行為能力
行為能力とは、法律行為を独立して有効に行うことができる能力のことである。法律行為とは、契約の締結や財産の処分などの意思表示を伴う行為を指し、行為能力を持つことで、その行為が法的に有効と認められる。行為能力は個人が社会生活を送る上で重要な能力であり、これが認められるかどうかによって、その人が契約や法的な責任をどの程度負うことができるかが決まる。行為能力が制限される者には、未成年者や成年被後見人が含まれる。
行為能力と制限行為能力者
行為能力には制限が設けられることがあり、そのような人々を「制限行為能力者」と呼ぶ。制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人が含まれる。これらの者は、法律行為を独立して行う能力が完全には認められておらず、保護者や法定代理人の同意が必要である場合が多い。これにより、制限行為能力者が不利な契約を結んでしまうリスクを減らし、保護することが目的とされている。
行為能力と未成年者
未成年者は法律上、完全な行為能力を有していないため、契約などの法律行為を行うには原則として親権者の同意が必要である。しかし、日常生活に必要な買い物やアルバイト契約など、一定の範囲内であれば未成年者であっても自らの判断で法律行為を行うことが認められている。また、20歳に達すると成年に達したとみなされ、行為能力が完全に認められる。
成年被後見人と行為能力
成年被後見人とは、精神上の障害などにより、判断能力が著しく欠けているために独立して法律行為を行うことが困難であると家庭裁判所に認定された人を指す。成年被後見人が行う法律行為は、原則として無効とされており、その保護のために後見人が法的な代理を行うことになる。これにより、成年被後見人が不利益を被ることなく、安全に生活を送ることができるよう保護される。
被保佐人と被補助人
被保佐人は、判断能力が不十分であるものの、後見人が必要とされるほどではない場合に、家庭裁判所によって保佐が付された人を指す。被保佐人は一定の重要な法律行為を行う際には、保佐人の同意を得る必要がある。一方、被補助人は、判断能力が減退しているものの、日常的には自立して生活できる場合に、家庭裁判所によって補助が付された人を指す。補助人は、被補助人が必要な支援を受けながら法律行為を行えるようサポートする。
行為能力の制限とその解除
行為能力が制限されている人であっても、特定の条件が満たされるとその制限が解除されることがある。例えば、未成年者が結婚した場合、民法によりその者は「成年」とみなされ、完全な行為能力を持つことが認められる。また、成年被後見人についても、判断能力の回復が見込まれる場合には、家庭裁判所に申し立てることで後見が解除され、行為能力が回復することがある。
行為能力と法的保護
行為能力が制限されている者には、特別な法的保護が与えられる。これは、制限行為能力者が自らの不利益となるような契約を結んでしまった場合、その契約を取り消す権利があるというものである。この取り消し権により、未成年者や成年被後見人などが不利益を被ることなく、社会生活を送ることができるように保護されている。また、取り消しが認められた場合、契約は最初から無効であったものと扱われる。
行為能力と成年年齢の引き下げ
日本では、2022年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。これにより、18歳以上の者は成年として完全な行為能力を持つことが認められ、親の同意なしに契約を結ぶことができるようになった。ただし、飲酒や喫煙に関する制限は20歳以上のままであり、また、金融商品取引や一部の重要な契約については、引き続き注意が必要とされている。この変更は、若年層の自立を促進する一方で、契約に関するトラブルの増加にもつながる可能性があり、適切な教育と保護が求められている。