価する計測器である。露点温度は気体を冷却したときに水蒸気が飽和し、凝結が始まる温度を指し、湿度や水分管理の基礎指標として用いられる。相対湿度(RH)や水分濃度(ppmv、mg/m³)との相互換算が可能で、乾燥工程や圧縮空気、各種プロセスガスの品質管理に不可欠である。代表的な方式は鏡面冷却式(チルドミラー)、高分子静電容量式、酸化アルミニウム式などで、計測レンジ、応答性、設置環境に応じて選定する。

原理と露点の定義

露点は、一定圧力下で気体を冷却していき、飽和水蒸気圧に達して凝結が生じる転移点の温度である。露点計はこの現象を直接(凝結の観察)あるいは間接(水分量に比例する電気量の検出)でとらえ、温度指標に換算する。露点から相対湿度や絶対湿度へは、温度・圧力と蒸気圧の関係式(例えば拡張アンティワン式やマグヌス式)を用いて換算する。

主なセンサ方式

露点計の方式は応用ごとに長所が異なる。以下に代表的な方式を示す。

鏡面冷却式(チルドミラー)

鏡面を冷却し、凝結の生成・消失を光学的に検出して露点を直接指示する基準器的方式である。高精度(±0.1〜0.2℃dp級)かつ長期安定だが、機構が複雑で清浄なガス試料や定期的な鏡面クリーニングを要する。校正標準として採用され、他方式のトレーサビリティ確保に用いられる。

高分子静電容量式

高分子膜に吸脱着する水分で静電容量が変化し、その変化量から露点相当湿度を算出する。小型・低消費電力・応答性に優れ、湿度計としても広く普及する。低露点域ではドリフトやヒステリシスに注意が必要で、定期的な校正が望ましい。

酸化アルミニウム式

多孔質Al₂O₃膜の誘電特性変化を検出する方式で、−100℃dp級の低露点まで対応できる。乾燥空気や窒素、天然ガスなどのプロセス用途で多用される。圧力依存性や汚染の影響を受けやすいため、前処理とフィルタ保守が重要である。

その他の方式

抵抗式、熱伝導式、QCM(石英振動子)などがある。目的レンジ、ガス種、設置制約に応じて方式を使い分ける。

指標・単位と換算

  • 露点温度:℃dp(dew point)。基準温度での相対湿度連携が容易。
  • 体積濃度:ppmv。燃料ガスやドライルーム管理で有効。
  • 質量濃度:mg/m³。温度・圧力の補正が必要。
  • 相対湿度:%RH。一般空調や放射温度評価と併用される。

換算では温度・圧力の同時補正が要点である。等圧・等温の仮定を誤ると大きな誤差を招くため、プロセス条件を計測点で取得する。

校正とトレーサビリティ

鏡面冷却式を基準として、塩類飽和溶液や湿度発生器による校正を行う。計測レンジごとに複数点校正を施し、直線性・ヒステリシス・繰返し性を評価する。作業現場ではトランスファ標準器を用いて高分子式・酸化アルミ式を巡回校正し、校正周期は使用環境に合わせて設定する。

応用分野

  • 圧縮空気・ドライエア:工具寿命や品質に直結、低露点監視が必須。
  • プロセスガス:石化・半導体での水分混入監視。前処理でフィルターを併用。
  • 乾燥工程:塗装、樹脂乾燥、リチウム電池ドライルームなど。
  • HVAC:ビル空調で相対湿度計と併用し結露リスクを低減。
  • 計測器の相互比較:熱流計位相計など他計測と組み合わせ、環境影響を補正。

設置・配管とサンプリング

代表性の高いサンプルを確保するため、等速吸引やデッドボリューム低減、拡散遅れの回避が重要である。配管はステンレスを基本とし、吸着・放出の少ない材料を選ぶ。低露点域ではパージと十分なフラッシング時間を確保し、圧力校正済みの流量計で一定流量を維持する。

測定不確かさと誤差要因

  • 温度・圧力の未補正:換算誤差を増大させる。
  • 汚染・油分・粒子:鏡面汚れやセンサドリフトの原因。
  • 応答遅れ:配管長・吸着による時定数の増大。
  • 交差感度:溶剤蒸気などによる誘電特性変化。

測定不確かさは、機差・再現性・環境変動・補正不確かさを合成して見積もる。記録には不確かさと信頼水準を付す。

選定のポイント

  • レンジ:必要露点(例:−80〜+20℃dp)と分解能。
  • 環境:温度、圧力、ガス種、汚染の有無。
  • 応答性:工程制御に必要な時定数。
  • 保守性:鏡面の清掃容易性、プローブ交換、フィルタ入手性。
  • 校正:現場校正の可否、標準器との整合。
  • 関連計測:熱電対温度計白金測温抵抗体温度計内部抵抗計などと併用する場合のI/Oや記録方式。

安全・規格・設計上の留意

可燃性ガスや高圧系では防爆構造や耐圧防爆の適合を確認する。品質管理の観点ではJISやISOに準拠した校正体系、記録、トレーサビリティの整備が欠かせない。計測システム全体としては、記録計・データロガー・電力品質アナライザ等の周辺計測と同期を取り、プロセス変動との相関を把握することが望ましい。最後に、現場導入時は設置前の試験運転、ゼロ点確認、リークチェックを徹底し、長期安定性を担保する。